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No.4 “Me gustas cuando callas…” -黙っているときの君が好きだ…:パブロ・ネルーダ

【翻訳メモ】

パブロ・ネルーダの詩集“20 poemas de amor y una canción desesperada(20の愛の詩と、1つの絶望の歌)”の15番目の詩です。この詩集自体とても人気がありますが、その中でもこの詩は特に人気のあるもののうちの一つ。

私はこの詩を読むと、村上春樹さん翻訳の“レイモンド・カーヴァ―全集”の付録の小冊子に書かれていた、あるエピソードを思い出します。

村上春樹さんがカーヴァーの生前のパートナー・テス・ギャラガーにカーヴァーの書斎を見せてもらっていた際のこと。2人はある本の余白にカーヴァーの走り書きを見つけました。

“テスは本を読むときまつげを引っ張る癖がある”

「テスは天国のカーヴァーからラヴレターを受け取ったような幸せそうな顔をしていた」...こんなエピソードだったと思います。

大切な人と静かな時間を共有し、ふと自分が目の前の相手に想いを馳せていることに気づく。
穏やかで幸せなときです。
しかし、同時に一緒にいるのが当たり前の相手が、自分から切り離されたかのように感じる、孤独なときともいえるかもしれません。

こういう時間を積み重ねることで、誰かへの想いが深まっていくのではないでしょうか。

XV 黙っているときの君が好きだ…

パブロ・ネルーダ

黙っているときの君が好きだ まるでそこに居ないようで
あまり遠くにいるから 僕の声は君に触れない
その目は宙を漂っているようで
くちづけがその口を塞いでいるようで

全てのものが僕の魂で満たされているから
全てのものから浮かび上がる君も 僕で満たされている
夢の中の蝶 君は僕の魂に似て
そして憂鬱という言葉にも似ている

黙っているときの君が好きだ 遥か遠くに居るようで
鳩のように鳴く蝶 君は小さく嘆いているようだ
耳をそばだてる君は遠く 僕の声は君に届かない
僕も黙させて 君の静けさと共に

そして話しかけさせて 
ランプのように明るく 指輪のように単純な君の静けさに
君は煌めく星を散りばめて黙する夜のようだ
君の静寂は星 それほどに遠くて純粋

黙っているときの君が好きだ まるでそこに居ないようで
遥か遠く、胸が締め付けられる まるで君が死んだようで
たった一言 そして たった一度の微笑みでいい
僕は嬉しい それが現実でないことが嬉しい

Me gustas cuando callas (Poema XV)
Escrita por Pablo Neruda
Traducida en japonpés por Keiko
©Todos los derechos de la traducción reservados

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