『百年の孤独』 初読時の感想文というか、紹介文というか…
以前、『百年の孤独』を別の媒体で紹介した時(多分初読時のもの)の文章が出てきました。
今回は、それをほぼ原文のまま貼り付けたいと思います。
中々大袈裟な言い回しだったり、雑な引用が入っているなあという印象が自分としても有りつつ、でも初読は良い思い出なので
ではでは、ご笑覧くださいませ。
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この作品を読み切るまでにかかった時間は、ひょっとしたら僕がこれまで生きてきた時間よりも長いのではないか。
そう感覚してしまうほど、この作品は一冊の中で、見事に〈百年〉という時の流れを表現しています。
『百年の孤独』では、歴史的事件のような出来事とそれ以外の出来事とが、どちらも第三者視点で淡々と語られます。
「戦争」が描かれたかと思えば「大食い大会」みたいなちょっとしたイベントも描かれる。そして「戦争の方がよっぽど大ごとだ!」と感じさせない何かが作品全体を支配しているような…。
更に面白いのは、普通に考えればあり得ない出来事が、あたかも当然であるかのごとく起こってしまうこと。
殺されたはずなのに存在し続ける男や、空に浮かんでそのまま消えてしまう少女など、冷静に考えると「おかしいでしょ!」と突っ込みたくなる場面が沢山描かれます。
なのに、僕たちは中々それに突っ込ませてもらえません。あまりにも当然のように語られてしまうからです。起こること自体はファンタジーっぽくもありますが、読んでいる感覚は全然違います。
もうこればかりは読んでくれとしか…!!
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タイトルには、〈孤独〉というワードが使われています。ですが、もちろん主人公が生まれてから百年間、だれとも関わらずじまいで独りぼっち、なんていう作品ではありません。
アルフレッド・アドラーという心理学者は、「人が持つあらゆる悩みは全て〈人間関係〉に起因している」というようなことを言っています。(引用正確じゃないです。手元に本が無くて…すみません)
なにも初めから自分以外の人間が存在しなければ、孤独なんていう概念も存在しないということです。
『百年の孤独』の登場人物の多くも、それぞれの人間関係の中で、もみくちゃにされていきます。
ひとりひとり感情の起伏が激しく、例外はありますが、喜ぶ時は馬鹿騒ぎして、悲しい時はとことん憂鬱になります。まさに人生に一喜一憂している感じです。腕の良い職人なのに恋に破れて自死したり、権力を手にしたと思ったら銃殺されそうになったり。
出来事自体は変わるものの、永遠とこの一喜一憂を繰り返して百年。みたいなところがあります。仏教では、そのように一喜一憂を繰り返していく人間の生を「空(くう)」と呼んだりするようですが、著者であるガブリエル=ガルシア・マルケスはこのことを「孤独」と表現したのかな、なんて思ったり。
長くなりましたが、本当に素晴らしい作品です。是非読んでみてください!
(2020.06.07)
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