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Ni(シンボル操作)とSi(単純記憶)のトーレドオフ仮説(MBTI) 〜脳科学から見た心理機能④〜


前置き

先日、ISTPの友人と話をしていて、彼はワーキングメモリーに難があるのか、情報を記憶するのが苦手という話を打ち明けられた。

ただ、経験に紐づく記憶は関連情報と併せてシンボル化されて、長期記憶されるという話であった。

友人は「Se(外向的感覚)が優勢だとSi(内向的感覚)が圧迫されるんじゃないか?」と直感していたが、確かにその傾向はあるかもしれない。

私は直観タイプであると自認しているが、Ne(外向的直観)とNi(内向的直観)もある程度排他的に働いている感触はある。

だが、記憶力と聞いて、私は真っ先にSi優勢のISTJを思い浮かべた。

ISTJ、彼らが最も苦手とするのは、彼らにとってのデーモン機能(注)のNiである。

そして、直観した。

Niによる情報のシンボル化は、断片的な詳細情報の網羅的な記憶とは実に相性が悪そうだ。

以下は、この推測についての考察をコンパクトにまとめたものである。

注)MBTIには8つの心理機能全てを使って表現するShadowFunctionという解釈がある。

その説では、最も得意な機能をヒーローと呼び、最も苦手な機能をデーモンと呼ぶ。

いずれ、私も記事としてまとめるかもしれないが、今回は以下のURLを参照のこと。

真面目に考察してみた

人間の記憶処理には個人差が存在し、これは脳の構造的、機能的な違い、および認知スタイルの違いに起因する可能性がある。

特に、情報のシンボル化というプロセスは、複雑な情報を効率的に処理し、長期記憶に有利な方法として機能するが、それには細部にわたる具体的な情報の記憶が犠牲になる可能性がある。

シンボル化能力が高い人は、情報を抽象的な概念や象徴として整理し、統合することで、長期記憶における情報の保持と取り出しを効率化する。

しかし、このシンボル化プロセスは、その抽象化と統合のプロセスの性質上、細部にわたる具体的な情報について記憶の取りこぼしのリスクを抱えているとも考えられ、その結果、細部記憶の能力が相対的に低下する可能性がある。

逆に、シンボル化能力が低い人は、情報を細部のまま記憶する傾向があり、具体的なデータや事実の記憶に長けているが、長期記憶の効率性や情報の統合には不利である可能性がある。

検索してみた

さて、せっかくなので最近の流行に従ってChatGPTにでも質問してみても良かったが、私の環境ではネット検索との連携機能がオフになってたので、とりあえずシンボル化と記憶力、そしてトレードオフというキーワードでインターネットでググってみた。

その結果、真っ先に出てきたのが以下の学説である。

認知的トレードオフ理論(京都大学、松沢哲郎教授

簡単に解説すると、これはチンパンジーとヒトの比較実験により、チンパンジーはヒトと比較して言語などのシンボル操作の能力が低い代わりに瞬間記憶力に優れているということが示されたという研究である。

そこから、ヒトは進化の過程でシンボル操作の能力を得る代わりに記憶力を退化させた可能性があるという学説が紹介されている。

つまり

ここでMBTIに話を戻すが、ShadowFunctionを考慮して人間の記憶力について考えてみても、シンボル操作の能力の高さが瞬間記憶に関しては不利に働いていることは推測できる。

シンボル操作の能力はNiに代表される。

それに対して、記憶力の代表はSiである。

これは奇しくもMBTIのShadowFunctionにおける、NiヒーローにとってのSiデーモン、またはその逆の関係性に符号する。

このようなシンボル操作と記憶力という何気ない要素からも、MBTIが示す傾向の確認がされることがあるという、実に興味深い話であった。

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