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日本を原ねて 心の健康 ストレス解消【佐々木道誉】

 23  佐々木道誉(高氏)(1302~1373)
茶の考古学 茶人・茶樹・茶魂 荒勝淑子著 茶道研究庵蔵会

 近江国の守護大名、佐々木道誉は、…「ばさら大名」の代表としてその名をのこしている。…「東山文化の書院飾り」といわれる「真」の床飾りの原型を創始し、更に唐物を茶器に見立てて後世に名物を伝えた元祖でもある。
 香や能などに対しても「相当の鑑賞眼をそなえていたことは、世阿弥(1362~1443)の証言[申楽談儀]もある」(『太平記』永積安明著、岩波書店)という。最先端の教養人でもあったのだから、文化史上からみても刮目すべき人物であった。 176・177ページ

史料による茶の湯の歴史上 熊倉功夫著 筒井紘一著 中村利則著 中村修也著 主婦の友社

 建武の新政では後醍醐天皇(1288~1339)に協力し、後に足利尊氏(1305~1358)にも従い、室町幕府創設に一翼を担い、政所執事となった。南北朝期には四職家の一つ京極家存続のため、権謀術数を駆使した。一方、この時期の和歌・連歌・茶・花・香という文化のパトロンとしての役割を果たし、「ばさら大名」の代表とされた。  116ページ

図説いけばな体系2 いけばなの文化史  Ⅰ 監修 川端康成他 角川書店

 常盤木の立花については、きわめて古い伝書といわれる佐々木道誉の『立花口伝大事』を注意すべきで、このなかにはおどろくほど多くの常盤木があげられている。この伝書は応安元年(1368)の奥書をもち、文安2年(1445)に富阿弥が相伝したという『仙伝妙』より80年ほど古く天文年間に池坊専応(1482~1543)が弟子に与えた『専応口伝』よりは180年ほどさかのぼることになる。              34ページ

 池坊専応の口伝であるが、川端康成氏がノーベル賞受賞の際の講演にも引用されたことは記憶に新しい。瓶に花をさすことはいにしえよりあることだが、それはうつくしき花のみ賞して、草木の風趣をもわきまえなかった。
しかし花は、野山水辺を、おのずからなる姿を居上にあらわすことであり、いいかえれば、単なる花の美しさではなく、自然をあらわすことだという。
これが花道の真髄を喝破したものとしてしばしば言及されるのも、花の思想を表明するほとんど唯一のことばだからであろう。たしかに、花の造形を通して自然を再構築する花の思想が、このようにあらわされたことにおいて、その意義は高く評価されるべきであろう。    107ページ                  

いけばな その歴史と芸術 伊藤敏子 教育社歴史新書 教育社

 四季の自然に恵まれ、四季折々に美しい花が咲く。恵まれた環境に生きる日本人は、自然を愛する国民性をもち、咲く花に季節の訪れを知り、花を楽しみ、生活と自然は密接なかかわりをもっていた。最古の歌集『万葉集』には、大自然の四季のリズムのなかに生きた古代人の素朴な生活感情をうたったものが多い。…        8ページ

 四季折々に咲く花は、季節の訪れを知らせるのみならず、稔りへの希望を教えた。正月や五穀豊饒を祈る行事には花をはじめ、花を象徴する削りかけ(櫨・柳・胡桃などの木を薄く削って花のようにしたもの)や餅、木綿(ゆう)玉、繭玉などの作り物を屋内に飾ることが行われた。…松・杉・榊などの常盤木は、神霊がやどる依代として崇め、神棚、歳徳棚(恵方棚)に供える、信仰の習俗となって広がっていった。のちに正月の門松として定着した。                            9ページ

 佐々木道誉は、和歌・連歌・茶・花・香という文化のパトロンとしての役割を果たし、「ばさら大名」の代表とされ、生活感情をあらわしている


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