見てくだしあ 2023/10/29

 皆さん同様、期限間近まで動けない人間だもんで、ほぼ三徹してギリギリで原稿を完成させた。取り掛かってすぐは予て抱いていた壮大な構想に胸と筆を踊らせていたものだが、なべて爆発力あるものは持続力に乏しいもので、山の如く捗らない原稿に日々を侵されるのがだんだんと堪らなくなった。デリカシーなく近づいてくる締切から逃れるように妥協し、その上からさらに妥協を重ね、また妥協し、妥協妥協、その果てにぬるりと生まれた怪作が此度の文フリで出す「泥鰌の好き」である。

 いかにも冴えない人間が身勝手に吐き出したような文章が10ページほど続く。これだけ短いとコンビニ印刷のほうが安くあがるため、いわゆるコピー本として刊行する形となった。(ちなみにもうひとつの出品作「リゾバ日記」の方は50ページほどあるためしっかり製本した。が、どうやらデータに不備があったようで、文フリまでに配送されるか微妙になってきた。)

 調子に乗って「怪作」などと書いたが、その実おもしろさに全く自信がない。そもそも創作を世に出すこと自体初めての経験で、大量の目にジッ……と囲まれているようなこの緊張感は確実に心身に悪いぞと実感しているところである。なんの気無しにエゴサしているときなどに「そういえば文フリ行ったら喃語ネイティブ(※注釈:本当はヴなのだがブでエゴサした方が捗る)が本売ってたから買ったんだけどマジで拙くて途中で読むのやめちゃったわ、10ページしかないのに」というツイートが表示されたら、と思うと膝が震えてくる。創作をやっている人間が予防線を張るほど寒々しいこともないのでこの辺でやめとこう。

 文フリ行くフォロワーがいたら教えてください。

 ここ二週間ほど、夜通し飲んで破滅を楽しむようなイベントが複数回あり、明らかに支障をきたしている。具体的には胃もたれと二日酔いと睡眠不足である。しかし文フリ原稿が終わったということはすなわち修論に向き合うということでもあり、万全でない体に鞭打ってでも机に向かわねばならない。ベッドの中で風来のシレン5に熱中している場合ではない。遠投の腕輪をつけたまま合成の壺を投げちゃって手塩にかけた装備をロストして癇癪を起こしている場合ではない。年明けに新作が出るらしいので、それを100で楽しむためにも修論など早々に提出してしまわねば。
 修論、書いては消しての一進一退を永遠に続けているので文字数が増えない。思考は進んでいるので全く成果がないわけではないのだが、どうしても目に見えた進捗がないとやる気が削がれてしまう。たまに筆が乗ってグイーと書き進められたとしても、日を跨いで執筆作業をすると文のテンションを一定に保つのが難しく、後日なんとなく違和感を覚えて結局やり直すことになる、というのは短編を書いているときに痛感した通りで、いわんや40000字の修論をやといった感じである。


 とにかく、文学フリマ東京37 – 2023/11/11(土) 東京流通センター第一展示場 I - 16 ナンゴニア にてお待ちしております。

 


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