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フィロソフィア、素敵

夏になってから早朝7時過ぎには業務を開始して、16時半には終了する。思い通りにいかない日もあるけれど、それでも早めに夕方散歩に出かけて存分に歩く。最近は、散歩後に30分程度勉強の時間にしている。勉強と言ったって大したことはない。知りたいと思っていた分野の内容について、テキストを読みながらノートにまとめてゆく。ただ読み流すより理解が深まる。常々、その分野の記事やニュースを読んでもぴんとこなかったから、なるほどね、そうだったのね、となって面白い。知らないことに気づいたら、新しいことを知る楽しみが増えたと思う。気楽な自分だけの楽しみ、愉しみ。

youtubeというものをほとんど見ないのだが、たまたま調べものをしていたら、女優の杏さんのイタリア旅行記の動画が提示され、綺麗な画面が見えたのでそのまま再生してみた。あまり詳しくないが、以前から杏さんについては、さっぱりとして自然体な方、というイメージで好感を持っていた。果たして、初めて拝見したほぼプライベートの杏さんは、期待をはるかに超える素敵な方であった。ムービーは、現在お住まいのパリから、フィレンツェに飛んで、ブルネロ・クチネリのパーティーに出席するという内容。日中、ピッティウォモの男性モデル並みに気取ったお父上と観光するのだが、杏さんご自身はシンプルでスポーティーな装いで至って爽やかである。(服装というのはある意味その人自身を投影しているのではなかろうか。価値観や性格、意図や意識を表しているような気がする)また、ほとんどノーメイクと思われるが肌の質感が際立って美しい。ルネッサンス芸術そのもののようなフィレンツェの街中を長いストライドで颯爽と闊歩し、父上とはふざけ合ってお茶目なところを見せる。巨大なジェラートに目を輝かせ、ピアノを見つけては月の光をさらりと弾いて、ドォーモの前ではその華麗な建築物にまったくひけを取らないオーラを放つ。ご自身は、何ひとつ飾り立ててはいないのに! 宵の口からは、いよいよサンタマリア・ノヴェッラ教会でクチネリのパーティー、スリーブレスのほっそりとしたホワイトドレスに光沢のある薄物のストールで身を包んだ杏さんは、イタリア女風のメイクで艶っぽく登場した。しかし、それでもなおさらりとして気取らない、女優然としない、あくまでも自然体で軽やかなのである。そして、次々と供されるお料理をいかにも美味しそうに召し上がっていた。翌日、お土産選びでは、眼鏡にキャップにトラックパンツといういでたちで、お子さま達用にジグソーパズルやらスタンプやらシールブックやらを買い求め、山のようなお土産バッグをひょいと抱えてスイッと立ち去る。そして最後のシーン、パリに戻ってから公園にてのファミリーピクニックの様子がまたなんとも素敵である。ゆるい風を感じる緑の芝生の上、皆でくつろぎながら杏さんがゆっくりとギターを奏でる。その音色と歌声には、言葉にはならない深みのある情感を感じるのであった。

その次の、ペルージャでの散歩編を見ていたら、ペルージャ大学で学ばれた須賀敦子さんのことを思い出し、またしても須賀さんのエッセイが読みたくなった。困ったものだ。

そしてイタリアも恋しくなった。

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