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位置関係が気になるね

「木の前にボールがある」
と言われると、通常は話し手と木の間にボールがあることを意味している。

遠近感はご自身で捕捉していただきたい

では次はどうだろう?
「車の前にボールがある」

ボールはどこ?

この場合、解釈が別れる。
①話し手と車の間にボールがある。
②車の前方にボールがある。

この二通りがあるわけだけど、木と車の違いってなんだろう?
それは対称性があるかどうかだ。木には前も後ろもない。
(もしかしたらあるかもしれないけど、通常は認識できない。)

けど車には前後がある。
その非対称性を参考にして「前」や「後ろ」を表現することができる。

また例えを変えてみよう。
「ロボットの前にボールがある」

例とはいえ不思議な状況だ

この場合、車と違って解釈が別れない。

「ロボットの前にボールがある」
はロボットの前方にボールがあることを意味する。

人型だから当たり前だと思うかもしれないけど、そうでもない。

ロボットがR2‐D2のような円柱形ではどうだろう?

R2-D2って説明不要だよね?

この場合も、解釈は別れたりしない。

「R2-D2の前にボールがある」
はR2-D2の前方にボールがあることを意味する。

これらのことから何が言えるだろうか。

僕たちは基準となる対象(木や車、ロボット)に意識(らしきもの)を感じるかどうかで言葉の解釈を使い分けているんじゃないだろうか。

もう一度、僕がペイントを駆使して描いたR2-D2の絵を見てほしい。
あんまり自分で認めたくないけど、車輪がついたゴミ箱に見える。
いや、そう見えるようにわざと下手に描いたのかもしれない。

するとどうだろう。

「ゴミ箱の前にボールがある」は木の例と同様に「話し手とゴミ箱の間にボールがある」と解釈されることになる。

ゴミ箱には非対称性も意識(らしきもの)もないからだ。

僕たちはこの使い分けを誰からも教わらない。
でも同じ感覚を共有している。

とても不思議で魅力的なテーマじゃないだろうか。
でも僕にはこれがなぜかは全くわからない。

もし、この記事を読んだ方の中に言語とか認知に詳しい方がいたらおすすめの書籍や論文を教えてください。

・参考文献
安,在珉.日本語の空間名詞「前・後ろ」が表す空間について:指示の曖昧性及び上下軸との関係性.言語科学論集 2014,20:1-14

・R2-D2を知らない人向け

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