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アスリートと港区女子

このアカウントでは、スポーツのキャリアに際して、多種多様なアナロジーを駆使し、様々な側面から仕組みや構造を見てきている。今回はアスリートと「港区女子」である。

港区女子とは?

まず港区女子とは何でしょうか?以下にはこのように書かれている。

港区女子とは、東京都港区を中心とした、お金持ちが巣食うエリアに夜な夜な集う女性たちのこと。 煌びやかで豪華な生活を送るイメージの彼女たちですが、花の命も蝶の命も短いものです。

諸説ありますが、年齢と容姿を「武器」に港区に住む金持ちなおじさんを狙う女性たちのことを指すようである。それとアスリートの何の関係が・・・?とお思いのあなた。この記事で解説する。報道のされ方はさておき、業界の仕組みや構造、置かれている状況と構造が非常に似ている。

活躍は年齢に大きく関係

港区女子の全盛期は20代前半から後半あたり。これはアスリートとも一致する。港区女子は容姿と年齢を武器に港区活動を、一方でアスリートも身体能力を武器に、競技生活を行う。引退すると、ギャップと次のキャリアに悩む点も酷似している。

港区女子に関する文章とアスリートに関する文章

具体例をあげたいが、既に巷には港区女子に関する文章と、アスリートのキャリアに関する文章が溢れている。ここは、出回っている記事を利用したほうが分かりやすい。この辺りをうまく利用して紹介したい。

それらの文章のうち、港区女子の文章の「結婚」・「年齢」・「港区」をアスリートに関する「就職」・「スキル」・「アスリート」辺りに置き換えると、かなり自然に成り立ってしまう。この置き換えを数学の公式のようにアスリート・港区女子変換、略してアスミナ変換とでも名付けたいくらいである。(もちろん住居や性別等異なる部分もある。)


まずは港区女子の記事。

現実は、厳しい。30歳が近づいてくると、他人の力ではなく自分で次のステージを見据えない限り、ただただ没落していくだけなのだ。https://tokyo-calendar.jp/article/13194?

この太字の部分を置き換えると、以下のようになる。

現実は、厳しい。引退が近づいてくると、スポーツではなく、他のスキルで次のステージを見据えない限り、ただただ没落していくだけなのだ。

ハマり具合が、これ以上に自然な文章もなかなかないくらいである。もう1本行ってみよう。


結婚できて良かった・・・」
たまに、苦しい時もあったけれど夢のようだった、港区で過ごした時間を思い出すことがある。
すごく昔のように感じるが、また今日も誰かが港区の扉を叩き、そして甘い蜜を吸っているのかと思うと何だか不思議な気持ちになる。
そしてそんな彼女たちに言いたくなる。
一刻も早く自立して、自分の価値を見極めてね、と。
自分自身が、若さでも外見でも勝負できなくなった時。多少理想を下げ、客観性を持っているが幸せを掴むのだ。
https://tokyo-calendar.jp/article/13194?page=3

これも上記のアスミナ変換を利用すると以下のようになる。

就職できて良かった・・・」
たまに、苦しい時もあったけれど夢のようだった、アスリートとして過ごした時間を思い出すことがある。
すごく昔のように感じるが、また今日も誰かがアスリートの扉を叩き、そして甘い蜜を吸っているのかと思うと何だか不思議な気持ちになる。
そしてそんな彼/彼女たちに言いたくなる。
一刻も早く自立して、自分の価値を見極めてね、と。
自分自身が、若さでも身体能力でも勝負できなくなった時。多少理想を下げ、客観性を持っているが幸せを掴むのだ。

逆にアスリートの記事を変換してみよう。

ロス五輪では4位。メダルにあと一歩まで迫った。日の丸を背負ったユニフォームと町工場の作業着。落差に戸惑うことはなかったか。(中略)「終わってみたら何も残らなかった。子どもはもう大きくなってしまいましたが、罪滅ぼしというか、いまは一生懸命働こうと思っています。まだ住宅ローンも残っていますからね。ギャップ—というより、元の世界に戻ったという感覚が近いかな」
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/37990
大地主の港区おじさんとは婚約前提の付き合い結婚にあと一歩まで迫った。キラキラブランドドレスと町工場の作業着。落差に戸惑うことはなかったか。(中略)「終わってみたら何も残らなかった。子どもはもう大きくなってしまいましたが、罪滅ぼしというか、いまは一生懸命働こうと思っています。まだ住宅ローンも残っていますからね。ギャップ—というより、元の世界に戻ったという感覚が近いかな」
(ちょっと無理やりだろうか・・・?)

もう1件見てみよう。

「それは特にないんです。私は大学を卒業してずっとアルバイトをしながらテコンドーをやっていて、代表で海外遠征に行っても、周囲の人からは『あそこの人、何やってるの?』っていう感じで見られていました。『テコンドーです』って言っても分からないから、説明すら面倒くさくて(笑)。他の人から見たらスポーツ選手じゃなくて、ただのフリーターなんですよ。
でも、そう思うのも理解できます。自分は好きでそういうスポーツをやっているし、世界チャンピオンという目標があって、アルバイトをしている人間なので。テコンドーの場合、頑張って国際大会でメダルを取って帰ってきてもそういう生活がずっと続くんですよ」
――当時は何のアルバイトを?
「最初はパチンコ屋さんです。6カ月働いて、韓国に行って練習をして帰ってきて。あとは電話でクレジットカードの申し込みの確認や、営業のバイトとかですね」
――何を売っていたんですか?
「電話の販売です。第二電電の。あとはカード申し込みの信販とかで、(書類の)抜けているところを電話して、『ここは何ですか?』とか聞いて書いてとか。短期でお金をたくさんくれるバイトをしていました。でも、アスリートなので、早く寝ないといけなかったので、夜間のバイトはしたことがなかったですね」
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/other/2013/02/15/post_194/

