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週40時間の自由をつくる超時間術


時間がない、忙しい、時間の管理が甘いから全部できないんだ、あれもこれもやろうと思ってたのにまだ何もやってない・・今年が終わる・・そんなことを思って時間術という言葉が気になった方、いらっしゃるでしょう。

本書では「時間がない」に対して対症療法のような小技を紹介するのではなく、根治を目指すものです。
時間が足りなくなる本質的な原因を改善し、やりたいことを楽しめる日々を手に入れる一助になるべく本書を取り上げます。

本書はメンタリストDaiGoさんのものです。DaiGoさんの書籍はどれも研究データや論文を根拠としてシンプルに提示しているので一定のエビデンスがあり、読みやすいものが多いです。


「時間がない」本当の理由


それは思い込み、勘違いです。まずは現状認識からです。
どういう勘違いが蔓延しているかというと以下の3つです。

①物理的に時間がない

データから見ていくと、OECD発表の各国の「労働時間の推移」によると、日本人の年間労働時間は、「1970年:2200時間 2016年:1713時間」です。日本はトップ10にも入っておらず、大雑把に見れば今や働きすぎでもありません。
では余暇の時間を楽しんでいるのかと言えばそれも違うようです。
総務省の調査によれば、不思議なことに趣味やレジャーに使われる時間も年々減っているのです。

著名な社会学者のジョン・ロビンソン博士は行動記録を使った研究の中で「世界中の人が仕事に使った時間の合計は過去40年で減っている。それどころか本人が認識する週労働時間と実際の労働時間は20時間ほど乖離している。」と語っています。
まずは思っていたより忙しくないと認めたほうがより良い明日がありそうです。

この問題の解決は簡単で「忙しい」という言葉を使わないことだそうです。
この言葉を口に出すたびに人は意識が過去や未来に飛び、今の目の前に集中できなくなります。
周りに「忙しい忙しい」と言いながら通知が入るたびにスマホを見ている人がいませんか?今目の前に集中していないのがどういうことか、参考になると思います。
同時に博士は「忙しい」の代わりに「活動的だ」「活発だ」などの言葉に置き換えることを提案しています。
毎日使う言葉には非常に大きな影響を受けますから。

②タスクが多すぎる

これも思い込みです。人は死ぬほど退屈を嫌う生き物なのです。
とある実験では、電気ショックマシンと椅子しかない部屋で「ただ座っていてください」と被験者に指示したところ、15分後には自分に電気を流し始めたくらいです。
やることがある=退屈ではない」というわけです。

しかし、大事なのは作業量よりも生産性のはずです。
マーク・ザッカーバーグ、スティーブ・ジョブス、チャールズ・ダーウィンなど大きな成果を上げているのに、労働時間が少ない成功者が多くいます。
どんな人でも作業量が多いと生産性が下がることは世界中の統計調査が示しています。

思い切ってタスクを絞り一つに集中してみましょう。それはつまり、

こういうことです。

③忙しい人は仕事ができる

心理学では1950年にはもう「やることが多い人=生産性が低い」とハッキリしていたそうです。
人の脳は基本的にマルチタスクに対応していませんし、長時間労働になるほど脳の機能が低下していくことが分かっています。
そして厄介なことにハーバード大学のある実験によれば、人は忙しそうにしている人を見るとなぜか優秀だと思い込むそうです。
仕事のできない人の忙しいアピールばかりは減らないのかもしれません。


時間感覚の正し方


世界を見ても歴史を見ても「忙しい忙しい」が口癖の成功者はいません。
時間不足が錯覚であるなら、時間感覚を正すことで時間に振り回されない生活が見えてくるはずです。
自分に合いそうなものから手を付けてみてください。

①ゴールコンフリクトの解消

目標(ゴール)がぶつかり合う(コンフリクト)状態です。
貯金したいけど買いたいものがあるなどです。この状態になると焦りが生まれるので時間がないという感覚も一緒に生まれます。

