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『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』 が良かった

田川欣哉さんの著書『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』がとても良かったので序盤のパートをサマってみました。
誰かのお役に立てれば幸いです。

これからの時代を俯瞰し、どんなスキルを取得していくべきかとてもわかりやすく丁寧に解説されている良書だと思います。

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顧客体験が重要視される時代

多くのプロダクトやサービスは永く使ってもらうことがより重視されつつある。
サブスクリプションモデルの浸透が進んで、その傾向は加速している。
従来の買切モデル、買って貰えばそれでOKではない。
競合サービスへのスイッチングコストはとても低くなり、ネット上で容易にレビューを書くことも見ることもできる時代。
使いやすさ、体験の良さ(UX)がプロダクトやサービスにとって非常に重要な価値となった。

仮にAIやAR/VR、ビッグデータの活用などの最先端技術を駆使したプロダクト、サービスだとしても、UXが悪ければ継続して使ってもらえる見込みは著しく低下する。
仮に膨大な潜在顧客に対して贅沢にアプローチできる手段や資金があったとしても同様だし、さらには、ネット上のあらゆる場で低評価のレビュー、口コミが拡散され、ブランド価値の毀損に繋がる危険性すらある。

つまり、UX超大事だよということ。

UXをここではプロダクト使用時のユーザーの体験として定義するなら、もっと広範な意義での体験を顧客体験(Customer Experience)と呼ぶ。

顧客体験はプロダクトを使っているときのユーザーの体験はもちろんのこと、プロダクトの使用前後の体験まで含んだ広範な概念です。

従来のマーケティングを考える上で重要な4つの要素である4P(プロダクト、プレイス、プライス、プロモーション)に加えて、この Customer Experience のP(強引!)を加えた5Pが、今後より重要な要素になる。

ユーザーの隠れたニーズを見抜く価値提案、綿密に計算されたサービスの仕様、ユーザーの満足度を高める UX設計、完成度の高いアプリ、ユーザーの心を動かすプロダクトデザイン、最適化されたマーケティング ・コミュニケーション戦略とチャネル設計、安定した収益構造──。こうしたあらゆる要素が高次で実現されなければ機能しません。つまり、5Pが全体としてバランスよく揃うことが肝心であって、それができてこそ、はじめてデザインが活きるのです。

「UXが大事なのか、じゃあその手の経験があるデザイナーを雇って対処しよう!」
じゃ、まだイノベーションを起こせないということ。

BTCトライアングル

では、どんな組織が5Pを満たすことができるのか?
それがBTC型組織。

B = Business
T = Technology
C = Creative

ビジネス( B )とテクノロジー( T )とクリエイティブ( C )の3領域に存在する組織間の壁をまず取り払い、 3つの領域が有機的につながるチームを作らなければいけません。この3領域が統合された状態を「 BTCトライアングル」と呼びます。

では、どんな人材がBTC型組織をつくることができるか?
BTCに精通している人材=BTC型人材。

これまでイノベーターとして活躍してきた人は、ビジネスとテクノロジーを高解像度で理解して密結合させるスキルや経験を持つ人(BT人材)だったが、加えてデザインについても理解をしていく必要がある。

そもそもイノベーションって何?

イノベーションとは一言でいえば「新結合による価値創造とその社会浸透」のこと

イノベーターってどんな人?

アイデアがあり、それを具現化して、なおかつ社会浸透まで実行してしまう人材のことを、イノベ ータ ーと呼びます。
多くのイノベーションは、以前から存在していたが、普段出会うことのない複数の要素が、独特の形で出会い、結合することで価値化するパターンです。

BTC型人材の頭の中で、B的思考や戦略、T的発想や実現方法、C的ユーザー視点や美意識などが異種結合されることで、イノベーションが起こる打率が上がる。

少なくともリテラシーがあれば、BTC型組織をうまくドライブすることができる。

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書籍の内容としては、BTC型組織構成のためのアプローチ方法や、BTC型人材になるための実践的な方法論、著者である田川さんが代表を務めるTakramではどのようにBTC型組織やBTC型人材が育成されていくのか、その具体的な事例が続きます。

それらひとつひとつの「手引き」は導入コストが低いという意味で誰でも実践でき、しかも着実にスキルアップできそうだなと感じられました。
具体例や成功例が豊富なのでイメージもしやすかったです。

私はエンジニア畑出身ですが、デザイン、あるいはデザイン思考の理解を深めることの重要さが腹落ちしたなーという印象です。
デザイン領域への"越境"はハードルが高いようにも感じられますが、ここに書かれている方法論を取り入れ、デザイナーと会話を重ねることで少しでもBTC型人材に近づきたいというモチベーションが高まりました!
がんばります。



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