これもアスミナ変換をするとこのような形である。

「それは特にないんです。私は大学を卒業してずっとアルバイトをしながら港区女子をやっていて、港区に遠征に行っても、周囲の人からは『あそこの人、何やってるの?』っていう感じで見られていました。『港区女子です』って言っても分からないから、説明すら面倒くさくて(笑)。他の人から見たら港区女子じゃなくて、ただのフリーターなんですよ。
でも、そう思うのも理解できます。自分は好きでそういう港区女子をやっているし、金持ちおじさんと玉の輿結婚という目標があって、アルバイトをしている人間なので。港区女子の場合、頑張って六本木ヒルズ連絡先を取って帰ってきてもそういう生活がずっと続くんですよ」
――当時は何のアルバイトを?
「最初はパチンコ屋さんです。6カ月働いて、港区に行って合コンをして帰ってきて。あとは電話でクレジットカードの申し込みの確認や、営業のバイトとかですね」(パチンコ屋よりもキャバクラ辺りな感じはする)

捜せばいくらでもあるので、もし興味があれば自らアスミナ変換を使ってみてほしい。

【悲報】港区女子の末路とは?30歳を超えたら転落の痛い人生
末路⑤:生活水準を落とせず家計が苦しい
末路①:婚期を逃す
https://honkatsu.co/p/1-135
港区女子的な生き方は、常に男たちの容赦なき評価にさらされる
近海を漁場にできる人は、男女ともにおしなべて余計な自己客観視をしない、主観強めの人たちな気がする。
https://project.nikkeibp.co.jp/campanella/atcl/15/051800015/103100015/

上手くやる人も一部存在

もちろんステレオタイプや全体傾向からは外れた実績を示すものはおり、これはアスリートでも港区女子でも例外ではない。なお、勝ち組港区女子が、スポーツで言う客寄せパンダ枠、引退後もコメンテーターなどに呼ばれる方々と対応する。非常に一握りの様子である。

https://www.news-postseven.com/archives/20180713_719248.html

https://matome.naver.jp/odai/2156929360472612001?page=2

東京女子図鑑の結末

この「港区女子」に関する話である東京カレンダーの「東京女子図鑑」。その話の結末。

長らく私なんかの話を読んでくださってありがとうございます。23歳のとき東京に出てきてから、17年間をこの東京で過ごしてきて、40歳になりました。これを読んでくれてる方の中には、若い女性もいますよね?あなた、私のこと、どう思ってますか?
「イタい」って見下していますか?「あんな風には、なりたくない」と反面教師にしていますか?もしくは、自分と関係ないおばさんの話を、笑っているかもしれませんね。
その感情覚えていてください。それは、そのまま、あなたが10年後、若い子たちから向けられる感情ですから。若い女性の年上の女性を見るときにうっすらと感じる優越感は、いずれ世代交代していくんです。部下の女の子と話すときの笑顔の奥にある、老いへの畏怖と、蔑みの感情、私はちゃんと透けて見えています。だって、もともと私の内側にあった感情ですから。
「ああはなりたくない」って強く思ったら、そうならないように、20代、30代頑張るんですよ。私は、いろいろと全力で回り道してしまったけど、そうなりたくないなら、今踏ん張るしかないんです。https://tokyo-calendar.jp/article/4693

もはやここはアスミナ変換すら必要ないかもしれない。一応変換しておく。

長らく私なんかの話を読んでくださってありがとうございます。23歳のときプロ選手になってから、17年間をアスリートとして過ごしてきて、40歳になりました。これを読んでくれてる方の中には、若い選手もいますよね?あなた、私のこと、どう思ってますか?
「イタい」って見下していますか?「あんな風には、なりたくない」と反面教師にしていますか?もしくは、自分と関係ないおばさんの話を、笑っているかもしれませんね。
その感情覚えていてください。それは、そのまま、あなたが10年後、若い子たちから向けられる感情ですから。若い選手の年配選手を見るときにうっすらと感じる優越感は、いずれ世代交代していくんです。新入りのアスリートと話すときの笑顔の奥にある、老いへの畏怖と、蔑みの感情、私はちゃんと透けて見えています。だって、もともと私の内側にあった感情ですから。
「ああはなりたくない」って強く思ったら、そうならないように、20代、30代頑張るんですよ。私は、いろいろと全力で回り道してしまったけど、そうなりたくないなら、今踏ん張るしかないんです。

年齢に多少の差こそあれ、やはり有効である。

仕組みとメディア・報道の乖離

アスリートと港区女子は違う!という意見は理解できる。実際に仕組みをよく考えなければ、このような考察は出来なかった。人間は日々の視覚情報である報道やイメージに大きく影響される。だから同じような構造や位置づけであっても、片方は良いイメージ、もう片方はあまり良くないイメージなど世の中には溢れている。上記もこの一部であろう。

しかし、いったんその幻想から覚めると、現実と向き合わなければならないのは避けられない事実である。

地に足の着いたキャリアを!

一度上がった水準を下げるのは難しい。それはたとえ眉唾物であったとしてもそうなる。その中でも上手くやっていくには、地道なキャリアを積み上げていくことが、一見遠いようで、やはり最短である。

そのためにも、スポーツの業界の現状を把握し、納得感のあるキャリア形成を行っていくことが、健全で確実な解決策ではないだろうか。


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