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もっとみんなが気軽に政治について語り合えたらいい?無責任なこと言うな。「政治的発言はタブー」なんて嘘。タブーはないがリスクがあるだけ。

このテーマは以前にも書いてますが、今回の検察庁法騒動でこういうことを言う人が大勢いたので、また書きます。黙ってると精神衛生上悪いので。

以前書いた記事はこちらの2本。

それから、話を始める前に、つるの剛士さんのツイートがとても素晴らしかったので、一昨日の拙文でも取り上げましたが、再び掲載しておきます。

つるのさんのツイートは、素人が政治について語る上で必要な心構えが短い文章の中に凝縮されています。

・SNS上のツイートやトレンドは懐疑的に見る。
・発信は自己責任。炎上は覚悟のうえで。

そもそも、自由には責任が伴うものです。誤った発信をすれば、それなりの批判が飛んでくるのは当然ですし「僕を批判するな、批判されると僕が委縮しちゃうし気軽に発信しづらくなる」なんてのは、これは自由とは言いません。単なる我儘です。

言論の自由はあるけど、批判されない自由はないです。何かを言えば、批判が返ってくるかもしれないし、称賛が返ってくるかもしれない。批判も、称賛も、両方返ってくることだってあるでしょう。世間がどんな反応を示そうとも、それは発言した人の自己責任。だって、誰かがあなたを批判する権利は誰にも止められないから。もしも、それを止めたら言論の自由がなくなる

しかし一方で、人はだれしも他人の批判は気軽にするけど他人から批判されるのは気が重い。しかもネットで発言すれば、発言している人は自分一人なのに、大勢の人から反応が返ってくる。その反応が称賛だったら良いけど、批判だったら辛すぎる。大勢から返ってくる批判を自分一人で受け止めるのはメッチャしんどい。政治の話題は誰かから批判される可能性がメチャ高いから、発言するのが億劫になるのは当たり前。

でも、そういう圧力に屈せずに発言するから価値があるわけで、気軽にする政治的発言なんて価値がない。気軽にする政治的発言は、人々の称賛や賛同を集めようという意識が低いから、論調も雑になる。もしも誰からも批判されないと保証された上で発言している人がいたとしたら、その人の発言に耳を傾けたいと思いますか?

伊東さんのおっしゃる通りです。政治的発言をすることは、そういうリスクがあるのです。「みんなが気軽に発言を!」などと無責任に煽っている人たちは、「みんなそれぞれ考え方が違うんだ」ということに対する認識が非常に甘いと思います。

でも、だからこそ、そういうリスクを自覚した上で発言している人は尊いのです。逆に言うと、そういうリスクを自覚せずに、ハンパな気持ちで政治的発言をして、炎上したらすぐに削除して沈黙する。これはダサい

政治的発言をするのにタブーなんて存在しません。ただ、リスクを正しく認識することと、リスクを冒す勇気を持つこと、この2つがあれば怖いものなんて何もない。

もちろん、そのリスクを受け止めきれないなら、黙る勇気も必要です。沈黙は金、とも言います。ちなみに、この言葉は「ちんもくはかね」ではありません。「ちんもくはきん」です。もっと正確に言うと「雄弁は銀、沈黙は金」です。

今回の検察庁法案のような、よくわからない法案に対して、一枚のデジタルアジビラを見てそれをうのみにして、安易に「ツイデモ」に参加する。これは最悪です。法案そのものに問題が全くないとは言いません。だけど、それあなたの生活に、あなたの人生に何か関係ありますか?よくわからないことに口を挟んで自分の評価を下げてしまうのはダサいです。

①ここに書いてあることは本当か?
②ここに書いてあることと自分は何か関係あるか?
③ここに書かれてないことがもしかしたらあるかも?

特に③は重要です。たとえ、本当のことしか書かれてなくても、それ以外に「書かれていない重要なこと」があったとしたら、自身の判断を大きく歪めます。だからこそ、反対側の意見にもちゃんと耳を傾ける必要があるのです。

そして、よくわからないことはよくわからない、と認める勇気を持つべきです。真の賢者は自分が何を理解していないかを理解しているのです。これを「無知の知」と言います。これはソクラテスの言葉だとされていますが諸説あります。

#検察庁法改正案に抗議します とハッシュタグだけツイートして、その理由を何も語らないツイートのどこが「政治的発言」なんですか。何も発言してないじゃないか

そして「本当にちゃんと分かってるのか?」と突っ込まれると逆切れする。これは最悪です。まさに「無知の無知」です。

このような、発言リスクの自覚も覚悟もない「気軽なツイート」は、デマを産み、デマを拡散する要因にもなります。ネットの情報が信用されない理由の99%はおそらくこれです。お願いだから「気軽に政治的発言」なんてしないでほしい。少し立ち止まって、よく考えてから、発言するべきか否か決めてほしい。

政治的発言がタブーなんて嘘ですよ。例えば、サッカーのルールも知らない人がサッカーについて熱く語ってたら「いや、知らないくせに口出すなよ」って言われるの、当たり前ですよね。サッカーじゃなくても、何についての話題だってそうですよ。政治の話題だけは特別に無知でも許されるべきだ、なんて思ってたら、そっちのほうがおかしい。無知が思い付きでデタラメ言ってそこからデマが生まれる。

もちろん、政治でもサッカーでもなんでもそうですが、どんなに勉強したって100%完全な知識なんて身につかない。だから、どんな博識な人でも間違ったことを言う可能性はある。間違ったことを言えば批判されるのは当たり前。政治に限らず、何でもそうですけど、発言するのであれば、そういったリスクに対する自覚と覚悟を持つべきです。



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