バルサの美学

2024年 1月29日(月)

今日の景色…


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「美しく負けるか、無様に勝つか」――。バルサの基準ではシャビ監督が強烈な批判を浴びるのは当然だ【コラム】

(記事全文…)

「結果」だけでは納得されることのないクラブ

「美しく負けるか、無様に勝つか」  

かつてFCバルセロナを率いてセンセーションを巻き起こしたヨハン・クライフは、そう言ってラ・リーガ3年連続最終節での逆転優勝やクラブ史上初の欧州戴冠ももたらした。とことんスペクタクルを求め、高度なボールプレーにこだわった

「お前はワンタッチなら特別だ。ツータッチなら普通。スリータッチ以上なら、おばあちゃんと変わらない」  

クライフが弟子ジョゼップ・グアルディオラに伝えたメッセージは極端だが、象徴的である。徹底的ボールを中心にしたスキルビジョン優先。それは他のどのポジションの選手に対しても変わらなかった。  

後にバルサを率いたグアルディオラは、その理念を継承した。それは概念というよりもフィーリングにも近かった。身に染みついたものになっていた。

クライフもグアルディオラも冒頭の理念で選手を集め、論理的にトレーニングで落とし込んでいる。ボールを持って攻め続けることは必然で、“最高の勝利の手段”だった。彼らは独自の存在だ。  

そしてクライフが整備した下部組織ラ・マシアで育ち、グアルディオラからポジションを”禅譲”する形で受け継いだシャビ・エルナンデス監督は、現役引退後、今や監督としてバルサを率いている。あらゆるエッセンスを遺伝子にまで組み込まれた指導者と言える。事実、極めて期待は高かった。昨シーズンは、チームをラ・リーガ優勝に導いたわけだが…。

現在のところ、シャビの評価は真っ二つに分かれる。「最強バルサを取り戻すプロセスにある」という意見と、「すでに頭打ちで、希望は乏しい」という意見で揺れる。前者は昨シーズン、守備を再建し、優勝という結果を残した点を重視。後者は今シーズン、有力選手を数多くそろえたにもかかわらず、プレーが安定せず、勝ち切れない試合が目立つ。

一つ言えるのは、バルサは「結果」だけでは納得されることのないクラブである。結果を叩き出した戦いは、クライフ、グアルディオラの時代と比べれば、凡庸で意外性を欠いた。それが結果も出せなくなっている昨今、強烈な批判を浴びるのは当然と言えるだろう。

「少し前までは‟バルサのアレックス・ファーガソン”と持ち上げていたのに、今やクビだとつるし上げられる」  

シャビ監督は、周りの環境の一貫性のなさを嘆く。  

ただ、バルサとはそうしたクラブであることを、彼は承知のはずだろう。

「美しく負けるか、無様に勝つか」  

それこそが、バルサの基準なのである。

👉「美しく負けるか、無様に勝つか」

これを聞いて…
このお正月に観た高校サッカー決勝戦をふと思い浮かべました…。

あくまでも“勝利”にこだわるか…
それとも“美しさ”にこだわるか…

すごく考えさせられるような一戦でした…。

今の世界のトップレベルでのサッカーというのは…
昔とは違い、かなりフィジカル・スピード重視のサッカーになって来て、そのサッカーの中身も、そのサッカーの質も、そしてそのサッカーの醍醐味も変わって来ています…。
そしてそれが…
高校サッカーにまで反映されるような時代となって来ました…。
それが良いのか悪いのかは分かりませんが…。

ただ…
「古き良き時代」とは良く言いますが…
かつてのサッカーを懐かしむサッカーファンもそう少なくはないようです…。

そんな「古き良きサッカー」のひとつであり、代表格であるのが、かつてのバルサのサッカー…。
そしてそれが…
かつてクライフが創り上げた「バルサの美学」と言えるバルサのサッカーとそのバルサの基準…。

そのクライフは…
例え負けたとしても「美しく負ける」ことを優先したバルサのサッカーを追求し、その中でも、バルサを何度となく優勝させて、その揺るぎない栄光を手に入れました…。

