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きよしこの夜礼拝堂 《クリスマスを待つあいだ05》

この記事は2020年の投稿を加筆修正したものです。

ザルツブルクに泊まっている間に、日帰りで行ってみたい場所が2つあった。
ひとつはチロル州の州都インスブルック。
もうひとつはオーベルンドルフ。

ザルツブルクの北部、ドイツとの国境近く、ザルツァッハ川畔にあるオーベルンドルフという村にぜひ訪ねてみたかった礼拝堂がある。
翌日にはザルツブルクからウィーン経由で帰るという日、お昼過ぎからローカル線に乗って出かけてみることにした。

まずローカル線のせいなのか、なかなか降りる時がわからなくて車掌さんに教えてもらったらしい(日記に書いてある)。
小さな駅で降りる。
有名な教会だろうから行けばわかると思ったし、ガイドブックも持っていた。でも駅を降りても、ガイドブックの体験談とはなんだか違うようで、目立った標識もなくウロウロ。
乳母車を押した感じの良さそうな女性が来たので聞いてみると、ドイツ語しかできなそうだったが親切に教えてくれた。
当初、川沿いの道を歩いていくのかと思っていたが、車の多い道路沿いを歩いていくと突然丸屋根の御堂が見えてきて、いきなり着いてしまった(とりあえずホッとする)。

教会だけがぽつんと建っているのかと思っていたが、小さな広場やお土産屋さん、切手などを売っているところがあった。

土手がすぐで、川沿いの景色がすばらしく気持いい。
その日は羽根の形の雲をたくさん見る。

礼拝堂は可愛くて、観光客はたくさんいたが落ち着いたところ。
正面のベンチに腰掛けてサンドイッチを食べたり、傾きかけた陽の光が礼拝堂を照らす角度を変えていくのをしばらく眺めていた。

「Stille Nacht, Heilinge Nacht(きよしこの夜)」は、1818年12月24日、オーベルンドルフの副司祭であったヨーゼフ・モールが作った詩に、小学校の先生でオルガニストだったフランツ・グルーバーが曲をつけ、村の聖ニコラウス教会での聖夜のミサで初めてギターに合わせて捧げられた曲。

教会のオルガンが壊れてしまっていたため、モール自身が愛用のギターを弾きながら、ふたりで歌ったそう。

現在の丸屋根の小さな聖堂は、ザルツァッハ川の洪水で流されてしまった当時の教会の跡に建っているのだそうだ。

子供のころから馴染みのあるクリスマスの曲が作られた小さな場所を堪能して、駅に戻ることにした。

帰りは広々とした空を見ながら川沿いの土手を歩きたかったので、道はわからないけど行ってみる。
ドイツへ渡る橋に見覚えがある。たぶん方向は大丈夫だろうと思いつつ、ちょっと不安。
でも途中地図があったので、ちゃんと駅に辿り着くことができた。
とても気持ちのいい道だった。

現地で買ったポストカード。
とくに右のは、譜面が書いてあってお気に入り。


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