まず目標を書き出したら次の3つに分類します。
間違っていてもかまいません。
a.わかっているけどやらないコンフリクト(欲望に負けるパターン)
b.思い込みコンフリクト(実は両立可能なのにトレードオフだと勘違い)
c.無知のコンフリクト(知識不足で生まれるコンフリクト)

次に簡単な対策を立てます。

a:やりたいことに着手する手順を簡略化するor辞めたいことに着手する手
   順を複雑化する(アーキテクチャを作る
例)運動したいけど続かない➡ジャージで寝て早朝すぐ走れるようにする例)食事制限がうまくいかない➡食べるには買い物しなきゃならないよう 
  に、買い貯めをしない。

b:自分自身を誰か大切な人に見立ててアドバイスを送ってください。不思
   議なことにこれだけで冷静で正確な答えが出ます。(セルフディスタン
   シング


c:知らないことがあると気づく、認める(知的謙遜)ことがスタートにな
   ります。コンフリクトがここに当てはまると思ったら以下を試してみて
   ください。
・ソクラテス式問答法
1.明確化の質問:問題の具体的なゴールは?
2.前提の質問:問題について分かってないことは何?
3.証拠の質問:今の答えを事実だと思ってる根拠は?
4.期限の質問:今の考え方はどこから得たものだろう?
5.結果の質問:問題を試したらどんな効果があるだろう?
6.視点の質問:他の人ならどう答えるのだろう?
7.仮定の質問:他にどんな答えが考えられるだろう?

ソクラテス式問答法は認知行動療法が提案するもので、能力アップやうつ病の改善など広く効果が認められています。

②時間汚染を防ぐ

・とにかくマルチタスクをやめましょう
いわゆるながら作業のこと、心理学では多くの悪影響が指摘されています。

例えば、
・集中力が下がり、生産性が40%下がる
・ミスが起こる確率が50%上がる
時間汚染が起こる:脳がストレスを感じ、時間が細切れになったように思
 い込み常に時間に追われているように感じてしまう

これらは全てマルチタスクにより脳がパニックを起こした結果です。
ではどう過ごせば良いかという効果的な対策がタスクシフト。

タスクをピックアップしたら、タイマーを使って最大30分で区切って、一つずつ切り替えて作業してみてください。はるかにパフォーマンスが向上し気持ちも晴れるはずです。
LINE返信など、細かいものも時間を割り当てておくと尚良いです。

・有効なマルチタスク
音楽を聴きながら記事を書くなどは、どちらも言語能力という同じ分野の能力を使っています。これだと最悪です。。。

しかし、ジョギングしながらオーディオブックを聞く(運動能力と言語能力)など異なる能力のマルチタスクだと問題が起きないので工夫のしどころです。

※パニックを抑えるために脳の特徴を知る
・脳は作業と環境を結びつける習性がある
・脳の処理速度は1秒につき、60ビットしかないのでタスクを積みすぎない
・連続作業が一時間を超えると生産性が急降下、回復には15分の休憩

③呼吸を落ち着ける

実は人が時間に振り回される理由を一言で言ってしまえば、ストレスと不安です。ならば強制的に落ち着いてしまうのも手です。

具体的な方法は深呼吸や瞑想になりますが、人はゆっくり呼吸しながら緊張することができないようになっています。

④リフレーミング

日本語にすると再解釈です。「時間がない」を解釈しなおすのです。
「時間がなくて焦っている➡ワクワクして昂っている」と言い聞かせるだけで効果的です。事実がどうかはこのとき関係ありません。

国内外問わずうつ病治療にも使われる方法で、幅広い効果が期待できます。

⑤親切

あまりに忙しいと他人に割く時間などないと思ってしまったこともあるでしょう。しかし、心理学的には真逆なのです。
他人のために時間を割いたほうが自分の時間を有効に使えるようになります。

