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『五月十五日 金曜日 曇りのち雨』
ふっふっふっ。
俺は、超悪い狸だ。
世界征服をもくろんでいる。今日も破壊工作に勤しんだ。
学校で悪魔せんせいに宿題をみてもらった。人間文字の勉強だ。
せんせいに勉強の理由を尋ねたら
『人間がダメージを受けるには、破壊力満点な罵りをスタイリッシュに叫ばなければいけません。それには正しい言葉の勉強は不可欠です。それに、人間を倒した後に作成する世界征服宣言書を綺麗な字で書くと……周り
『五月八日 金曜日 ずっと晴れ』
今日はとっても気持ちのよいお天気だった。
たんぽぽや白詰草が咲く草原に、ずーっと寝転がっていた。
シュークリームを枕に、ごろごろお昼寝をした。
それだけ。
そのまま、移り変わる満天の夜空も見つめた。
クリームソーダみたいにキラキラとはじける星屑が、好きなタイミングで瞬いている。
草の香りも好き。夜の湿った冷たい空気も好き。
すてき すてき そういうの 大好き。
が
【詩】平成27年4月15日(水) 22時36分 星空
理論物理学者はハンバーグを焼きながら宇宙飛行士への詩を数式で呟く。
「恋に近い」
彼はそう口ずさみ、花束を抱きしめたいと心から願った様だ。
ぼくはそれをキッチンの入り口で見つめ、しっぽをふった。
ハンバーグの匂いも、彼の笑顔の香りも好きなんだ。花の香りがするんだよ。
ほんとうに、大好き。
『桜のダンス~present from you~』
「おじいちゃんからは『仲良くしたい時は桜の下で食事会をする』と、教わったんだ」
とある平地に佇むは異形の三匹。季節は春、天候は雨。
降り落ちる雫に濡れる暗い中、三匹の目の前には一本の大きな桜。花は見頃の八部咲きを迎えようとしていた。
「どうやら、儂等だけの様じゃな」参加者のひとり、漆黒の兎ヴァッファが言う。武士である彼は泰然として、神秘的な桜を見つめる。
「人間は雨だと、巣に引っ
【読み切り】こいのうた 2
「あ、あのっ」
桜が静かに舞い散る月夜の庭園にて、百瀬は清月へ固い表情を向ける。
その無垢な瞳に涙が浮かびそうなので、清月は次の言動を穏やかに待つことにした。
「ごめんなさい」
花山吹の襲に、白い花を黒髪に飾る少女は俯く。
「実は。あの返歌は、わたくしのものではありません……。今宵はとても嬉しい。ですが、才子と謳われる清月様に……わたくしの様な者がふさわしいなど、思えなくて……」
【読み切り】こいのうた 1
うららかな春の陽射しを楽しみながら、十二単姿の若い女性等が庭に集い、小鳥の様にさざめき合っている。
「まあ、清月の君からLINEで歌が……!」
「百瀬、それは!恋のお誘いよ!」
「えええええ。どうしましょう……」端末を抱きしめ狼狽える最年少の百瀬。まだ歌詠みが下手なのだ。
先輩達へ困り果てた赤ら顔を見せる彼女へ、面倒見の良い菊央が胸をドンと叩いて名のりをあげた。
「返歌は私に任せなさ
【読み切り】ふたりの会話
「あさってはエイプリルフールだな」
「よぉし♪じゃあ、あさっては嘘をたくさんつくよ♪」
「へぇ。どんな?」
「鈴原なんか、だいっきらい!だ!とか」
「今なら俺に、何て言うの?」
「え!?やだな、冗談だよぉ」
「ふ~ん。ねぇ、何を冗談にしたの?」
「!!……っ」
「そうか、言えないの?」
「何よ~、じゃあ鈴原なら私に、何て言うの!?」
「好きだよ」
「ええ
『乱文的な詩の形態を試みる幼字のブランコ』
「大人にもバカや弱虫がいる アイツの事さ」
そんなふうに 項垂れた童の話を真剣に聴いて
世界の構図を示してくれる子が 居てくれたら よかったな
真実は 説教の波間 事実のひかりに かくれんぼ
みえているものが みえていなかった
先週の事だ
目の前に座す十歳へ わたしは三十年かけて学んだことを話した
これで借りは 返せただろうか
かみさまは いつも いつもだ