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八月の棚卸し|ゴミと向き合い続けた夏の記録

このエッセイは、ゴミと向き合い続けた夏の記録です。

✿ プロローグ|幼心と社会の仕組み

小学校四年生とき。社会科の授業で初めて埋立地というものを知りました。すごく驚いたのを覚えています。ゴミを埋め立てて出来た土地であることよりも、ゴミを埋め立てる以外どうしようもないでいる社会の仕組みに驚いたのです。

(なんで埋め立てるしかない物を作ってるの?最初から再利用できる物で作ればいいじゃない?なんでやらないの???誰か止められないの?これ100年後はどうなるんだろう……?)

ゴミを通して見えた社会の仕組みは、幼い私の心にもハッキリを落としたのでした。

それから三十年の月日が流れ、埋立地の思い出も記憶の彼方に追いやられていた頃、恐ろしいことが起きました。ジメジメと暑さが増してきた初夏のこと。我が家にアイツが出たのです。

古い家なので夏になると毎年一回は出食わしてしまうのですが、今年のは大きかった……。

さっそく強力なバルサンを炊きました。だけどこういうのって、効果が薄れたらまた炊かなきゃいけないです。しかも強力タイプは目や喉への刺激が強い。そして地味に高い。毎年は難しいかな?と考えるようになりました。

(こうなったら、お金をかけずに徹底的に綺麗を保ってやる!)

そこで見直したのがゴミでした。

✿ その1|生ゴミにおけるチラシの活用

暑くなってゴミが臭い出すとアイツは出没するんです。だったら臭いをどうにかすればいいのではと考えました。

最初に試してみたのが生ゴミの冷凍です。確かに臭いは出ないしとても楽。だけど気になることが一点……。

(これ回収するされるときには溶けてぐちゃぐちゃになっていないかな?)

冷凍して石のように固くなった生ゴミは、収集車に入れるとガツン!と音を立て、収集車を壊してしまったりするかもしれません。溶けて柔らかくなれば、水分をたっぷり含んでいるわけですから、燃やすのに時間がかかるんじゃないかな?そんなふうに心配になりました。

で、調べてみたらやはり燃やすのに時間がかかる上、清掃員にもご負担をかけてしまうようなので、生ゴミの冷凍は断念しました。

ゴミ清掃員をしているお笑い芸人・マシンガンズの滝沢秀一さんのお言葉をお借りします。

”まれに生ゴミを冷凍させる人がいます。凍らせておいてゴミの日に出すんですが、僕たちが回収する頃には溶けてドロドロになってます。凍っている間はニオイも出ずにいいでしょうが、僕たちは溶けて一番最悪の状態で回収することになるわけで、これはマネしないでもらいたいですね。”

週プレNEWS「夏のゴミはなぜ重い?軽くする方法をゴミ清掃員が解説!」より

”燃やすときにゴミが湿っていると、水をぶっかけながら燃やすのと同じことになります。それにより燃焼時間が長引けばCO2を多く排出しますし、短時間で燃やそうとすれば重油を投入しなければいけません。”

週プレNEWS「夏のゴミはなぜ重い?軽くする方法をゴミ清掃員が解説!」より

大好きな滝沢さんがそう仰るのならやめてあげたい。そこで発見したのがこちら。めろんハッピーラボさんがYouTubeで紹介するチラシの活用です。

初めて見たとき、この人すごい!!と感動してしまいました。なんで今ままで考えつかなかったんだろう???生ゴミが臭わない上に脱プラもできる。その上、お金もかからない!

生ゴミの臭いは、腐敗臭なのだそうです。高い気温と水分が腐敗を進ませるので、こいつをどうにかすればいいんです。冷凍がダメなら乾燥!ということですね。

チラシがなかったら広報誌でも、コピー用紙でも、ネットショッピングの納品書でも使えます。我が家はパルシステムを利用しているので、チラシはたくさん手に入ります。

まずは枝豆の殻、果物の皮など、乾燥しやすいものからトライしてみました。確かにそのまま捨てるよりも臭いが減りました。良いですね!こんなふうにほったらかし。

何でも包んでひとまず置いておきます

パックのお茶殻の場合、私は外で洗濯バサミに干して乾燥させています。真夏はものの数時間で乾きますし、想像していたよりも全然面倒くさくありませんでした。見た目は「おじゃる丸」に出てくるうすいさちよさんみたいです笑(うすいさんは1回使った紅茶パックをもらってきては、乾かしてまた飲むという強キャラです)

