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デンマーク3日目

昨日の夜、ホテルのパントリーに行ったらこんなものが置いてあった。

feel free to haveと書かれた箱と紙袋。

中を開けると箱にはケーキ、紙袋には菓子パンがいろいろ入っていた。これはかなりありがたい。次の日の朝ごはんとして頂戴することにした。一方で、本当にHyggeってあるんだ、と感心していた。

数年前、北欧デンマークのHyggeという言葉についての本を読んだことがある。

世界幸福度ランキング上位にいるデンマークではどのように幸せな暮らしを作っているかとか、デンマークにはHyggeという言葉があるよ、などについて書かれていた。Hyggeとは暮らしをするというような意味の言葉で、この本の中ではキャンドルの灯りはHyggeを想起するそう。日本語になかなか訳すことが難しいけれど、暮らしの中のちょっとした幸せを噛みしめる、というような意味なんじゃないかと私は思っている。

さらに本の中では、人間の幸せや不幸せを感じさせる要因の大きな要素として近隣の住人や近しい距離にある人との関係性が大きく幸福度を左右する、というようなことが書かれていた。さらに、近隣住人と良い関係をどうやって築くか、というアイディアも書かれていた。1つは、シェアをするというもの。例えば、めったに使わないDIY用品(ドリルや芝刈り機など)を進んで近隣の人に貸してあげたり、借りたりする。いらない服や本をあげたり、本の貸し借りをしたりする。これを実際には近所の人だけでなく、地区単位で行事ごととしてやっている地区があるんだそう。

こういうシェアの考えが根底にあるから、パンやケーキをパントリーのご自由に出してくれたような気がする。幸せのおすそ分けを頂いて、とてもうれしい。

そんなことを考えながらパンを食べて、街に出た。今日はクリスチャニアに行く。

クリスチャニアとはデンマークのコペンハーゲンにある、特別自治区(自称)のようなもの。このエリアではデンマーク政府が関与せず、彼ら独自のルールを持つ。このクリスチャニアという国では暴力とハードド〇ラッグの禁止、自動車の通行禁止がルールとなっている。

そもそもこの地区が出来上がった背景としては、1971年にヒッピーバンドのとある若者が、使われなくなった軍用の兵舎を自宅に改造したことが始まりだそう。彼らはこの国で「自由の旗」を掲げ、地域にちなんで「フリータウン・クリスチャニア」と名付けた。

実態としてはヒッピーやホームレスなどの不法滞在者が住み着いており、大麻などデンマークでは違法とされるドラッグの取引が横行している。

日本生まれ育ちの私にとって理解が難しいエリアで、事前にいろんな記事やレビューを読んだけれどよくわからなかった。ある人には進歩的な社会実験として見られていて肯定的な記事もあったが、一方で単に麻〇薬の巣窟と見なす記事もあった。

正直行くのには勇気がいったが、最寄のバス停を降りると、結構観光客が向かっているので少し安心した。5分ほど歩いて、クリスチャニアの入口に到着した。

校外学習と思われる学生の集団もいた。ゲートをくぐるとそこから先はクリスチャニア国。

入口前にはさっそくサイケな絵が描かれている。

木の周りに天使が舞い、足元には何かの住処がある。色彩的には幸せそうな色合い。

彩度の高い色使いに、頭がトリップしている人が描いたんじゃないかという偏見が私の中をよぎる。いや、真実は実際にこの目でみて、透明な心で判断したい。ゲートを潜って中に入った。

入るとすぐにカフェらしきものと、自転車置き場があった。なんか、今のところ普通・・・?

落書きはあるものの普通に営業しているカフェだった。

進むとプレハブ小屋のようなものが見えた。これまた落書き(というかこういうデザインなのかも)がすごい。

さらに奥にはいると、建設中の建物と、その前に居座るオブジェが目についた。

クリスチャニアのビリケンと名付けた。とりあえず足を撫でておく。

さらに進むと子供が遊ぶ公園と、スケボーができるような場所があった。

なんかもっと闇市とか、やばい人がうようよしているエリアかと思っていたが、観光客もかなり歩いているし、カフェもあるし、子供が遊ぶようなスペースもある。思ったより普通。

