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第268回、コード将棋王 ボンバーマン戦


コード将棋王の第二局は「コード:ボンバーマン」によって行われた。

「対局、始めっ!!」

その言葉と共に、両者共に次々に盤面に駒を置いていく。しかしその駒は、将棋の駒ではなく、爆弾駒だったのである。

コード:ボンバーマン。それは、ハドソンの家庭用ゲーム、ボンバーマンに由来をすると言われるコード将棋で、通常の将棋の駒の他に、対局開始後に盤上に爆弾駒を置く事ができるのだった。
一度仕掛けた爆弾駒は、動かす事も撤去をする事もできず、そのマス目上に置かれた駒は、どちらの駒であろうと容赦なく爆弾によって破壊をされる、もろ刃の武器なのである。

もちろん爆弾によって破壊された駒は、どちらもストックする事のできない完全な死駒となる。

コード:ボンバーマンは、初期のバージョンでは、爆弾の視認ができたが、バージョンを重ねていく内に、いつしか仕掛けた爆弾が視認できなくなる、地雷バージョンへと変化をしていった。

今双方の対局者は、一度も将棋の駒を進める事なく、ひたすら盤上に地雷を仕掛け続けているのである。

この一見何の変化も見られない盤上の光景とは裏腹に、観客達は緊張の余り息を飲むのだった。

「ふふ、わかっているぞ。お前は今、将棋の駒を動かさないのではない。
動かせないのだ。どこに爆弾があるのか、わからなくなっているのだろう。
下手に駒を進めれば、地雷を踏む事になるのだからな」

対戦者が、盤上に地雷を仕掛ける。

「フっ、随分とおしゃべりな爺さんだな。そんなしゃべりながら将棋をして自分で置いた地雷の位置を忘れなければいいがな。心配されなくても自分には瞬間記憶能力がある。今盤面にある地雷の場所は全て記憶をしているさ。自分の仕掛けた地雷も、あんたの仕掛けた地雷も全てな」

挑戦者が、さらに盤上に地雷を仕掛ける。

「お前も知っておろう。この爆弾トラップは、何もそのマス目上に置かれた将棋の駒だけを破壊する訳ではない事を。地雷の破壊力の向上と共に、地雷の周囲にある駒をも、共に破壊をする事ができる様になったのだ」

対戦者が、地雷を仕掛ける。

「そんな事は当然知っている話さ。コード:ボンバーマンは、コード将棋の中でも、最もバージョンの更新が多いコードなんだ。その都度爆弾の威力は上昇し、周囲に与える破壊力が増しているんだ。今のバージョンでは、縦横のライン上にある、最初に触れる全ての駒を破壊できるまでになっている」

挑戦者が、地雷を仕掛ける。

「ならばこの事も当然知っておろう、爆弾の破壊エリアにある爆弾もまた、破壊の対象になるという事を。すなわち一つの爆発で他の爆弾の爆発を誘発させて、爆発の連鎖を引き起こす事ができるのだ。ワシはここまで何も闇雲に爆弾を仕掛けていた訳ではないぞ」

対戦者が、地雷を仕掛ける。

「ごちゃごちゃと話をするのが好きな爺さんだな。寂しくて話し相手が欲しいのなら縁側でチャットGPTと会話でもしてな。当然こちらもそれを狙って爆弾を仕掛けているのさ。そして俺の仕掛けは、今完成をした所だぜ」

挑戦者が、最後の地雷を仕掛ける。

「ほう、奇遇よの。ワシもちょうど今、仕掛けが終了した所じゃ。後はこの仕掛けに、兎がかかるのを待つだけじゃ」

対戦者も、最後の地雷を仕掛ける。

「誰が可愛い兎ちゃんだって。だが爺さん、地雷の起動は何も相手がそれを踏む場合のみではないんだぜ」

挑戦者が、にやりと笑う。

「まさか‥ 貴様っ、あれをする気じゃ!?」


対戦者が、声を荒げる。

「そう、自分で自分の仕掛けた地雷を踏んでも、地雷の爆発は起きるんだ。そして俺は、最後の仕掛けで、この歩の前に地雷を仕掛けた。この歩を前に進めた時、最初の地雷が爆発を起こす。そしてその爆風は、他の地雷に影響を及ぼし爆発の連鎖が引き起こされるんだ。その爆発の連鎖は爺さん、既にあんたの王将に届いているんだぜ。そうこの勝負、既に詰んでいるのさ」

そう言って挑戦者が、歩を一つ前へと進めた。

その直後、最初の地雷が爆発を起こして、続いて連鎖的に他の地雷の爆発も起きる。爆発による爆発の連鎖は、相手の仕掛けた地雷にも着火をさせて、予測のつかない爆発の大連鎖を引き起こすのだった。

AIのCG演出による爆風と爆炎が盤上を埋め尽くして、画面はしばらくの間、煙で何も見えなくなった。
数分後、ようやく全ての煙が晴れて、盤上の様子が視認されるようになる。
観客達は、勝負の行方がどうなったのか、かたずを飲んで見守った。

「勝負、ドロー!!」


爆発の連鎖は、盤上の全ての駒を破壊して双方の王将へと届いていたのだ。


コード:ボンバーマンは、新しいバージョンの更新を取りやめにし、初期のバージョンへと戻されるのだった。

ボンバーマン将棋を画像化するのは難しいと思ったので、「近未来で将棋をする老人と若者」で
生成する事にしました。
まず将棋がまともに生成されません。
これはやや将棋っぽいですが・・・ 盤上にある赤い塔は、何ですかね。
このお爺さんは、何をしているのでしょうね。
それチェスと将棋、どっちなんですか?
AIの中で、これがボードゲームのスタンダードになっているんですかね。
楽しそうだから、何でもいいですけどね。

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