昔は生ゴミを新聞紙に包んで捨てる家庭も多かったようです。今は新聞を購読する家が少ないですが、チラシでも十分なんですよね。使い終わったノート雑誌を破って使うのもアリだと思います。紙ゴミって探すとけっこうあります。

生ゴミだけでなく、普通のゴミもチラシで包むとカラスにやられないのでお勧めです。ご近所さんから教えてもらった方法なのですが、もしも突っつかれても、ゴミが散乱しにくいとのことです。

✿ その2|虫除けにクローブの活用

チラシ包みを乾燥させておくとき、念のためクローブも一緒に置いておくとちょっと安心。

クローブとはインドネシア原産の植物で、エスニックな強い香りを放ちます。紀元前3世紀の漢王朝では、皇帝に謁見するときの口臭対策としてこのクローブを噛んでいたそうです。今で言うところのミントタブレットみたいな使い方ですね。

香辛料生薬として古くから世界各地で使われていて、日本では「丁子(チョウジ)」という和名で呼ばれています。

嬉しいことにこのクローブは、一ヶ月前、我が家に出没したアイツを寄せ付けない天然の虫除けとして、今密かに人気のアイテムなのです。

使い方をご説明します。ネットショッピングで購入できるクローブは、小さな小枝みたいな大きさです。お茶パックや小鉢などに入れて、出没しそうな洗濯機の裏側、冷蔵庫の隙間などに置いておきます。我が家では玄関扉のポストにも1つ入れています。開封直後は強い香りを放ちますが、数日で落ち着き、あとはほのかに香る程度になります。

香りがなくなったら交換というところです。使い終わってもプラや金属のゴミが出ませんし、お庭がある家なら土に帰せるのが嬉しいですよね。

枝豆の殻のチラシ包み(クローブ添え)

✿ その3|排水口ネットからの離脱

チラシ大作戦をきっかけにどんどんアイディアが湧くようになりました。あれも使える!こんな使い方を見つけた!これは価値の棚卸しです。工夫する喜びに従って、ゴミと向き合い続けた今年の夏……。

キッチン関係ですと排水口ネットを辞めました。排水口ネットって日用品の中でまあまあコストですし、目が細かいのは詰まるし、目が粗いのはネットする意味ないし、買い足すの忘れやすいし、たいして重要ではないのでは?と思ったんです。

小さなスクレイパーを活用しました。生ゴミはスクレイパーでサッサッと掻き集めて、キュッと押し付けて水気を切って、ポイです。

スクレイパーは柔らかくて小さめがお勧め

✿ その4|不織布の価値を再認識

排水口ネットで思い出しました。間違えて購入した不織布の排水口ネットが我が家で冬眠しておりました。使い道もありませんし、誰かに譲るにしても不織布タイプって好みがあるし、思いきって捨ててしまおうか?考えていましたが、この使い方に気づいてから、不織布がようやく長い冬眠から目覚めました。

ゴミ袋として活用!

なんと洗面台のゴミ箱にちょうどいいサイズだったんです。洗面台のゴミって、髪の毛とかティッシュとかが多いですし、不織布でも十分代用できたんです。

不織布は何かと便利でした。我が家は緑茶に関してはお茶パックを使わず、茶葉を急須に入れて呑みますが、お茶パックでないとお茶殻を捨てるときに絞りづらいんです。そこで先ほどの余らせていた不織布をお茶殻絞り専用にしました。強めにギュッと絞っても破れにくいですし、水洗いして干してまた使っています。

絞ったお茶殻はチラシ等に包んで乾燥タイム

✿ その5|洗い物にナイロンタオルの活用

チラシの活用でお世話になっためろんハッピーラボさんのアイディア。ナイロンタオルもとっても便利でした!私は敏感肌なのでナイロンタオルを使わないのですが、水筒などの筒型容器を洗うのに良いとのことで1枚持っておくことにしました。

すごい便利!急須にもお勧めです。スポンジでは洗いづらいふち裏部分も、水だけでひょいひょいです。注ぎ口は、タオルを竹串に絡ませて松居棒みたいにして洗います。なぜ今までこの方法を思いつかなかったのか……。

①好みの大きさにカットします
②シャバシャバシャバ!!

