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いつでも子供になれる

 「お盆にBBQするけど来るかい?」と誘われて、小学校の時の同級生の家でBBQをした。その友達は小学校だけ同級生だった。そのまま中学に上がる選択肢もあったのだが僕は中学受験をして、別の中学に行ってしまったので、しばらく疎遠になっていた。大学生の時にFacebookでたまたま友達のアカウントを見つけ、友達になってたびたび飲みに行くようになった。「中学から8年くらい何にもなかったのに不思議やな」と酒を傾けた。

 友達は結婚するらしい。奥さんになる女性にも挨拶した。九州出身のようでお酒は強いらしい。あまりお酒に強くない友達に「お前大丈夫か」とか笑いながら飲んだが、不思議な感覚だった。

 小学校6年生で疎遠になってしまったので、友達に対するイメージが小学生の時のまんまになっている。再会してから、飲みに行ったり遊んだりもしているのだが、まだ抜けていない。僕の中で小学生のイメージがある人が「結婚」とか言い出すと、不思議な感覚だ。自分も同い年で、大人になっているはずなのに。

 自分は子供のままなのかなあ。成人式にも行ったし、お酒も飲むようになったし、大学を卒業したし、働いているし。なんでだろう。考えてみたけど、たぶんそういうわけではなさそうだ。福山雅治の「生きてる生きてく」の歌詞の一節にある。「不思議なものだ 子供のころは 大人になんて なれないのに 大人になれば ときめくだけで いつでも子供になれる」。さすがましゃ。いい事を言う。

 小学生の時の思い出しかなくて、中学高校と体格だけでなく精神的なものも大きく形成されるタイミングがごそっと抜けてしまっているからなんだろうな。ちゃんと大学の時の友達、中高の時の友達とは再会するとそのタイミングの自分になってしまうもんな。

 小学生の時の自分に戻っていたから「結婚」てのが不思議に感じていたんだな。

 そんな風に考えながら冗談交じりに「結婚おめでとう」って乾杯した。すこし恥ずかしかったけど。

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