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埋まらない穴

寝不足の頭に理不尽な要求のダブルパンチ。
もうどうにでもなってしまえとやさぐれた気持ちをどうにかおさめながら、運転していた。

運転中にも止まらない涙。
このままの状態だとまずいなと思いながらも、どうすることもできなくてとりあえず自然に涙が枯れるまで泣いた。
何が悲しいのか、悔しいのか、辛いのか、言葉にするのも億劫で、呆れとか虚しさとか、そういうどんよりとした気持ちばかりが浮かぶ。

ヤングケアラーという言葉は知っていたが、その先にある若者ケアラー。
どうやら私はそれにあたるらしい。
親子の立場が逆転しているだけでなく、完全にケアする人とされる人になっていることに気づいて、ゾッとした。

親はいつでも子どもを優先するだとか、子どもの自立や成功を喜ぶだとか、そういうのは綺麗事にすぎないと思っている。
私の親は大人になりきれないまま、ここまできてしまった。
そして、大人になった私にケアされることで、ぬくぬくと過ごしている。

母を見るたびに、私もこんな風に母に甘えたかったと思う。
甘えたかった母から、反対に甘えられるのはどうにも受け入れ難い。
どうして私が、すごいね、頑張ったねと褒め続けないといけないのだろう。

どんなに尽くしても、満足されることもなく、母はいつも何かに不満を抱いている。そしてその母に追従する父。
私は母の埋まらない劣等感や寂しさを埋めるための存在なのではないかと時々虚しくなる。そうじゃないと言われたとしても、やっていることはそういうことなのだ。

祖母が亡くなった時から、きっと母の心にはぽっかり穴があいたままなのだろう。私では埋めきれないその穴の大きさと深さに、ため息をつくばかりだ。

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