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いよいよINFJ(MBTI)の根本的な構造に迫ってみると言う話、ソシオニクスから見る幸せの形⑤、EII(INFj)


はじめに

今回はソシオニクスにおいてHumanist(人文主義者)またはEmpath(共感者)とも呼ばれるEII(INFj)についての紹介となる。

なお、最初に断っておくが、世間においてMBTIのINFJとソシオニクスのEII(INFj)はそれぞれの心理機能の定義が異なるため、基本的に一致しないとする姿勢があるが、それは誤りである。

MBTIのINFJとソシオニクスのEII(INFj)は基本的に同じものを指向している。

それを、異なる定義による、異なる表現によって説明しているだけである。

このことは、MBTIについてある程度詳しい方であれば、今回のEII(INFj)についての説明を読んでいただければ十分に確認されるものと考える。

これらの性格タイプの指向、その一致は、実は全ての性格タイプについて確認されることである。

したがって、実際の判定において、MBTIとソシオニクスについては、その性格タイプが不一致となるケースが多数、というか無数に見られるが、それは基本的にMBTIとソシオニクスのいずれかにおけるミスタイプに起因することを示している。

このことは、人間がその性格を客観視することの難しさを示しているが、EII(INFj)の方については今回の記事がその自己理解の手助けになれば幸いである。

⒈情報要素

以下、ソシオニクスにおけるEII(INFj)の簡単な機能説明である。

Fi(内向的感情):内面の感情情報の処理に関する機能を指す。EII(INFj)はこの機能が最も強く、支配的に働く。一方で意識的なコントロールが苦手である。

Fe(外向的感情):外部との感情情報のやり取りに関係する。EII(INFj)はこの機能を選択的に使用する。その結果、身内、群れの仲間に対しては強い共感を示すが、敵に対しては共感を閉ざす傾向がある。

Ni(内向的直観):内面世界の展開処理に関係する。EII(INFj)はこの機能を時間軸に対して集中的に使用する。

Ne(外向的直観):外的世界の調和、情報処理の完全性(網羅性)に関係する。EII(INFj)はこの機能を柔軟に、創造的に使用する。

Si(内向的感覚):身体の内的感覚に関係する。EII(INFj)にとっては苦手の機能であり、健康管理に問題が生じることが多いが、その分、健康に対する関心も強い。

Se(外向的感覚):身体外部との実際的なやり取りに関係する。EII(INFj)は、問題意識のある分野に積極的に取り組む傾向がある。

Ti(内向的思考):内的世界の整合性に関係する。EII(INFj)はこの領域に不安がある。そのため、彼らは独自の見解を避け、また、自己の明確な理解を避ける傾向がある。

Te(外向的思考):外的世界の論理性に関係する。EII(INFj)はこの機能に関係する情報について暗示を受けやすく、流されやすい。そのため、統計や客観的データを特に信頼する。一方で、論理に矛盾がなければ、神秘主義へ傾倒することもある。

⒉感情機能

EII(INFj)の最大の特徴はその感情機能の強さにある。

彼らの感じる感情は強く繊細で複雑である。

一方で、周囲の人間の感情の影響を色濃く受ける。

それら感情機能の制御の程度は機能の発達の度合いにより異なり、若い時分において特に彼らはその制御を困難とする。

その結果、無自覚に他者に共感し、自他の感情の区別を難しくする。

また、感情の知覚の強さは共感に対しても働き、たとえば、周囲の傷ついているその人本人よりも、それを共感によって感じ取ったEII(INFj)の方がより強く傷つくということが頻繁に起こる。

彼らの共感の背景には群れの心理が見え隠れする。

通常、彼らは群れの範囲を限定しないが、一度対象外と設定した相手に関してはその共感の使用を無意識に避ける傾向がある。

このような選択的な共感の遮断は、一般に「ドアスラム」といった行為に付随して実行される。

また、人間不信に陥ると、社会的な群れの設定の範囲を大幅に狭めることもある。

なお、彼らEII(INFj)は強い感情機能を持つにもかかわらず、その感情を外部に表現することについては忌避感があり、外からは彼らは周囲から一歩引いた落ち着いた人物として見られることが多い。

その彼らの態度の根底には、彼らの感情機能の充足への欲求があると考えられ、それを満たすことが彼らの幸福感へとつながる。

⒊直観機能

EII(INFj)の直観機能の使用については、特徴的な傾向が見られる。

彼らは内面世界における情報空間を時間軸の方向、特に未来方向へ重点的に展開する。

その上で、その方向性を維持したまま情報の拡散処理を徹底的に行う。

この直観機能の複合的使用がEII(INFj)に強力な未来予測を可能とさせる。

これら直観機能は青年期以前においては、主に無意識下で自動的に働き、自他において「ひらめき」として知覚されるが、加齢と訓練に伴う機能の発達に伴い、その知覚範囲には個人差があるものの、意識的な使用が可能となる。

