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お金と自由と優しさって関係あるのかな

改札を出て地上へ続く階段をみんなが一斉に上っていくなかに、両親らしきひとたちと小さな子どもの3人連れがいた。
子どもと手をつないで登っていたらほかのひとたちに迷惑だと思ったのだろう。両親のどちらかが子どもをだっこをしようとしたら、その子は途端に泣き始めた。
その子はたぶん大人たちと同じように自分の足で階段を上りたかったんだろう。だけど、その選択肢を一方的に奪われそうになったことに理不尽さを覚えて怒っている。たいていの子どもは内面で怒っていてもその怒りを外に出すんじゃなくて、泣くことで怒りを表明することが多いように思える。
親たちが外に出たら歩こうねとなだめても子どもはギャン泣きするばかりなのを背中に聞きながら、複雑な気持ちになった。

今日はべつに急いでいなかったから、その子の気持ちを思いやることができた。
電車のなかで赤ちゃんが泣いていると舌打ちするようなひとの気持ちはまったく理解できないけど、平日のラッシュ時にのんびり手をつないだ親子に通路をふさがれたら、いけないことだとはわかっていてもついイラッとしてしまう。自分でやらせてあげたい、だけど時と場合によってはそれを迷惑に感じる自分もいる。そういう意味で複雑な心情だった。

だけど、大人だって自分の選択を他人から制限されたら、そんなことをされるいわれはないと思うんじゃないだろうか。大人にあるのと同じように、子どもにだって選択権はある。それは基本的人権のようなものであり、自由であることのひとつ。何人もひとから自由を奪う権利はにゃい!

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知識がひとを自由にすることを手助けするということは、なんとなく実感として納得していた。
薄らバカな状態から、大学に入り直して知らなかったことをいろいろ知るようになって、それでもまだまだ薄らバカで、わたしなんかの知らないことはまだまだ世界にごまんとあると思うけど、それでも知識によって日々の生活のなかで精神的な自由度がほんの少しだけ増したと思っている。

だけど、お金がひとを自由にするということはまったく考えたことがなかった。どうして人々があんなにお金を稼ぎたがるのかわからなかった。
お金のために残業したり、この寒いのにかなり不確実なものを求めて宝くじ売り場に列をなしたりするのが理解できなかった。これらも100%正当とは思えないけど、不正をしてお金を手に入れたりすることに至っては、ますます不可解だった。
だけど、少し想像してみた。たぶん、彼らはお金を手に入れて自由になりたいんだと思う。この場合の彼らにとっての自由は、不安から逃れるという意味での自由だと思う。お金があれば安心感を得られて、安心という自由を得られるかも? という自由。
残業代を稼いで貯蓄しておけば、子どもの学費が必要になったときに安心とか。宝くじで1億円当たればこれからは左うちわとか。

そうとは言え、収入増を目的とした残業は、そのひとの時間の自由をなくす。長時間労働によって健康状態も悪くなるかもしれない。不健康になれば、健康ならば必要のなかったことに時間やお金を費やすかもしれず、べつのところで不自由が生じている。
宝くじ売り場に並ぶひとは、その時間によってべつのことをする時間がなくなり、当たる確率のほぼないものへお金をつぎ込む(たとえ3,000円でも!)ことによる経済的損失が生まれる。寒いところに長時間いることで風邪を引いて寝込んでしまうかもしれない。
自由を求めるために不自由を得るなんて、なんだかやりきれない。
お金をもっと有効に活用できたら、そういうトレードオフはなくなるんじゃないか。

不正をおかしてまで私腹を肥やす必要はないけれど、自由のために、労働以外の収入も確保しておくこと。そういう発想が今までのわたしにはなかった。「年収○○倍!」とか見聞きすると、うわー欲深いわ〜とか思っていた。
だけど、単に強欲なのではなくて、お金を上手に運用すれば自分の選択肢が増える、つまり自由度が高まるということだったのだ。

お金のために長時間労働することがなくなれば、家族と一緒にいる時間を増やせたりとか、趣味やボランティアといった仕事以外の活動に時間が使えるようになるとか。あるいは自分がほんとうにやりたいと思っている職業に、まずは副業として挑戦することだってできるかもしれない。

ちょっと話が飛躍するようだけど、そうやって自由を得ることによって選択肢が増えれば、もうちょっとひとが優しくなれるんじゃないかなと思う。
自分の足で階段を上りたい子どもがいたら、混んでいようが自由にチャレンジさせてあげたくなるかもしれないし、電車の中で赤ちゃんが泣いていても、みんなでベロベロバーってあやせるかもしれないし(余計泣いちゃうか……)。

そんなことをこの本から学んだので、わたしも食わず嫌いだったお金の運用について実践しながら学んでいこうと思った(ちなみに勝間和代さんのことも長年食わず嫌いだったけど、すごく純粋なひとなんだなと思った。猫も飼ってるし!)。



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