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文フリがコミケ化する必要はない


2024年から、文学フリマ東京に限り、入場有料化(1000円)、及びビッグサイトでの開催に切り替えるという。

これにはぼく個人としては半分賛成半分反対であって、賛成の理由は、1000円という決して安くない入場料を取られることで、ファッションとして文フリに来場していた一部の層がたぶん(だいぶ)削られることに大きく期待する。
真面目に本を買いに来ようとする客だけが選別されるわけだ。
しかし、これにはマイナスもあって、1000円と言えば1〜3冊は本が買えてしまう。予算の少ない客層にとっては高いハードルになってしまう。それを、ぼくは危惧している。

マイナスの意見としては、確かに出場者が年々増え続け、東京流通センターでは間に合わなくなったのかも知れないが、だからといってコミケ会場にくら替えするのはどうかと思う、何なら文フリを始めた頃からひそかに「いつかはビッグサイトで」くらい思っていたんじゃないか? とさえ邪推してしまう。
流通センターの利点はその過密性にある。偶然の本との出会いの確率が高いのだ。また、回るのも短時間で済み、「だったら掘り出しものでも探そうかな」という余裕がある。
ビッグサイトにはそれがない。
目当てを回るので精一杯のはずだ。
二、三日間開催などなら話はわかるが一日なのは変わるまい。
なら、大変になるのは来場者ばかりだ。

スタッフや金銭問題についてはあえて触れずに、純粋に本を買う・売るの立場からの評価として書いた。
ぼくはとりあえず一度だけ客足が予想通りになっていないか見るために参加するが、予想通りなら次回から東京開催はパスしようと思う。

文学フリマの精神は、「自らが文学と信じるものを売り買いする」これに尽きるはずで、フォロワーしか買いに来ないとか、お義理で売り買いするとか、そういう商売をする場ではないはずだ。
そう言う意味では、大阪の方がその精神に近いやり取りをさせてもらったと思う。
東京がそう言った場でしかないなら、これ以上「場」を広げる必要がない。つまりコミケとためを張る必要もない。

「自らが文学と信じるものを」。

もう一度、この原点に、特に東京は還るべきだ。



シキウタヨシ

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