ゴミ箱は分別されていた。リサイクルもちゃんとしている。
クリスチャニア国専用?のごみ収集車も使われていた。

後でネットで調べると、1994年以降、ここの住人は水道・電気・ごみ処理などの料金や税金をきちんと払っているんだそう。なあんだ。

建国は1971年なのでおよそ20年くらいは本当に、デンマーク国民としての義務を放棄しているような人が多かったのかもしれないが、現在はすでに観光地化されているくらいだし、普通の人も住んでいるのかも。

安心して歩き進めていくと、フリーマーケットのようなエリアに入った。ここから写真撮影禁止のエリアになる。

アジアン雑貨や食べ物などを売っているようなエリアが見えてきた。
画像がないのでイメージ画像をつけておく。

イメージ画像

なあんだ、完全に観光地化されてるじゃん。と安心して物色すると、陳列されている商品にタバコのような包装をされているものがあった。大〇麻だ。
パッケージに書かれているイラストが、特徴的な細長い葉っぱの絵だから完全にそうだ。堂々と綺麗に陳列されている。

Wikipediaでは、クリスチャニアでは2004年以降大〇麻が禁止されたと書かれていたが、この実態を見るに、禁止されているということを知っている上で販売を続けているようだった。だからこのエリアは撮影禁止なんだろうな。

そのままどんどんクリスチャニアの奥へ進んでいく。フリーマーケットを抜けて、フードコートのようなエリアについた。ここも撮影禁止なので参考画像で失礼する。

実際は落書きがたくさんあったけど

撮影禁止エリアに入ってから、ずっと変な臭いがしている。かなり独特な匂いで、大〇麻を売っていた店ではこの臭いが強かった。例えるなら、ビールの空き缶に雑草が入って、すっぱいにおいとトイレの臭いを融合させたような臭い。

ビールや軽食など売っているお店もあったけど、この臭いといい、衛生面が不安で何も買わなかった。

しばらくベンチに座ってみていると、フードを被った若者2人が大〇麻を吸っていた。ベンチの椅子にもたれかかるような、力なく寄りかかっているような感じで座ってふかしていた。目はちょっとうつろな感じ。

Mapを見ると湖が奥にあるみたいなので、少し歩く。手作りロッジのような小屋がある。

さらに歩いていくと、住宅街のようなエリアに出た。どの家も手作り感があり、ガーデニングも盛んなようだった。

馬小屋もあった。写真に写っている男性は嬉しそうに馬をみて何か言ってた。

ふと道の脇をみると、ぽいものが育っていた。

育ってるねえ。

独特な香りで頭が痛くなってきたので、引き返してアートギャラリーらしきところへ向かう。ここは写真OKらしい。

彩度高めの絵が描かれている。

入ろうとすると店主と思われる男性が「sorry, we are close…because I need to go xxxx(聞き取れず)」と言っていた。どうやら用事で店を閉めるらしい。あら残念。

中は見れなかったけど外にある絵を見て我慢した。

綺麗な絵。

クリスチャニアの中には公衆トイレがてんてんとある。気になるトイレがあったので紹介する。

Delete your goverment とか Fight Fascismとか書かれている。思想強めトイレ。
トイレのドアには「コ〇カインの取引や接種の兆候が少しでもあるとトイレは閉鎖されます」と
記載があった。怖すぎだろ。

謎の頭痛が収まらないので、クリスチャニアを出てニューハウンに向かうことにした。しばらく歩いて到着。

ニューハウン。デンマークと言えばここだ。

船とカラフルな建物がならんでとても綺麗でかわいいところだった。さっきと大違いだ。

自転車と一緒に。

ニューハウンの通りはレストランやお土産屋さんがならんでいて、観光客でにぎわっていた。白いカモメが空を飛んでいる。

帰り道に撮った一枚。

この3日間でデンマークに対する印象が変わった。社会福祉が素晴らしく、どんな人も幸せに暮らしていける国みたいなイメージだった。

労働博物館というところでデンマークの産業と労働の歴史を見たが、今こうやってデンマークの人が幸せに暮らしてるのは、先人たちの苦労の歴史の上に成り立っていた。政府というか、この国に居る人の寛容さや、強さがすごいと思った。

寛容さとは、どんな人もその人らしく生きていけるような仕組みやコミュニティがあり、それを互いに干渉しすぎず、存在を受け入れること。多様性の文脈で「違いを理解する」という言葉があるが、そんな生易しいもんじゃない。「変人を受け入れる」くらいの感じだ。

どんな人も、どんな変な物も、受け止めて、そこに居てもいいよって言ってくれるような国かもしれない。不思議でカオス。すごい国だ。

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