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社会人なら知っておきたい「融資」と「出資」の違いについて

「出資した400万円を毎月返済するって約束してたよなあ?」

とある漫画で、いかにも悪そうな顔をした人(その後無料版を読み進めたところ、厳しいけれど良い人であることが判明)がこんなセリフを口にしていました。

「おまえなんか事業に失敗して、出資者にお金貸せなくなって自己破産してしまえ!」

Twitterで事業家にこんな悪態をついている人がいました。

んー、これは、融資と出資の区別がついていない人が多い?

というわけで、僭越ながら解説記事を書いてみることにしました。

資金を調達するふたつの方法

たとえばあなたが事業を起こそうと思い立ち、色々検討した結果、立ち上げに500万円必要であることが分かったとします。

預貯金をはたくなどして自前で500万円を用意できればそれに越したことはありませんが、それが難しい場合は「融資」と「出資」という二つの方法で資金を調達することになります。

融資 = お金を貸してもらう

ひとつめの方法は、誰かに(多くの場合は金融機関に)お金を貸してもらうことです。一般的にイメージする借金です。
その際は

「500万円を借りて、毎年100万円ずつ、5年で返済します。年3%の利息を支払います」

といった具合に、借りたお金は返済する必要があり、利息を支払う必要があります。

出資 = お金を出してもらう

もうひとつの方法は出資と呼ばれるもので、誰かに(多くの場合は投資家に)お金を「出して」もらうことです。

出資してもらったお金に対しては融資と違って利息も発生しませんし、返す必要もありません。

じゃあ良いことづくめじゃないかというと決してそんなことはなく、出資してもらった側はそれなりの対価を渡さなければなりません。
その対価というのは株式。つまりは「会社の意思決定権の一部」です。

仮にあなたが自前で500万円を用意して会社を立ち上げた場合、会社の意思決定権は100%あなたに属します。会社をどうするかはすべて、あなたの一存で決められるということです。

しかし出資を受けた場合、この意思決定権の何%かを出資してくれた人に渡さなければなりません。つまり、あなたが決めたことに対して、待ったをかけられる可能性が出てくるということです。

割合は両者で話し合って決めますが、この渡す割合が多ければ多いほど、会社の意思決定をあなたの一存で決められなくなってしまいます。渡す割合が51%を超えたなら、会社の意思決定においては相手の方が声が大きくなることを意味します。

出資というのは「会社の意思決定権の一部を売却して資金を得る」行為と言っても良いかもしれません。

まとめ・「融資」と「出資」の違い

融資してもらったお金は
返さなきゃいけない/利息を払わなきゃいけないけれど、経営に口を出されない。

出資してもらったお金は
返さなくていい/利息も払わなくていいけれど、経営に口を出される。

つまり冒頭で紹介した「出資した金を返す」というような発言をしていた人は、おそらく融資と出資の区別がついていないものと思われます。

目的に応じて使い分ける

このような違いがあるので、資金を調達する際は融資と出資をうまく使い分ける必要があります。

お金を稼ぐ目途(=返済の見通し)がついている場合は、融資。

「借りた金はきっちり返すし利息も払うから、俺のやることに文句つけんじゃねえ」

というスタイルです。

一方、うまくいけば大儲けだけど、失敗する確率もかなり高い。そんな時は、出資。

「お金を返せる保証はないので、もらったお金は返しません。その代わり、経営に口出していただいて結構です」

というスタイルです。
もっとも、この「経営に口を出される」というのは決して悪いことばかりではなく、たとえば経験豊富な投資家から出資を受けられれば、資金だけでなくアドバイスももらえるということになります。

以上、ものすごく大雑把な説明となりますが、融資と出資の違いについてでした。
次回は「お金を出す側から見た融資と出資の違い」についても触れてみたいと思います。


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