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ジャンピー

少し前のことだけれども、
”むしあみがほしい むしかごがほしい”と書かれた短冊の写真が姉から送られてきた。

これは、叔母バカうさみみに対する発注では?と深読みをした私は「いいよ、何色がいいの?やっぱりピンク?」
と姉に返信をした。

すると
「いやいや、そうじゃなくて…」と返ってきた。

その写真は、 ”娘がこんなに上手にひらがなを書きました”っていう姉からの親バカメッセージであって、虫網と虫カゴについては、どうしたもんかと悩ましく思っているとのこと。
というのは、虫網と虫カゴも、もちろん買ってあげたいのだけれども、買ったら買ったで、「カブトムシとか、捕まえに行かなきゃいけなくなるから」だそう。捕まえたカブトムシをつかんでカゴにいれる、そこにちょっとゾワっとしてしまう、と。

それは、とってもわかる気がする。

だってカブトムシってゴキブリとちょっと似ているんだもの(ボディの照りとかね。カブトムシのファンの方、失礼!)。

「ああ、こんなときに頼れるパートナーがいたら...」
と、シングルマザーの姉が言う。

子供って、男女問わず、虫が好きな子が多いですよね。でも、親はそうじゃなかったりする。
「パートナーも虫が苦手ってこともあるからさ」と私は姉に言った。


数日後、実はもう虫カゴを買ったんだ、と姉から連絡があった。
保育園の帰りにカマキリを見つけて、どうしても連れて帰るんだと姪が言うから急遽、買ったらしい。

どうやら、カブトムシを捕まえにいかなくて済んだようである。

姪は、カマキリに「ジャンピー」と名前を付けたのだそう。理由は、ジャンプするから。なんてセンスのいいネーミングなの!と思う私は、やっぱり叔母バカですね。

何日かして、また姉から連絡が入った。
「ジャンピーが何も食べないんだ」と。

ざっと、ググってみたところ、カマキリは、魚肉ソーセージや無糖のプレーンヨーグルトなんかも食べるそうだ。それらはすでに試したけど、食べようとしないらしい。

「やっぱり、生きた虫じゃないとダメなのかな」と言う姉に、
「本当に限界までお腹がすいたら、食べるんじゃない?」と私。
「でも、まだ小さな子なんだよね」と姉。

なんだか、我が子を心配するお母さんみたいな発言だ。


後日、姉から送られてきた動画には、生きた虫をむっしゃむっしゃと食するジャンピーの姿がうつされていた。その翌日にも、また。

なんかもう、虫が苦手を通りこして、ジャンピーの母としてたくましくなっちゃっているじゃないの!

ジャンピーが元気にご飯を食べて、姪もさぞかし喜んでいるかと思いきや、「ふうん」という反応だったらしい(苦笑)。

虫が苦手な姉が、我が子のためにカマキリを飼い、そのカマキリのために生きた虫を捕らえてエサとして与えている。何だか感心してしまったのだ。

「誰かのため」って、パワーになるよね。親って、大なり小なりそういうことの繰り返しなんだろう。私には子供はいないけれど、誰かのために思わぬパワーが出たりもするかしら。

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