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軍人と国家・軍学と民生


1 挨拶

 皆さん今晩は。
 本日は以下の通り、新しく誕生した拙作を御紹介させて頂きます。

2 拙作『統帥綱領 オートノミー・ドクトリン』

 こちらの拙作は、政治-戦争/軍事の哲学・科学・倫理に関する拙作です。

2.1 表紙

2.2 扉

2.3 解題

多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う日。

敬老の日(けいろうのひ)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

企業や政党などで、中心人物が高齢化しても実権を握りつづけ、若返りが行われていない状態。

老害(ろうがい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

子路曰:「願聞子之志。」子曰:「老者安之,朋友信之,少者懷之。」

論語 : 公冶長 - 中國哲學書電子化計劃 (ctext.org)

 この解題を著述している本日の2023年9月18日は敬老の日であるが、現在の日本において、果たしてその社会的・文化的な意義はどのくらいあるのだろうか?組織に社会や国家等に多大な善き貢献をして引退した老人達に安心感を抱かせ、師友である賢良な有識者達に善良な公衆や忠良な良民に自信を抱かせ、青少年達に親近感を抱かせる厚志に徳行は、果たして一体にどこにあるのだろうか?ああ、思うに、もう既に無いという国情が続いて久しい。

 そのような悲痛で感傷的な自問自答を行っていく中で、我が先師である孔子が子産の訃報に接した時、落涙して「古の遺愛であった。」と嘆いた(『春秋左伝』昭公二十年)ことと、斉景公が晏子の遺体を前にして慟哭(どうこく)したことに、今年の2月28日に、自分[と自分達]がホー・チ・ミン廟に来訪した際に、終始に亘って、両目に浮かび続ける大量の涙を決して流さないように、必死に溢れ出し続ける深い悲しみの情念を抑え続け、そしてホーおじさん(ホー・チ・ミンの尊称)の遺体を見た時には、今にも滝川の如く両目から溢れ出そうな勢いの涙を、今にも爆弾の如く口が開いては声を挙げて泣き出しそうな喉を、今にも急激な凍結の如く心も足も重くなってはその場ですぐにでも倒れそうな身を、必死に統御し続け、最終的には打ち克って、前日の夜に父と交わした「約束」即ち「現実を生き、普通に過ごし、己に克つ。」を完遂することが出来た事の記憶とその時の情念を以て、改めて深く共感した。

 自分[と自分達]のこのような古き良き時代(ただしその実態は極貧や騒乱に戦乱に満ち溢れた封建時代)への郷愁や古哲達への追慕等の情念並びに情操は、ベトナム人として、そして、アジア人-東洋人として思うに、我々の東アジア(儒教文化圏:中国-台湾・朝鮮・日本・ベトナム等)の太古からの政治理念・政治科学・哲学の最重要の大原則が「愛民」だからである。思うにこの大原則は、まず中国神話の堯と舜の伝説から誕生し、次に夏王朝の禹王・殷王朝の湯・周王朝の文王等の為政と徳望ぶりから発展し、その次に孔子によって躍進し、そして遂に孟子や荀子に管子や墨子等によって明確にもしくは絶対的や独善的に確立されたものである。(なお、老子・荘子・列子等に商鞅や韓非子等の場合は、この大原則を懐疑的・批判的・独創的に転化させた。)私見としては、この大原則は極めて必要不可欠にして重要不可欠なものであり、そして無位無官の政治家を志している自分[と自分達]としては、この大原則を確りと護持しては、独創的に実践し続けて、初志貫徹する。子を愛さない親・生徒を愛さない教師・労働者を愛さない経営者・人民を愛さない政治家等はもちろんおり、それも、決して少なくない。いや、むしろ…「それが普通である」とか「これが現実だ」と断言できる程までに、甚だ多いかもしれない、もし誠にこの大原則を基準にして洞察に孤高に挑戦し続ければ。それでも自分は「子・生徒・労働者・人民を誠に愛するのが、名実相伴う正真正銘の親・教師・経営者・政治家である。」という理想を、天を仰ぎながら孤高に懐き続けては、哲学者として挑戦し続けて、愛国者として現実に負け続けつつも、運命に抗っては克ち続ける。

 以上のような政治哲学的な思索を行いつつ、拙作『断金之交 ポストコロナの医学的な社会開発と抜本的な社会変革の為の提言集』の執筆のための研究活動を行っていた自分は、その活動の中で、多民族・多言語・多文化の都市国家「シンガポール共和国」と、その国父であり、そして、偉大な政治家の一人である「リー・クアンユー」首相について研究していたが、自分は非常に深い感銘を受け、取り分け、以下のリー首相の提言とその思惟から、改めて深い学び直しが得ることが出来た。

