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祈ったって、何も変わらないのだ。 私は唇を噛み締めて、押し入れの中で膝を抱える。 真っ暗…
その塔から見る朝焼けに向かって願いごとをすると、願いが叶うそうだ。 岩だらけの山頂に、誰…
それは、あの子のような温もりで、やわらかさで、眠れない私の尖った感覚を丸くしていく。 あ…
寒くなってきた。 乾燥した手で扱って、手が滑った。またコーヒーカップを割る。 がちゃん。…
鉛筆の持ち方が違うと、叱られた。 箸の握り方がみっともないと、叱られた。 反省が足りない…
カーンと道端の空き缶でも蹴ってやりたいと思って、目を皿のようにして歩いているのに、道端に…
黙って、山と積み上がっている洗濯物をたたんでいた。 家族の中で一番早起きをして、静かに静かに音を立てないように、食洗機の食器を片付け、洗いカゴの中のタッパーの隅の溝を布巾で拭いて片付ける。 夏でも真っ暗なこの時間に、私は何をしているんだろう。 新聞配達のバイクの音で、私は毎朝起床する。 家族が起きてくるのは、6時。 その時間まで私はひたすら、前日に終わらず、残された家事を淡々とこなす。 それが、私の役割だから。 無職で、役立だずな私がするべきことだから。と、私が
友達と信じていた人の突然の心変わりは納得がいかない。そして、人の心を弄んだ後に、何事もな…
書き出しは、こうだ。 ーー君の長い髪の毛が風をふわりとはらんで、遠くになびく。 はあ、と…
美穂の輝く黄金色の世界は、夕陽色の世界。 夏は涼しく、冬は暖かい。 陰口を叩く人はおらず…
玄関のドアを開けて、あっと息を飲む。 風が冷たい。 ツンと鼻を刺すように冷たい。 秋の風…
コーヒーのカップを捨てて、席に戻る途中、ひとつ上の先輩であるタイシに声をかけられた。 「…
長めになってしまったので、2つに分割しました。 分け目が、微妙でごめんなさい。 ーー 目…
味噌汁の味噌が薄いと、椀を突き返した男。 時代と場所を間違えたかのようなクソ親父の態度に虫唾が走る。 しょんぼりした女の項に、男の罵声は続く。 おまえは何もできないだめなやつだ。 聞く気がないから、直す気がないから同じ失敗を繰り返すんだろう。 おまえの味噌汁は、何回言ってもまずい。即席味噌汁の方がずっとマシだ。 女は身を硬くして、忍の一文字を刻むように、ひたすら黙って男の怒鳴り声を浴び続けている。 こういう時、弟は顔をひきつらせて黙り込んでしまう。女の姿勢をまる