慣れるUIをつくる 理論編

「良いUIって何だろう?」という話題の中で、“直感的なUI” や “問題解決するUI”、“コンセプトを訴求するUI” などと一緒にほぼ確実に上がるものがあります。

それは「慣れたUI」です。

ほとんどのUIにおいて、インターフェースへの慣れはユーザーにとっての(少なくとも一時的には)大きな体験要素です。

サイトやアプリをリニューアルすると一週間くらいは離脱率が上がってしまうのがその証左です。(体験したことのあるデザイナーさんもいらっしゃるのではないでしょうか)

UIデザイン、あるいはUXデザインにおいて、慣れと闘うこと、あるいは慣れをデザインすることはユーザーが触れるものをデザインする人にとって至上命題と言ってもいいかもしれません。

目次

1. 慣れを生むデザインの難しさ
2.「慣れ」の強さ
3. 慣れるUIを作るためのデザイン方針
4. UIに慣れてもらうためには、寛容さが不可欠

慣れを生むデザインの難しさ

しかし、慣れがUIにおける大きな体験要素だったとして、それをプロダクトに組み込むのは難易度が非常に高いと言えます。

何故なら、ユーザーの性質や環境はデザイン出来ないためです。

デザイナーもエンジニアも、プロダクトをコントロールすることは出来てもユーザーの過去の体験や利用環境、利用のコンテクストまでコントロールすることは出来ません。

ユーザーは昨日iPhoneからAndroidに変えたばかりかもしれませんし、炎天下の青空の下で上司に電話をしながらキーボードを叩いているかもしれません。同時に複数のスマホを触っている可能性もあります。

誰かにとっては馴染み深いものであっても、違う誰かにとっては使用に耐えないものかもしれません。あるいは環境によっては使いたくないものかもしれません。

だからひとくちに「慣れるUI」と言っても、その形は人によります。その全てに対応する千変万化なものは、神様でもなければ作れません。

その意味では、iOSのHIGやGoogleのMaterial Designなどを遵守することは、OS自体の慣れの効果を最大限に利用できる良い手段です。彼らはある意味神様のようなものと言えるでしょう。

しかしそれでは、既に出来上がっているものを切り貼りしたりアレンジを加えているだけなので、成熟したガイドラインの無いプラットフォームや新しい領域におけるデザインに応用が効きません。

これではデザイナーとして片手落ちです。

私たちデザイナーには、慣れを生むUIについて、OSやデバイスにとらわれない域まで一般化された規範や方針が必要と言えるでしょう。

このエントリーでは、その方針の1つとして「寛容さ」を提案していきます。

「慣れ」の強さ

ユーザーがインターフェースに慣れるまでには、当たり前ですが「使う」という過程が存在します。使っている中で、迷ったり間違ったり、誰かに教えてもらったりしてようやく操作を憶え、慣れていきます。

SF映画のハッカーのように、初めて見るどんなUIも自在に使いこなせることは現実にはあり得ません。

ユーザーがインターフェースを使いこなせるほど慣れるまでには、様々なコストがかかります。時間はもちろん、勇気もコストです。

ボタンを押すことで何かが起きることを恐れない勇気、本当に届くかどうか不確実な何かを買う勇気、データをダウンロードした瞬間にデバイスが壊れる可能性への恐怖に打ち克つ勇気...。

これらを繰り返しながらユーザーはインターフェースに慣れていきますが、このコストがあまりに大きいと、ユーザーは慣れる前に離脱してしまいます。

つまるところ、トライアンドエラーを繰り返すコストの高さがユーザーの慣れを妨げます。慣れを生むためのUIデザインでは、このコストを極限まで下げることが求められます。

慣れるUIを作るためのデザイン方針

「使う」間のユーザーの行動とトライアンドエラーの体験をデザインすることで慣れを生める可能性は上記の通りですが、ではデザイナーはこれをどのようにデザインすればよいでしょうか?

慣れるまでには、何度も「使う」を繰り返し、トライアンドエラーで学んでいく必要があるので、ユーザーにトライアンドエラーしてもらうことが主な方針となります。

するとここで、慣れを生むデザインを作るための明確な問いを発見することが出来ます。

「ユーザーに自らトライアンドエラーをしてもらうためには、どうすればよいか?」

という問いです。

「どうすれば慣れるUIを作れるか?」というよりも、この方がデザインで解決できそうな問いに感じませんか?

問いを発見することは、デザインおよび課題解決の第一歩です。

次は、この問いへの答えを探っていきます。

UIに慣れてもらうためには、寛容さが不可欠

結論から言うと、この問いへの答えはズバリ、ユーザーの間違いに寛容であることです。

つまり「間違わないようにデザイン」するのではなく、「間違ってもいいようにデザイン」します。

何故なら、間違ってもよいならば安心してトライすることができるからです。

トライしやすいことは試行回数の多さに繋がり、試行回数の多さは憶えやすさとなり、憶えやすさは試行回数を更に増やし、多くの試行回数が慣れへと繋がっていきます。

反対に、間違わないようにデザインしようとすると、ユーザーのコンテクストによっては使用に耐えなくなってしまうことがあります。

ここでひとつ、ユーザーの間違いやコンテクストに寛容だったことで大成功しているプロダクトの例を挙げましょう。

つづき>>
「事例編 世界で最も使われているカラシニコフの話」

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UXマン

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