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ルッキズム、万歳!!

 人もまばらな山手線車内。
そうだ、まずはこの車両…何年か前に新しくなったこの電子レンジみたいな見た目。デザインに関係する全ての人たちは、一旦このことをよく考えて欲しい。

「あなたの手がけたものは電車ではなく、街なのだ」

実際、山手線を一車両だけ製造して暗い車庫で眠らせておくだけならそれはあくまで電車のデザインであるが、それが何百車両と東京の街を走り回る時点でもう、それは電車のデザインという枠を超えている。

あの車両接合部の優先席前、ピンク色の空間。あれほど気味悪いスペースも珍しい。

と、この車両自体に苦情を入れた上で、問題は車内の広告。
ツルツルの肌をしたジャニーズの若い男と、すべすべ美脚の若い女が、息を揃えて脱毛を促している。そして隣では、二重術の手軽さが暖色まみれの広告で強調されていて、いよいよ二重までもエチケットと言わんばかりの、攻撃的な広告。

最悪だ!!

あながち、そう言いたいわけではない。
というのもこの風潮、残酷に見えて実は真っ当。

それは、天性の美男美女を考えてみればいい。彼らは今日の美容医療技術の普及に迷惑している。だって、そんなものがなければ彼ら彼女らはその美貌の恩恵を余すことなく受けられた。

それが、もう天然にはどうにもならない容姿の男女が、やれ化粧だ、脱毛だ、整形だ、と言ってどんどん自分の領域を侵し始め、気づいた時には天然ではもう太刀打ちできない状況になっているかもしれない。

つまり、見落としてはならないのはルッキズムは決して今に始まったことではないということ。美男美女はかつてから美味しい思いをして生きてきた。その幸運を、先天的に恵まれたものしか享受できなかった時代、独占の時代が終焉したということである。

それは、誰に何を要求するものでもない。
誰もがかっこよく、可愛くなれる時代ということ。

競争は激化した。
でも、先天的強者が総取りした時代より、良くなくって?



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