 若い人たちは、以前がどんなにひどかったのかを覚えていない。だから、我が国の秩序ある発展や繁栄の継続は当然のなりゆきだと思っているのです。覚えている人たちはわが国の現在の発展と繁栄が、少数の人の結集力と決定と計画を基礎に築かれたものだということを知っています。(中略)次の世代が成功の構成要素を理解する必要があります。
 第一は、安定した政治情勢です。
 第二は、高度の教育・訓練を受け、手に入れたいものには代償を払う用意のある国民です。
 第三は、技術的により高いレベルの産業を引き付ける力です。
 第四は、生活水準の向上と清潔で優美なグリーンの環境です。
 第五は、優秀な軍隊です。たやすく入ってきて、我々の建設したものを奪い取れると、誰にも思わせないようにするためです。
(中略)豊かになれば、安全保障に費用をかけることも出来るようになります。(中略)こうしたことを実現するのに不可欠なのは、リーダーシップと、教育水準が高く、訓練が行き届いた規律正しい国民です。健全な政治は経済発展を促進し、経済発展は健全な社会環境をもたらし、安全保障と諸君の将来を確保する財源を生みだすのです。

『シンガポールの政治哲学 リー・クアンユー首相演説集』〈上巻〉(リー・クアンユー⦅著⦆、黄 彬華、呉 俊剛⦅編集⦆、田中 恭子⦅訳⦆、井村文化事業社、1988)「政治、経済、安全および国家の将来」、p.345/p.350

 今年に、こよなく愛する我が第二の祖国日本では、『平和学事典』(日本平和学会⦅編集⦆、丸善出版、2023)が出版された。これは非常に喜ばしいことである。しかし同時に、批判的かつ建設的に考察しなければならないことがある。まず、以下のニュース記事を引用する。

「平和学」の歴史や要点を網羅的に解説した「平和学事典」の編集に携わった主要な研究者らが今月、立命館大(京都市上京区)で学生に講義した。(中略)講師らは、ウクライナ戦争の長期化や日本の防衛費大幅増が進む中、「平和学の意義を今こそ考えてほしい」と呼びかけた。

日本も軍事力依存で良いのか 「今こそ平和学を」事典編集の研究者 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 このニュース記事の表題「日本も軍事力依存で良いのか」と言う言葉と本文中の「平和学の意義を今こそ考えてほしい」と言う言葉。思うに、この二つの言葉は非常に大切である同時に、この二つの言葉から批判的かつ建設的に考察しなければならない危難は、日本人の戦後教育の極めて深刻な悪影響に由る、軍事科学に対する教育的・政治的・社会的・文化的な軽視・誤解・忌避等である。これらの悪果が、今現在の日本人の病的な事勿(なか)れ主義や浅薄で安直な平和主義等(いわゆる「平和ボケ」)であろう。「知らぬが仏」・「波風を立てない」・「出る杭は打たれる」・「臭い物に蓋(ふた)をする」等の言葉があるが、私意としては、「仏は悟る知者」・「暴風雨に備えては臨め」・「整理整頓に清掃を」等の言葉を以て、上記の「妄言」即ち「こよなく愛する我が第二の祖国の病理」に「徹底抗戦」即ち「愛国心を以て尽力する根治」を誠に謀る。

 8日前に、自分は『遊撃戦 用兵術と処世術に仁術と哲理の兼学とその深造自得』と言う拙作の構想並びに表紙・目次・解題等を完成させたが、これは、ホーおじさんが民族解放運動の為に数々の軍事著作を著述したことを深く尊敬しては、模倣として批判的・現代的・発展的・独創的に学び受け継ぐ立志並びに決行から誕生に成立した拙作である。そして、ホー主席の軍事著作の一つに『Phép dùng binh pháp của ông Tôn Tử』(孫子翁の兵法の用法)と言う著作がある。この著作は、ホー主席が『孫子』を研究しては、ベトナム語に意訳したものであるが、ホー主席は、その序文にて「『孫子』の原則は、軍事的に正しく運用するだけではなく、政治的に運用するのも極めて興味深いものです。」と著述した。この言葉は極めて重要な意義を持っており、その意義とは、後の「政治を本とし、軍事を末とする。」や「政軍関係は緊密でなければならない」(ここでは「軍人達も政治の良き理解者や国防の実現の為の参画者でなければならない」という意味)等の軍紀に大戦略(国家-全体-総合-外交戦略)に決定的な深い影響を与えたことであろう。そしてその影響はこよなく愛する我が祖国ベトナムの戦勝の一因となったであろう。

 以上のことから、拙作『遊撃戦』に続いて、自分はホー主席の偉業、そして『孫子』の数々の偉大な遺訓を懐疑的・批判的・現代的・発展的・独創的に学び受け継ぐ立志並びに決行をし、今回の拙作『統帥綱領 主体性(オートノミー)・教範(ドクトリン)』を著述しては完成させて、出版し、愛国心を以てこよなく愛する我が二つの祖国の国防に貢献する。

