「イジメ、ダメ、ゼッタイ」と　babymetal が歌っている。

が、いくらbabymetal ががんばっても日本の義務教育下においていじめはなくならないと思う。

理由は簡単。学校側がいじめを認めないから。認めてしまうと、誰かが責任を取らなければならない。いや、誰かに責任を押し付けないといけない。

現状のいじめに対する学校の対応は、おそらく下記のようなものであろう。

・加害者A　いじめている生徒
・被害者B　いじめられている生徒
・A+、A++、A+++・・・　Aの友人
・B+、B++、B+++・・・　Bの友人

被BもしくはB+が教師へ報告　⇒　担任による被Bへの聞き取り　⇒　担任による加Aへの聞き取り

1、加A・被Bが共にいじめを肯定した場合　⇒　いじめは解決の方向へ進む
2、加A・被Bが共にいじめを否定した場合　⇒　なにも起こらない。いじめは続く
3、加Aが肯定、被Bが否定した場合　⇒　おそらくありえない
4、加Aが否定、被Bが肯定した場合　⇒　A+、B+への聞き取り
5、有力な証言・証拠が出てこない場合　⇒　A++、B++への聞き取り
6、それでも有力な証言・証拠が出てこない場合　⇒　A+++、B+++への聞き取り

となり、加害者Ａが「やりました」と自白するか客観的証拠でもない限り、教師は加Aを注意することは出来ても罰することはできない。せいぜいAの保護者に「いじめをしている可能性があります」という程度であろう。「度を過ぎたいたずらで困っている生徒がいる」と言葉を濁すかもしれない。確たる証拠もないのに「いじめている」とAを断罪すれば、A側から「証拠もないのに犯人扱いされた」と教育委員会あたりに訴えられる可能性もある。

被Ｂは絶対的に不利である。加Ａによる報復をおそれてＢ側の人間がイジメを否定することはあっても、正義感に駆られていじめを肯定するＡ側の人間は少ないであろう。それをきっかけに加Ａのいじめの対象になってしまうかもしれないし、そんな英雄的行為を小・中学生に求めるのは酷である。

Ａ側、Ｂ側のどちらの立場にあっても一番楽なのは第三者Ｃになること。「いじめは分かりません。見たことはありません」と知らぬ存ぜぬを貫き通せば、友人を何人か失うことになるがトラブルには巻き込まれない。

担任・校長・教育委員会が一丸となって取り組まなければ、いじめはなくならない。しかしいじめの前兆を感じ取るたびに生徒から聞き取り調査、校長への報告・・・ができるほど学校の先生は暇ではない。ただでさえ忙しいのに、生徒から「先生、Ｂ君がいじめにあってるみたいです」と相談されてもどうしていいかわからないのではないか。

学校の先生は刑事ではない。自白を引き出す術など知るはずがない。加害者Ａが「やっていない」といえば、客観的証拠がないかぎり「いじめの報告があったが、確認はできなかった」と校長に報告するしかないし、校長も教育委員会に対して「生徒からいじめの報告があったので担任を通じて聞き取り調査をしたが、その事実は確認できなかった」としか報告できないのでは？

ここで教育委員会が「いじめの疑いがあるのなら徹底的に調査してください。必要であれば専門家を派遣します」と校長に返せば解決への第一歩になるのだが、教育委員会も暇ではない。おそらく「いじめの事実がないなら報告は不要。いじめの事実があったときのみ報告するように」と返すのでは？
　

ずっと疑問に思っていたのだが、どうして被害者Ｂの保護者は警察に届けないのだろう。学校側が「いじめはない。ちょっとしたいたずら。子供同士の悪ふざけ」といじめを否定するのであれば、その足で警察に行って被害届を出せばいい。

おそらく警察は「学校の問題は学校内で解決を・・・」「まずは学校側とよく話し合って・・・」と言葉巧みに被害届を受理せず「相談」扱いにして逃げようとするだろうから、だったら事を大きくしてやればいい。

「うちの子供がいじめの被害にあっているのに、どうして被害届を受理してくれないのですか？子供同士なら相手をケガさせても傷害罪にならないのですか？ノートを破られたりカバンを汚されても、器物損壊にあたらないのですか？わかりました。公安委員会に苦情の申し出をして、書面での正式な回答を求めますのであなたのお名前を教えてください」

すぐに上司やらなんやらが飛んできて「まあまあ、落ち着いて・・・」「何もそこまで事を大きくしなくても・・・」などと必死になだめるだろうが、落ち着いた口調で淡々と続ければいい。

「あなたの名前と階級もお願いします。別にあなた達を責めているのではありません。どうして被害届を受理してくれないのか、その理由が知りたいだけなんです。私の知らない未成年者に関する法律があって受理できないのか、警察が学校内でのトラブルに関与できない規則があるのか、それを知りたいんです。法的根拠があって被害届が出せないのならあきらめます。弁護士に相談して、民事事件としていじめと戦います」

その結果がどうなるかはわからない。警察からは睨まれ、学校からも白い目で見られ、自身の子供からも嫌われるかもしれない。下手をすれば「なんで警察なんかに行ったんだ。おかげで学校で俺の居場所がなくなったじゃないか！」と反抗され、暴力を振るわれ、グレてしまうかもしれない。

それでもいい。「ごめんなさい。もういじめには耐えられません」と走り書きされた遺書と、冷たくなった愛する我が子を見るよりはましだと思う。