見出し画像

アンガーマネジメントでは間に合わない「怒り」について


こんばんは〜。

急に寒くなって大変だよね。


最近、患者さんと「怒り」について話すことが多いクリニックで話したことについて書いていこうかな。
怒りって「恥」を伴う感情だから、すごく苦しんでいる人が多いんだよね。
で、面白いのが、「アンガーマネジメント苦手です」って人がたまにいるんですよ。

アンガーマネジメントっていうのは、怒りの感情を適切にコントロールするスキルのこと。
昔勉強して、資格とかも取ったんだよね〜。
(協会費払ってなくてこないだ資格失効したけどw)

例えば、「怒りに点数をつけることで客観視しましょう」とか、「怒りを感じたらとりあえず6秒数えてやりすごしましょう」とか、様々な方法がある。

怒りにまかせてそのまま表出して他者を傷つけたり、関係性が壊れて取り返しのつかない状態になってしまったりするのを防ぐための技術だね。

僕が気に入っているのはこれ。


ただ、その患者さんからしてみると

「そんなもんでおさまる怒りなら苦労しないよね」 ってとこだろう。

瞬間的に沸点に達するような怒りに点数なんかつけられないし、6秒程度待ったところでまったくおさまらない、と。
まあ、そりゃそうだよね。

自分でもコントロールできないような激しい怒りって、本当に嵐のように、自分がぶん回されるような圧倒的なパワーがある。

とてもマネジメントできるような代物ではない「怒り」というのが存在するなあ、というのをたびたび見ることがある。

そういう「激昂」に近いような深く激しい怒りは、だいたい過去に自分が経験した喪失や傷つき、悲しみと強く結びついていているものだったりする。


幼い頃に家族から言われたひどいことや、身近な人から裏切られて悲しかったこと、傷つけられた経験からくるもの。
それが、怒りと心の深いところでつながっている。


たとえば、親に「しっかりしなさい」と言われ続けて苦しんできた人が、電車の中でマナーの悪い「しっかりしてない」人を見たときの憎悪と蔑みの混じった深い怒り。

自分が過去に傷ついた時と似た状況に直面すると、過去の傷が呼び起こされて、爆発するように怒りが増幅されてしまう。
そういう怒りの「地雷」のようなものが、自分の心の深くに埋まっている。

普通の人なら、乗車マナーが悪いおじさんから受ける怒りはせいぜい2とか3だったとする。
それが、「地雷」があることで 200とか300の怒りに増幅されているようなものだ。



「眼の前の事象や物事」に怒っているように見えて、「過去の傷つきや喪失」を重ね合わせて増幅させて怒ってしまっている。
怒らせてくる対象に対して、「200や300の怒りを与えてくる奴」というような理解になる。
それは、ものすごく苦しいことだ。


こういう心の深い部分に巣食っている怒りには、テクニカルなマネジメントでは足りない。火力が強すぎるからだ。
だから、その患者さんが言っていたことはとっても妥当だと思った。


過去の傷つきや悲しみと結びついている怒りは、とても深くなる。
そういう怒りに必要なのは、「マネジメント」ではなくて「ケア」ではないかと考えている。


怒りの背景にある悲しみをしっかりと見て、ちゃんとケアしていく必要がある。
自分の怒りと過去の傷つきが「つながっている」ということに気づくだけでも、300の怒りが200とか250くらいには減るように感じている。


丁寧に自分の心の土を掘りおこして、埋まった地雷を小さくしたり、撤去してあげる。

それは、自分がどんなことに悲しんでいたのかを知って、「そりゃ痛かったよなあ」とねぎらってあげるような「ケア」が必要なんだろう。


「こんなことで怒って、自分はなんて心の狭い奴だ」なんて思うのは、傷ついているところにさらに傷つきを重ねることだから、やらなくていいと思うよ。


この「おそらくケアが必要そうな怒り」について、最近よくカウンセラーさんたちとよく話しているんだよね。


ここから先は

126字

ちょっとゆううつな気分になる日曜の夜に、心をすこしだけラクにするような内容のラジオ番組っぽいマガジンお送りします。 おたより(お悩み)も募…

いつも読んでくれてありがとうございます。 文章を読んでもらって、サポートをいただけることは本当に嬉しいです。