ライターズブロックを考える/過去を振り返る・3


(承前)酒のんで好きなもん語ったらプロットできたで!(テキトー)

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プロットにOKでたので原稿にはいる。

また書けなくなるんじゃないかと、おっかなびっくり書きだしたんだけど……だいじょうぶ。
きちんと文章に体重をかけられる。

そのころは、商業をつづけていきたい気持ちはあまりなくて、ともかく自分の小説を最後まで一冊書ききりたい、というだけだった。
なので、いま書けなくなっているから、自分の書きやすいようにやらせてほしい、というのは最初に正直に伝えていた。

編集さんは編集さんで、いろいろ思い悩むところはあったようで。

「こういう男子向けの先例がないので、売れるかどうかはわからないけど、仮に失敗するにしても、やりたいようにやって失敗した方が後悔はしないでしょう」と。

それを聞いて、思ったのは。

僕、デビューのときは、「これはぜったい売れるで!!」っていってもらっていたんだけど。
それはたぶん、うれしくはなかったんだ。

やりたいようにやって、失敗していいんすね!?

っていう方が、うれしかったんだなって。


言質とったよ? しらないよ。
ひゃっほう、やりたい放題やって爆死してやるぞーっ!
そう思ったら、だんだん、わくわく感がもどってきて。

あとはもう、ホラーなのに鬼は歌いだすわウサギがあらわれるわ恋バナを叫びはじめるわで、っしゃー! 俺色の原稿だぁぁぁ!
担当さんはさすがに困っていたけれど、なにもいわずにとおしてくれた。

提出したときは、さすがに自分色にしすぎたかもって、ビクビクしていたんだけど。
担当さんの手綱は効いていたのでベースは抑えてるけど、個性が強い。削れっていわれるだろうな、でも削らねえぞーって。

でも編集長が読んで、すごく評価してくれて。
特に、自分色にした部分。


はじめて、「報われた」って思ったんだよな。


プロを目指して小説を書いていたなかで、デビュー前から自分のなかにしこりがあって。
それは、編集さんはこういう方面を評価するんだろうな、ってものさしに沿って書いた部分は評価されるけど、自分なりのこだわりとか、俺はここが好きなんだよなって部分は、ずっと無視されてるよなぁって感覚だった。
褒められても評価されても、自信にならなかったんだよな。
むしろ、だんだん、つらくなっていってしまって。
(いまはぜんぜんそういう感覚なくなったんだけどね。一度認めてもらうのだいじ)

はじめて、俺を評価してもらえたー!! と思って。

書いていて一番うれしかったのは、そのときかな。
これでもう、いつ辞めてもいいやって思った。
満足したしな。
どうせ単巻のつもりだったし。


……なんか売れたので、続刊を出すようにいわれましてですね。

あれから5年以上経ちましたが、まだかろうじてやってますね。作家。


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