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【『それパク』で話題!】「知的財産」とは?知的財産に関する国家資格「知財検定」とは?

こんにちは。弁理士の宇田川貴央です。

2023年4月から放送されているドラマ『それってパクリじゃないですか?』で話題になっている「知的財産」。特許事務所や企業の知的財産部で働いていないと、聞きなじみのない言葉かもしれません。実際、このドラマの主人公のように『チザイ』ってナニ!?『ベンリシ』って便利屋さん?という方も少なくないのでは・・・。

この「知的財産」には、「知的財産管理技能検定(知財検定)」という国家資格があるということをご存知でしょうか。この記事では、ドラマをきっかけに知的財産に興味を持った方や、もともと知財検定に興味があった方に対して、知財検定、特に知財検定3級試験がどのようなものなのか、さらに知財検定資格取得のメリットを解説します。

1.知財検定とは

(1)知的財産とは

「知財検定」について記述する前に、そもそも「知的財産」とは何かを解説します。
知的財産」とは、アイデア、デザイン、ブランド、及び創作物(例えば上記のドラマ)、その他のカタチのない価値のあるもののことです。少しだけ専門的な言い方をすると、アイデアを「発明」、デザインを「意匠」、ブランドを「商標」、創作物を「著作物」といいます。これらの知的財産は、個人レベルで生み出されることもありますが、その多くは企業における事業活動において生み出されます。

(2)知的財産権とは

これらの知的財産に関して「知的財産権」という権利があります。
知的財産権」とは、アイデアや創作物などを、それを生み出した人が独占できる、つまり他の人が使用できないようにするなどして、保護する権利のことです。例えば、発明、意匠、商標、及び著作物を保護する権利を、それぞれ「特許権」、「意匠権」、「商標権」、及び「著作権」といいます。これらの権利については、いずれも法律で規定されています(例えば、特許権については「特許法」)。

(3)知財検定とは

前置きが長くなりましたが、以下「知財検定」について記載します。公式HPによると「知財検定」について、

知的財産(知財)を管理(マネジメント)する技能(スキル)の習得レベルを測定・評価するもの

https://www.kentei-info-ip-edu.org/about.html

と記載されています。
上述した内容を踏まえてより具体的に記載すると、「知財検定」とは、事業活動等における知的財産に関する問題に対して、知的財産権に関する法律知識を活用して適切に対応するためのスキルを、どの程度習得できているかを客観的に示すことができる国家資格、といえます。なお、知財検定に合格すると「知的財産管理技能士」を名乗ることができます。

2.資格取得のメリット

(1)就職・転職、及び昇格・昇給において有利に働く

いきなり生々しい話で恐縮ですが、これらは、知財検定に限らず、多くの方にとって資格取得を目指す大きなモチベーションの1つになっているのではないでしょうか。

私自身の転職経験を話します。私はもともとメーカーで研究開発職に就いていましたが、あるとき知財業界に飛び込むことを決意しました。その際、知財に関するバックグラウンドが何もなかったため、転職がうまくいくか不安でした。
そのとき、知財検定という国家資格があることを知り、知財検定に合格したのを機に転職活動を開始し、縁あって知財関連の職に就くことができました。
転職がうまくいったのは、必ずしも知財検定に合格していたことによるものとは限りませんが、少なくともその一助になったと思っています。

また、知財検定の公式HPには、知財検定合格を昇格要件、人事考課の要件としている企業が掲載されています(https://www.kentei-info-ip-edu.org/exam_kekka_dantai.html#kigyou_02)。

(2)習得したスキルを活かして活躍できる

特許を例にとると、例えば以下のように知財検定で習得したスキルを活かせるでしょう。

  • 特許出願から権利化までの流れを把握していることで、適切な手続をとることができるようになる(特に特許事務所の事務担当の方に有用)

  • 特許権のライセンス契約の場面において、独占禁止法上の問題かないかどうかといったことを検討することができるようになる(特に企業の知財部、法務部の方に有用)

  • 弁理士等の社外の知的財産の専門家と協力が必要な案件において、円滑にコミュニケーションがとれるようになる(特に企業の知財部の方に有用)

  • 知財実務について知ることで、当初から特許権取得を念頭に置いた研究開発活動ができるようになる(特に企業の研究開発部門の方に有用)

3.知財検定3級試験について

知財検定には、3級から1級まであります。公式HPには3級試験のレベルについて、以下のように記載されています。

知的財産管理の職種における初級の技能者が通常有すべき技能及びこれに関する知識の程度

https://www.kentei-info-ip-edu.org/range.html

さらに、試験の対象者像としては、以下の方が想定されています。

知的財産分野について、初歩的なマネジメント能力がある

https://www.kentei-info-ip-edu.org/range.html

すなわち、「初級の」、及び「初歩的な」などとあることから、これから知財について勉強しようと思っている方、知財の道に進もうと思っている方にとって適した資格といえるでしょう。

3級試験に興味を持った方、受検しようと思っている方は、ぜひ拙著「知的財産管理技能検定3級テキスト&過去問題集」で勉強されることをご検討ください。

最後までお読みいただきありがとうございます。

それでは。


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