見出し画像

『100%モネ』の贅沢

『100%モネ』すなわち「展示作品のすべてがモネ」が売りの眼福な展覧会を『上野の森美術館』で鑑賞してきました。
1874年に第1回印象派展が開催されてから150年の節目を迎えることを記念して、国内外の40館以上から集めたモネの代表作60点以上が一堂に会するという、今年の国内の美術展の中でも屈指の大人気展覧会です。

展覧会の大きな看板と紅葉
上野公園のイチョウの黄葉
上野公園にて


画業初期(印象派を立ち上げる前)の代表作として展示されている『昼食』(モネには珍しい人物画で、黒の使い方がマネを彷彿とさせます)をはじめ初来日の作品も結構ありました。
同じく印象派を代表するルノワールは、印象派→古典派→両者の統合……と、人物画のフィールドの中で画風を大きく変えていきました。
モネはほぼ風景画一筋。初期は点描画に近いほどの筆触分割がとても目立つのに対し、中期にはターナーを思わせるような朧な画風も顔を出し、晩年は殆ど抽象画のような作品という変遷が、これまた面白いです。

やはり見所は連作でしょうか。『ルーアン大聖堂』は作品の大きさ故か展示がありませんでしたが、「まるで写経」とまで言われる位数多く描き続けた『睡蓮』をはじめ、『積みわら』、『ウォータールー橋』、『国会議事堂』などの連作がズラリ。それぞれ所蔵先の違う作品を並べてみることができるのは特別な機会です。同じ場所を、時間や気象等の条件を変えて描き続けたモネの姿勢が伝わってきて、とても興味深く見応えがありました。

睡蓮の池

『睡蓮』の絵は沢山あるので何枚か拝見していますが、これはとても好きな一枚になりました。色彩も構図も独自の魅力にあふれています。

チャリングクロス橋、テムズ河

ロンドン名物の霧をまとう複雑な光の様相が表現された、国会議事堂や橋の連作も、モネの眼力と画力の確かさに唸らされます。

今回、公式サイトの作品紹介がとても充実しており、さらに会場では終盤の作品のうち、かなり多くのものが撮影可能で、美術ファンにはとても嬉しい展覧会になっています。
撮影できたものの中から、印象に残った絵をご紹介しておきましょう。

ジヴェルニーの草原

色合いもタッチもモネらしさ満載で、とても好きです。

黄昏時の流氷

同じ白でも、空、雪、氷、水を繊細に描き分けていて、構図もいいです。

『ヴェンティミーリアの眺め』
※撮影不可エリアだったので、画像は公式サイトからご覧ください。
https://www.monet2023.jp/artworks/3/
地中海沿岸のボルディゲラ(伊)からフランス方面を見た風景で、画面右側にヴェンティミーリアの街並みが描かれている、かなり大きな一枚です。
様々な階調の青を始め、緑、白、紫、ピンクと様々な色が駆使され、とても美しい色彩の作品でした。


ということで、モネの絵の美しさを満喫できる展覧会に大満足しました。

ちなみに、この日の「美味しいもの」は、上野の駅ビルで食べた
老舗フルーツパーラー『京橋千疋屋』の、パンも具も美味しいサンドイッチ
台湾カフェ『騒豆花』の、滑らかで程よい甘さの豆花
でした(画像はありません)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?