水洗いでも十分落ちますが、水筒くらいなら石けん洗剤の使用がお勧めです。泡切れがよいので時短になります。あとシンプルに気持ち良い。

薄手だと破けやすいので、まあまあ厚さがあってもいいと思います。カットしながら使うので長持ちします。

✿ その6|布ナプキン&シンクロフィットに変更

棚卸しはキッチンから離れます。次は女性にしか真似ができませんことをご了承ください。実は私、半年くらい前から布ナプキン&シンクロフィットを使っています。ナプキンやおりものシートのゴミってけっこうな量ですよね。夏は臭いも気になります。

まずは布ナプキンについて。こちらのWガーゼが柔らかくて通気性もあり、敏感肌の私にぴったりでした。

初めて布ナプキンを試したときは、やはり漏れが心配でしたので、まずはおりものシートとして使い、慣れてきたら生理の軽い日に使いました。

感想は「むちゃくちゃ良い」です。特にWガーゼなのが良いです。他のタイプも試したことはありますが、生地が固くて、自転車に乗るとお股に当たってけっこう痛いんです。Wガーゼは柔らかいので自転車に乗ってもあまり気になりません。

ここからが私流です。私はそこにシンクロフィットをプラスしています。経血が多い2~3日目に使うことが多いです。シンクロフィットはまだ認知度も低そうなのでリンクをご紹介します。

着用感は「お股にピンポイントで超小型ナプキンが装着されている」イメージです。便座に座ったときに自然に落ちるて、そのまま水に流す仕様です。これ考えた人すごいですね!初めて使ったとき感動しました。

仕事中など漏れが気になる日は、布ナプキンにこだわらず、普通のナプキン&シンクロフィットが安心です。私も多い日の夜には普通のナプキンを使います。かぶれが気になる時はやはり布ナプキンですが。

普通のナプキンの場合も、ほとんど替えなくても済むのが有り難いんです。シンクロフィットのおかげでナプキンに経血が付かないんです。

布ナプキン&シンクロフィットに変えてから、本当にゴミが減りました。どちらも発明して下さった方に心より感謝申し上げます。

✿ 番外編|熱々のおしぼり

家にいるときは、汗ふきシートの代わりに熱々のおしぼりで身体や首を拭くようにしました。タオルを水で濡らして絞ったら、500~600Wで30秒レンチン。買い物から帰ったときや朝起きたときに気持ち良いんです♡

まだまだ残暑が続きますので、この機会にぜひ試してみてくださいね。

雑に絞られた熱々のおしぼり

✿ エピローグ|海の青さに願いを込めて

今って何でもすぐに捨てちゃうんですよね。そのほうが楽だから。だけど、ちょっと立ち止まって他のやり方はないかな?と探してみるだけで、ゴミは減ってお金は増えるんですよね。

だからゴミだけどゴミじゃないんです。価値の再発見です。価値とは目には見えない宝物です。立派な資産です。

私はゴミと向き合うことをケチとは思いません。「必要のないことはしない」というシンプルな生き方だと思っています。お金をかける必要がないなら、かけないで済む方法を選ぶ。捨てる必要がないから捨てない。それだけのこと。固定観念に縛られることなく、自分で考えて、自分のスタイルに合わせて、自分で選ぶ生き方は、自由自立していてスッキリしています。

埋立地について初めて知った小学四年生の秋。社会科見学で品川区にある船の科学館に行きました。大きくて立派な科学館に圧倒されました。でも、私のどこかにまだ埋立地の余波が残っていたのを覚えています。床も甲板もカモメも海も、なんだか不思議と人工的に感じられて、よそよそしくて。

人類が科学技術を正しく使いこなすには、その5倍の精神レベルの高さが必要だと聞いたことがあります。宇宙の恵みが ”あたり前のこと”として行き届くように。そのためにテクノロジーを使う。知的な社会の仕組みから生まれる幸せは、きっと本当で本物の安心でしょうね。

この海の青さが100年後もそのままの色でありますように。

”船の科学館は「臨海副都心」という言葉や周辺の建物、さらには住所も無かったこの東京湾の埋立地に、昭和40年(1974年)7月20日に開館しました。”

船の科学館ホームページ「ABOUT/船の科学館とは」より引用

(おしまい)

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