とある実験で、複数の被験者に他人のためになることをしてもらい、後に時間感覚を調べます。

すると最大で時間の感覚が2倍に伸びたそうです。
実験の後も仕事の生産性が上がったことや幸福度の向上も確認できました。

要は自己効力感が向上するのです。これはひらたく言えば自信のことです。
私筆者としては何か一つだけ実行するとしたらこれを推します。
他者に共感したり、他人のミスに寛容になるだけでも効果的だそうです。

⑥スモールゴールを設定する

例えば半年で5キロ痩せたいとします。それをまず今日10分だけ運動するに変換してみてください。
短期間であるほうがイメージしやすく時間感覚が育ち、モチベーションが生まれます。さらに簡単なゴールでも達成すれば次へのエネルギーが得られます。

設定のポイントは3つあります。
・最長20分以内に達成できるもの
・成功率が80%
・ノートに記録する(アナログに拘ったほうがよい)

同じ「記録すること」でも、手書きにはデジタルでは得られないメリットが多くあります。その具体的内容に関してはこちらの記事を参照いただければ幸いです。

⑦自然に触れる

これは人の遺伝子は自然とともに生きることが前提になっているからだと言われています。
公園をぼーっと散歩する(グリーンエクササイズ)だけでも、観葉植物を置くだけでも、スマホの壁紙を大自然にするだけでも効果があります。

これら7つの方法論は体質改善の意味が強いです。気長に取り入れてみてください。

職場の時間汚染

病む職場

組織行動学の権威であるジェフリー・フェファー博士によるメンタルを病みやすい会社の共通点トップ5を紹介します。

・業績が不安定・・利益率ではなく、利益の変動率に注目してください
・組織内の不公平・・評価がぐちゃぐちゃな会社は要注意
・責任が重すぎる仕事・・成功率6~8割がベストと言われています
・仕事がない・・無意味としか思えない仕事ばかりでも同じ
・仕事とプライベートの混同・・ストレス蓄積ナンバーワンです

全て当てはまったら三十六計逃げるにしかずです。

病まない職場

逆にメンタルを病まない良い組織の要素は以下の2点です。
多様性・・性別、人格、経歴など様々なタイプな人がいる
ソーシャルサポート・・会社とつながりがあるか

仕事に関する時間汚染を防ぐ

①通勤時間
昨今の心理学、経済学では通勤に関する研究が増え、長い通勤時間は生産性を下げる大きな要因であると分かってきました。
また、通勤時間は離婚率や肥満率ともいくらかの相関性が見られます。

ベストな対策は言うまでもなく、引っ越しです
。しかし現実的でない方もいるでしょう。そこで通勤のストレスに負けない人の特徴を調べた研究があります。

一言でまとめれば、目的意識がある人は通勤ストレスに強いです。

通勤電車の中で、一日のロードマップを考えたり、トラブル対策を想定したり、可能なら仕事の準備をしてみると良いです。
また、細切れになっても良いので読書は推奨です。

②プレップ・ドゥ・レビュー
急なトラブルの対処が多い環境であれば、以下を試してみてください。
ハーバードで生み出された短い仕事の管理術です。

プレップ:深呼吸をして簡単な想定と目的の確認をします(1~5分)
ドゥ:淡々と実行します
レビュー:5分で十分なので評価します

AmazonやGoggleでは会議に応用しているそうです。


刊行2018年

以上となります。私筆者の周りには6月1日になった瞬間に、
「もう今年が半分終わった!時間が過ぎるのは早すぎる、もう一年終わったようなもの・・今年も忙しくて何もできないうちに終わった」などと謎の理屈で時間を捨て去る人もいます。

時間に関する体質が少しでも改善すればきっと、日々の満足度が向上していくのではないかと思います。
その幸福度の向上に少しでも貢献できれば幸いです。

お読みいただきありがとうございました。
何か参考になりましたら是非スキ等残していってください。

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