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2,3月の読了

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深く、しっかり息をして

川上未映子さんが雑誌に寄せていたエッセイをまとめた一冊をAudibleで。
帯の「わたしもこんな風に、たしかな足取りで、出会った感情の上をていねいに歩けたらいいのに。」というコメントに魅かれてずっと読みたいなと思っていたので、Audibleで見つけられて嬉しかった!

女性として、母として、社会で働く一人の人間としての素直な感情の吐露は、意見として決して押し付けがましくなく、「こうだと思うのになあ」とまるでお茶でもしながら川上さんの意見を聞けているような、心地いい文体だった。
それでもぐさり、ぎくり、とくるような言葉はあって、自分が生きていく中でスルーしてきたあらゆる古い価値観をちゃんと取り出して、ちゃんと空気に触れさせてくれるような感覚になった。
「これがあれか、”出会った感情の上をていねいに歩く”か。」と腑に落ちた。

飲み会の場のサーブ能力にも、家事や育児の能力にも、女子は関係がない。関係あるのは人間。だから、それらを取り上げるのであれば、人間力として認識されるべきなのだ。都合よく「女子」を消費する風潮は、いい加減になくなってほしい。もう2016年なのに。
でもさ、目上の人でも誰であっても、自分の分は自分でやれよ。もしくはお店の人が仕事としてやる、というのが本当なんだけどね。
しかしまずは、小さな一歩。自分の中から、間違った女子力を消去しよう。

「もう2016年なのに」と川上さんが嘆いた8年後の2024年の先日、8人テーブルで最年少だった私はビールのピッチャーを真っ先に受け取り(なんなら来る前から構えて)、偉い順を即座に判断しながら順に注ぎ、サラダ取り分けたわ・・・と愕然(笑)

自分より上の役職級の女性上司がピッチャー持って自分は飲まず食わずで各テーブルをずっと回っていたり、料理が来た途端上司のお皿に綺麗にワンプレートに盛り付けて「はい先生^^」と渡していたり、そういうのを当たり前に見てきたわけで、そういう価値観が当たり前の世界で生きてきたんだなあと。
川上さんの「自分の分は自分でやれよ」という言葉がもう至極真っ当すぎて、これまで散々気を使っていた自分、なんだったんだ?!と笑えてくる。
だからこそ、「自分の分は自分で取りましょ!」と先陣を切って自分の分だけ貰っていく年長者がテーブルにいたりすると救われるのよね。かっこいいよねそういう人。そうなりたい。

(ビールは1人ずつグラスでくれ!!)

JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則

パリ一人旅で「お金を使う」モードが続いたので、また「貯める・増やす」モードに切り替えて、ポートフォリオやNISAの積立額を見直しているこの頃。私は毎月の投資のうちインデックス投資が8割くらいなのですが、個別株中心からインデックスに重きを置くきっかけとなった「サイコロジー・オブ・マネー」という本の著者が絶賛している本、ということで読んでみました。

インデックス投資推しという点では似ている内容だけど、JUST KEEP BUYINGはとにかくデータ分析がすごい。随所に出てくるわかりやすい比較を見ていると、いかに長期間、淡々と、買い続けるまさに「JUST KEEP BUYING」が効果的が理解できた。

自分が持っている銘柄のうち一番利益出しているのはなんだかんだインデックス積立を始めてからいい時も悪い時も買い続けて一度も売っていない銘柄なので、タイトルの言葉はシンプルかつ一番説得力ある言葉だなあと。

投資をするにはもちろんリスクがある。マイナスになることだってある。でもそれを運賃に例えたのは秀逸だと思った。少しの痛みがあって、でもそれは目的地に向かうのに必要な痛みなのである。

株式市場では、途中で困難を体験せずに無賃乗車することはできない。メリットを得るには、デメリットとも共存しなければならない。

投資ノウハウ本ではなく、YouTuberやインフルエンサーによる個別株や短期売買・FXなどの「ドカンと稼ごうぜ」系に負けないための(笑)マインドセットのための本。(個別株も楽しい面はあるけどね!)
この本の考え方が土台にあるかないかで、投資への向き合い方は結構変わるなと思う。

葬送のフリーレン

アニメにはまり、原作漫画を全巻一気に大人買いしました。アニメを観はじめた頃は「ん?いきなり登場人物達が老いて居なくなるし、冒険終わってる…?」と時間軸を理解するのに戸惑ったけど、話が進むにつれてこの意味がしみじみと効いてくる。このアプローチ、本当にすごい。

人間として生きていると当たり前のことを「フリーレン」という存在を介することで今がどんなに尊くてあっという間のことなのか、出会いと別れをどう自分の中で位置付けていくのかを考えさせられる。
私はペットを飼ったことがないけれど、自分より後に生まれて自分より先に死んでいく動物と暮らした経験がある人は、別の視点でも刺さるのではなかろうか。

アニメも原作も、章の始まりは必ず「勇者ヒンメルの死から○年後」という言葉から始まる。これによって、フリーレンの生きる時間軸が「ヒンメルがいた時間」と「ヒンメルがいない時間」でちょうど1本の線を引いたような感覚になる。

誰しも、そういう出来事ありませんか。

誰かの死や誰かとの別れに限らず、「あれが起きる前」と「あれが起きた後」で人生の時間軸が二分されるような出来事。

すでに1000年以上生きているフリーレンにとってはヒンメルたちと過ごした時間は人生のほんの一部でしかない。でもフリーレンは出来事の要所要所でヒンメルの言葉や行動を思い出して、その思い出と生きている。
勇者ヒンメルならこうしただろう、とか、ヒンメルも似たようなことを言っていたよね、とか。一緒に冒険をしたあらゆる記憶の中にヒンメルがいて、それを大切に引き出しから取り出しながら描かれる。

これらを、もうフリーレンはヒンメルには会えないのだ、という前提を考えて読むと本当に泣けてくるんだこれが。

私もこの春大好きな恩師との別れがあった。「こういう大人になりたい」と本気で思い、この人の役に立つために仕事をしたいと思った、尊敬してやまない人。でも私の場合は会おうと思えば会えるし、連絡はいつだって取れる。フリーレンの切なさに比べれば・・・!と少し救われた部分がある。

悲しい、寂しい、だけではなくてこの出来事をどう自分に活かすのか。一緒にいた期間だけが財産なのではなく、離れたからこそできることは「あの人ならこうするだろうな」と考えて、自分の行動の指針にすることなのだと思った。

なので、次恩師と会えた時にたくさんいい報告をして「また成長したね」と褒めてもらうために、私は仕事をこれからも頑張る。

画像:葬送のフリーレン公式Xより
画像:葬送のフリーレン公式Xより

自らの強さを決してひけらかさず、でも自分なら大丈夫だとしっかり信じていて、肩の力が抜けているのに隙がないフリーレンは本当にかっこよくて、明らかに日常と離れている世界線なのにこうありたいと憧れる。

画像:葬送のフリーレン公式Xより このシーン本当に鳥肌だったな…

こんなにハマった作品は本当に久しぶりで、「楽しむもの」でしかなかったアニメや漫画に救われる世界線が自分の中にあるとは思わなかった。
まだ出会ってない方、後悔はさせませんので、、、!ぜひ。


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