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うずまき農事記録 2023.6.21

 自家菜園をやっている。半農半本屋、というには、その割合が全然足らないものの、畑になにかしら食べられるものがあるというのは、空腹が何よりもおそろしい食いしん坊にとって、とても心強い。畑ばんざい。

 販売するための作物を作っている訳ではないので、好きなものを植えて、基本農薬も使わず、最小限の肥料資材でやりくりします。作業もテキパキとは程遠く、耕作機械も使わないので、労力でみるとかえって高くついている、というのは間違いありませんが、旅行に行ったり、お金を使ったレジャーなんぞするよりも、出費は少なく、生活の役に立つのですから、やらないと勿体無いのです。

うずまき畑、15m×20mぐらいでしょうか。サイズ感は画面左の草刈機が目安になるかな。

 うずまき畑で、肥料として使っているのは、精米所でもらってきた米ぬかを材料に作る「ぼかし肥」(米ぬかに色々混ぜて発酵させたもの)、台所から出る生ゴミ、側溝に落ちている落ち葉、籾殻や刈り草、ストーブの灰など。これだとどうしても足らない成分(窒素)があるのですが、動物を飼っていないので、牛ふん堆肥や、鶏ふんなどは時々買うこともあります。本当は自前(トイレ)でまかなうのが理想ですが、それをすると、収穫物を気軽に人に贈ったりしにくいので、そこにはなかなか踏み出せないでいます。(人間も動物なんですけどね)

近くの側溝にみっちり詰まった落ち葉を腐葉土に。
ここ半分土になってますが、すぐに畑に入れてはいけない。(土と混ぜてしばらく放置)

 現在お借りしている畑は、元々水田だった場所で、全体に粘土質で石もたくさん入っているために、深く耕されたフカフカの土がお好みの園芸作物にはかなり過酷な環境です。トラクターもないので、スコップと鍬で耕すしかありません。畝を高く立てても、南国特有の豪雨で、いつのまにか畝が平らになり、耕したはずの耕土も水浸しで、カチコチの粘土に逆戻りです。わあい。しかしそもそも水田としては、粘土の層がしっかりあって、水が抜けないことが重要なのですから、長年水田として使ってきた場所を畑にするのは、申し訳ないことのような気もします。

いい土には歴史がある

 鉢やプランターで植物を育てる場合、土を全部入れ替えるのも簡単にできるのですが、田畑でそれは難しい。地元の人が、何十年も田んぼや菜園として耕してきた場所は、実はものすごい労力が注がれてきたもので、元々荒地だったところに、堆肥を入れたり、石を取り除いたり、到底金額に換算できるような仕事量ではありません。

 そうやって近所の人が、代々菜園として耕してきた場所をまぶしく眺めつつ、ガチガチを3年耕して、現時点のこの場所でいける野菜、いけない野菜ぐらいはわかってきたような気もします。

鉄分多めの赤い粘土質。石も多くてスコップもなかなか刺さらない。(うしろの作物はゴボウ)

 たとえば玉ねぎは、あまり深く根っこを伸ばさないので、元肥をちゃんとしておけば割と太ります。雨が多い夏場はどうしても土中が酸欠になるみたいで、ナス科やウリ科などの夏野菜は全体に不調ですが、オクラやゴボウなど、主根が力強く下に伸びるタイプは比較的元気です。いずれも地上部の葉っぱが大きくて、光合成をしながら、根元に自前の日陰をしっかり作れるので夏の暑さにも強いのです。

 割り切って、土地に合った作物だけを作ればうまくいくのですが、ナスやトマトをあきらめきれず、今年も植えてしまいました。収量や状態はともかく、ほんの少しは取れるので、少しずつ土を整えたり、やりかたを工夫したりしながら、まぁまぁ取れる。ぐらいまでにはのばしたい。種取りをしていけば、3代目、4代目でこの場所に適応したヤツが出現するかもしれません。いずれにせよ、気が長い話ですが。



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