雲と霧は、その場所によって呼び名が変わるだけで、同じものなのだそうです。冬のカモニカ谷では、雲と霧の境界線が曖昧になります。ふと、自分も家ごと雲の中にいるような錯覚に陥ることもあります。そんな季節は、なんとなく出不精になり、人も動物も運動不足になりがちです。運動不足ですめば良いのですが、そのせいでギックリ腰になってしまうこともあるのです。
壁紙を新しくするんだ、とはりきって急に刷毛を持ち出した夫、そのすぐ後お昼ごはんを食べに行った食堂で、椅子に座ろうとした瞬間凍りついた夫、そんな彼をすぐに支えてくれる隣の席の男性陣… すべてがあっという間に起こりました。
そんなこんなでベッド生活を強いられた、痛みに苦しむ人をおおいになぐさめ、癒してくれたものがあります。それは、なんと特技は大食いのみと思われていた新入りキジトラ猫の「マメオ」くん。獣医さんから「ダイエットしてね」と言われて以来、得意の大食いは封印され、まじめにダイエットに励んできた（励まされてきた）マメオ。「マッサージ師」という特技を隠し持っていたとは！　
買い物から帰ってきた私が見たものは、夫のこわばった脚を一生懸命マッサージしているマメオの姿でした。「腰の方から足首までちゃんとやってくれるんだ。強さもちょうどいいんだ」なんとその顔には、ほほえみまで浮かんでいるではありませんか。

もちろん猫の習性のひとつで、母猫を思い出して毛布を前足で踏み続けるというのは、承知しているところです。でも、こんな風に人を喜ばせてしかも癒しているんだから、それはもう立派な特技でしょう。マッサージ師マメオの今後の活躍が大いに期待されるところです。人も動物も協力して、冬を乗り越えていきたいです。

（その後ぎっくり腰は、マメオ先生のおかげもあってか、悪化もせずに治りました）