それにより、早期においては自動的な未来予知に近い感覚であったものが、後々においては目的に合わせて意識的に使用可能な未来予測へと成長する。

直観は言語情報と非言語情報の両方に対して働くが、EII(INFj)は感情機能と直観機能に比べて、言語機能の発達が遅れ気味となる。

しかし、直観機能の発達とともに、言語機能の発達が伴ってくると、彼らはその未来予測を言語で的確に説明できるようになる。

彼らの未来観測の能力は、彼らの強力な感情機能と組み合わさって、未来志向の特徴的な価値観形成を促す。

また、共感にもとづく彼らの価値観は理想主義、かつ、平和主義となる傾向がある。

⒋神経基盤

感覚機能はEII(INFj)にとっての弱点であり、特に年齢を重ねた彼らは原因不明の体調不良に悩まされやすい。

以下、それについての仮説である。

各機能によって説明されるEII(INFj)の性格傾向の根幹には、その感情機能の強さがある。

それは、つまり、彼らの脳内における情報処理、特に感情情報の、密度と量の特徴的な大きさを示している。

その情報密度、情報量の多さは、彼らの多くが幼少期から明確な神経的特徴を備えていることから、生まれつきの、遺伝的体質と考えられる。

その情報密度と情報量は、彼らの脳内において特徴的な神経系の発達を促す。

結果、それらがドーパミン神経系に代表される情報処理と関係する領域の優先的発達、成長へつながる。

それは、彼らの脳内における脳内ホルモン、神経伝達物質の濃度とバランスを特徴付け、結果として、彼らの脳は生涯の中、長期にわたって高濃度の脳内ホルモンに晒されることになる。

その結果、彼らは、生来的に強い感情情報に流されるとともに、次いで、直観機能を発達させるようになる。

直観機能の発達の一方で、長期にわたる高濃度の神経伝達物質による曝露は、その神経伝達物質の受容体、各種レセプターの脳内および全身の各器官における分布密度を低下させるとともに、その感度を低下させる。

これらの受容体密度・感度の低下は若年齢においては特に目立たないが、年齢を重ねるほどに進行し、ついには各体内器官の調整機能の低下という形で、自覚症状として現れる。

その影響は、全身の神経系、特に交感神経、副交感神経などの自律神経系に目立って現れ、青年期あるいは中年期以降のEII(INFj)の多くは慢性的な体調不良に悩まされることになる。

しかし、これらの体調不良の原因は、実際の医療の現場においては検査で確認することが困難であり、その多くはその根本について原因不明とされる。

その結果、多くの医療機関をたらい回しにされたEII(INFj)は、最終的に精神科、心療内科へ回されることになる。

そこで、EII(INFj)は明確な原因も分からず、多くは心因性の、精神的ストレスを理由に投薬治療を受け、奇跡的に適切なホルモンバランスが整う場合を除き、多くはさらにホルモンバランスを崩し、薬物による副作用にすら苦しめられる。

その苦しみは、EII(INFj)の幸福感を損なうばかりか、彼らの人生における大きな障害となり得る。

上記は仮説ではあるが、EII(INFj)の体調不良は、大きな個人差があるものの、全体としては確かな傾向となる。

⒌EII(INFj)の幸せの形

このように見てくると、EII(INFj)がいかにストレスというものを抱えやすい性格タイプであるかが理解できる。

彼らの全体的な神経症傾向の高さは、生来的な神経基盤に端を発していると考えられるが、それが彼らの強い感情を生み、その感情と理想へのこだわりは大きな精神的なストレスの原因となる。

そして、一方で、感覚機能の低下に伴う神経的なストレスに蝕まれることが、ストレスの原因の把握を困難とし、彼らの自らのストレスへの理解を遠ざける。

彼らは自己の感情の複雑さと、共感による他者の感情の流入が重なる時点で、自己を明確に規定するのに苦労するタイプと言える。

その上、その抱えるストレスの複雑さが、彼らの自己理解をさらに難しくする。

このように幸薄い傾向にあるEII(INFj)であるが、あえて、彼らが幸福感を手にする方向性を示すとすれば、それは主機能である感情機能の発達と、それによる自身の感情の明確なコントロールにあると言えるだろう。

一般に、第一機能の発達は青年期までの間で一通り完了すると考える人がいるが、実際には、適切な使用に伴い、少なくとも50歳程度までは発達を続ける。

感情機能の十分な発達とそれによる感情のコントロールは、感情に起因する精神的ストレスを直接的に低減すると同時に、長期的に見て神経的なストレスの低減にも有利に働くと考えられる。

一方で、自らの感情の充足と理想の実現は、EII(INFj)の幸福感に直接的に関係する。

そのためには、EII(INFj)の特徴的な直観を発達させ、有効に活用することが求められるだろう。

総合的に見て、心理機能、情報要素を発達させ、人格の成熟を果たすことは、EII(INFj)の幸福を語る上では外せない。

その上で、体調管理により自律神経系をはじめとする神経系を活性化することは、彼らの幸福を保証する上で前提となるかもしれない。

おわりに

このように、その性格の特徴を包括的に捉えてみると、はじめに言及したように、MBTIにおけるINFJとソシオニクスにおけるEII(INFj)は同一のものを指向していることが見て取れる。

そして、そこに見られる課題や問題点はやはり共通しており、MBTIのみならず、ソシオニクスなど異なる視点を通して多角的に捉えることで、より的確な対応を考えることができる。

一般的に、社会においてEII(INFj)が十分に理解されているとは言い難い現状にあるが、この記事がその理解の手助けになるのであれば、筆者としても幸いである。

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