そしてそのクライフの美学を引き継いだグアルディオラがその栄光を極め、その後メッシを中心にその伝統は引き継がれていましたが、彼らが去ると同時に低迷し、そんな低迷にあるバルサを引き継いだかつての同僚でありOBのチャビが監督となり、今そのかつてのバルサの美学を取り戻そうと、そのすべてを駆けてその情熱をバルサに捧げています…。

ただ…
そのかつて栄華を極めたバルサの美しいサッカーでは、現代のサッカーでは勝てないのか…。
それとも…
その究極のバルサのサッカーを体現できる選手がいないのか…。
はたまた…
クラブの一部の人間やそのファンの人たちに、そのかつてのバルサの美学というものより“勝つ”事のほうを優先する人が多くなった結果なのか…。

いずれにしても…
そのかつてのバルサの美学を再現させて行くには…
もう少し辛抱が必要なところです…。
その立て直しの…

そんな中での今回のチャビ監督の退任宣言…。

確かに今シーズンは少し優勝戦線から離れてはいますが、昨シーズンにはチャビ就任1年目にしてその優勝をもぎ取っています…。
その前まで…
前監督や前会長にそのバルサの経営状態と、またメッシの移籍騒動然り、いろんなゴタゴタがあってバルサが壊滅状態にあっただけに、それを見かねたOBであるチャビがその男気を見せてバルサに戻り、そしてここまで立て直したのは凄いことだとわたしは思います…。
あまり資金を掛けられない中において…

恐らく…
以前のようにかなりの資金をもってして、かなりの選手たちを買い集めて、そのスター軍団をまとめられるような監督をお金で引っ張ってこれば、何とか勝てるバルサには出来るかもしれません…。
でも…
たぶんそこにはその「バルサの美学」とは程遠いものになるのではないでしょうか…。

このチャビ監督が退いたあとのこのバルサで…
彼以上にそのバルサの美学を知り、そしてそれを取り戻せる人間はいないような気がします…。
またグアルディオラが監督としてバルサに戻る以外は…

それだけ…
このチャビ監督の2年間という中で、結果を出しつつ、同時にそのバルサの美学を取り戻すというのは至難の技であって、そこには恐らく誰がやろうとももっともっと時間が掛かるものなのだと思います…。
そんな2年と待てないクラブ関係者やファン…。
ここで本当に大事で重要な貴重な存在を失ってしまうことになりそうです…。
そしてそれは選手たちにとっても同じこと…。
一部報道ではチャビ監督に不満を持つ選手もいたようですが、その選手が誰なのかは分かりませんが、たぶん新体制になった時に後悔する事になるのではないでしょうか…。

それだけ…
チャビ監督のそのバルサの美学にかけた想いと、その情熱というのは、そのクラブで“それ”を経験した者にしか分からないところで、またそれを知らないことにはそれを体現できないところなのだと思います…。

そのチャビをもってしても…
その情熱をもってしても…
至難の業であるこのバルサの立て直し…。

ただ退任は決まりましたが…
その最期の最後までは、その情熱で全力で力を尽くすであろうこのチャビ監督に、選手たちがどれだけ応えることが出来るのか…。
怒涛の追い上げを見せて、チャビを男にするのか…。

例え優勝戦線から遠のいたとしても…
その中でもその“バルサの美学”とその“バルサらしさ”を少しでも取り戻すことが出来るのか…。
ここは選手たちにとっても正念場です…

今はピンチでもありチャンスでもあります…。
一発大逆転をものにすることだって不可能ではありません…。
そんな選手たちへの発破かけの意味での、このタイミングでのチャビ監督の退任宣言でもあるのではないでしょうか…。

いずれにしても…
あとで後悔のないように…
死ぬ気で、限界まで、もうこれ以上出来ないというくらいの頑張りを監督だけでなく選手たちも見せてもらいたいものです…。

そして…
この今の時代の…
今のフィジカル・スピード重視のサッカーの中で、ひと際魅力的な観ていてワクワクするような楽しく面白いサッカーを取り戻してもらいたいと切に願います…。

「ネオ・バルサ」のサッカーに期待ですね…

〈気になる記事・前半…〉はこちらから…


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