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中学校教師 #48 コテコテの授業スキルを言語化する


4月から中学校で勤務しています。
いずれは小学校に戻ることを考え、この経験を記録に残そうと思います。
異動の経緯や考えは下記参照


中2 数学 確率の授業より

章の後半に入りました。
樹形図や表を用いて考えています。
学習目標は
起こり得る全ての場合が同様に確からしい時の確率を求めるです。

教科書だとこのように紹介されています。

当たりが少ないから…という先入観が授業を面白くさせます。


①実物の活用

中学生といえど、実物があるのとないのとでは、食いつきが違います。今回は、教科書のようなくじを用意して、生徒2名にくじ引きをやってもらうようにしました。(くじを作る過程も教室で見せることで、興味を惹きつけることができます。)
まず、2人にじゃんけんをさせ、「どちらが先にくじを引くか?」と問います。
すると、じゃんけんに勝った生徒が「先に引きます。」と答えます。
「なんで先がいいの?」と問い返すと、「だって…」と返してきます。
この時、その他の生徒も同じように「先に引いた方が当たりやすい…」という気持ちを共有することができます。

それぞれの確率を求めると、先でも後でも当たりを引く確率は等しいのですが…実物でくじを5回引くと、先に引いた生徒の方が当たりの数が多いう結果になりました。すると、ある生徒が「やっぱ、先に引いた方が有利なんだ」と言います。素敵な反応です。私はその言葉を用いながら、「では、本当に先に引いた方が有利なのか考えよう」と問い返し、授業の中心に迫ります。

🔹数学の授業は抽象的な事象を扱うことが多くなるため、授業の冒頭から学習内容にのめり込めないことは予想されます。だからこそ、実物の活用の機会が貴重です。毎回準備できるわけではないですし、時には見せないことも重要だと思いますが。

②黒板に説明を書かせる

課題を共有すると、生徒の追究時間となります。これまでの学習を生かし、自分の力で解く生徒、教科書を参考に解く生徒が見られます。ある程度、考えが書けたと判断した地点で、2人の生徒を指名してそれぞれの考えを黒板に書かせます。同時に。

🔹まだ解けていない生徒がいる段階で書かせる
生徒が黒板に考えを書いている途中で、「これならできそうだ」とその後を自分で解こうとする姿が見られます。教師が書くよりゆっくり書きますので、このスピード感が大事です。書いている途中を見せるという点を重視するため、全員が解けていなくても書かせます。反対に、全員が解けた状態で黒板に書かせると、待っているという雰囲気がクラスに広がることで、学びが停滞してしまうことがあるので、あまりオススメしません。

🔹同時に書かせる
今回は樹形図、表と複数の考え方が存在する課題でした。同時に書かせるメリットは効率の良さです。ただこれだけです。

🔹生徒の書き方でOK
教師が書いた方がスッキリ、分かりやすく表現することができるでしょう。しかし、生徒が表現した書き方の方がリアルです。その表現からみんなが学べば良いのです。良い表現であれば価値づければ良いですし、改善すべき点があれば貴重な学びの機会だと言って価値づければ良いと思います。


③学んだことを生かす機会

今回のくじ引きの問題は、あくまでも学習目標を達成するための素材にすぎません。だから、授業の後半に「今日の学びが身に付いたかどうか確かめる課題」が必要です。前半の課題では自力解決できなくても、後半の課題で自力解決できたのなら、「学びの成果」を実感することができるはずです。適切な問題を提示することができると良いです。
今回の授業では、「では、当たりが3本、ハズレが3本なら、先に引く方が有利か?」と問い、改めて樹形図や表で書くことで確率を求める力の向上を図りました。あるクラスでは、「当たり1本、ハズレ4本でやってみたら、どちらも同じ確率になった!」という発見をした生徒もいました。


土台となるのは生徒理解

①〜③の授業スキルを発揮することができるのは、生徒理解が土台として支えているからです。生徒の実態を把握して、「どのように課題を提示すると、数学の本質に迫れるか」「黒板に書かせるならどの生徒か」「この生徒を支援すれば、この考え方を黒板に表現できるかも」「AさんとBさんは後半の課題で自力解決できると良い。だから授業前半はここをしっかり押さえられるようにしたい」など、生徒の姿を想像しながら授業作りをしています。
生徒理解は、数学としての実力だけでなく、生徒の個性まるごと理解しようという考えです。他の教科の学力、人間関係、得意なこと、苦手なこと、将来どのような姿を目指しているか、最近のその生徒の出来事(良い姿・トラブル)など多様なものです。もちろん、全ての生徒について100%理解できているわけではないかもしれませんが、私が力を入れているのはこの部分です。

3月に近づき、生徒理解も進んでいます。
だからこそ、生徒と良い授業を作るという実感が持てるような授業が多くなってきました。一人の授業者として高めたいスキルはまだたくさんありますが、今回はある授業を参考に、スキルを言語化してみたいと思ったので記事にまとめました。最後まで読んでくださりありがとうございました。


【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】





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