 さて、「政治を本とし、軍事を末とする。」という大戦略、そして「愛民」(人民を誠に慈愛する)という東アジア太古からの政治理念・政治科学・哲学の最重要の大原則、この二つのことを主題とする軍事科学書を創作することから、「『慈・愛・仁』を体得するために、『尽善尽善』し続けては、『徳性滋養』を成し続けて、『人格の完成』を繰り返し為し続ける。」という理念を打ち出す。この大戦略・大原則・理念の三つとその連係が、拙作の主題である。

 拙作の主題、そして『孫子』の高名な格言「戦わずして勝つ」から、自分は深く尊敬する偉大な古哲の一人「子産」が心の中で浮かび上がった。春秋時代の後期にて、数多の地政学的な内憂外患を抱え続ける弱小国の祖国「鄭」とその数多の国難・外圧・内紛・政争・悲劇・地政学的リスク等に対して、子産は、徳政に多くの大胆な改革を以て国内を立て直し、そして、理路整然ながらも緩急剛柔・博物にして忠勇・柔軟性に富んだ剛毅果断にして洞察力に富んだ臨機応変等を以て巧妙な外交を行ったことで、国外からのあらゆる脅威を消滅させたり、あらゆる干渉を排斥したりし、長年に亘る内憂外患に終止符を打ち、弱小国の鄭にようやく平和と復興が訪れたのであった。更に子産は中国史上初の成文法『鋳刑書』を制定しては発布するという画期的・先進的・歴史的な業績を残した。また子産は政治家・改革者としてだけではなく、思想家としても、数多くの格言・思想・哲学的な遺訓等の持ち主であった。そこで自分は、子産の政績に偉業とその遺徳を懐疑的・批判的・現代的・発展的・独創的に学び受け継いで、拙作の主題とその哲学・思想・理論等を体系的に完成させる。

 更に、「東洋の古哲だけではなく、西洋の古哲とその両者の遺徳の比較と連繋を。」という自分の博学篤志の考えと、前述の拙作の主題に基づく、「道徳心の滋養に倫理観の深化」・「善美の実践に人格の形成」、そして子産の格言の一つ「必ずや徳を以て政を為す」(『史記』[鄭世家])から、以下の東西両洋の先哲達の偉業とその遺徳を懐疑的・批判的・現代的・発展的・独創的に学び受け継いで、拙作の主題とその哲学・思想・理論等が造詣の深いものとして完成するように奮励努力する。

Ø  マルクス=トゥッリウス=キケロ(共和政ローマの弁護士・文筆家・弁論家・政治家・哲学者。)
Ø  プルタルコス(古代ギリシャの哲学者・著述家)
Ø  プロティノス(古代ローマ帝国の哲学者・新プラトン学派の創始者。)
Ø  二宮尊徳(日本の江戸時代の農政家・思想家。)
Ø  河合栄治郎(日本の明治時代・大正時代・昭和時代の経済学者・思想家・知識人。)
Ø  天野貞祐(日本の大正時代・昭和時代の哲学者・教育者・文学博士。)

2.4 参考文献

『孫子・呉子 新釈漢文大系』(天野 鎮雄⦅著⦆、明治書院、1987)
『The Art of War』(Samuel B. Griffith⦅訳⦆、Watkins Publishing、2011)
『The Art of War』(Denma Translation Group⦅訳注・解説⦆、Shambhala Pubns、2017)
『戦略論大系 ①孫子』(杉之尾 宜生⦅編著⦆、戦略研究学会⦅編集⦆、芙蓉書房出版、2001)

http://repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/bitstream/11334/106/4/kiyo_006_05.pdf

『二宮尊徳全集』〈全36巻〉(二宮 尊徳⦅著⦆、二宮尊徳偉業宣揚会⦅編集⦆、龍渓書舎; 復刻版、1977)
『報徳記』(富田 高慶原、佐々井 典比⦅古訳注⦆、致知出版社、2023)
『河合榮治郎全集』〈全23巻+別巻〉(河合 栄治郎⦅原著⦆、江上 照彦⦅著⦆、社会思想研究会⦅編集⦆、社会思想社、1967-1970)
『河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実』(松井 慎一郎⦅著⦆、中央公論新社、2009)
『天野貞祐全集』〈全9巻〉(天野 貞祐⦅著⦆、日本図書センター; 復刻版、1999)
『天野貞祐 道理を信じ、道理に生きる』(貝塚 茂樹、ミネルヴァ書房、2017)
『プロティノス全集』〈全4巻+別巻〉(田中 美知太郎⦅監修・訳⦆、水地 宗明⦅訳⦆、田之頭 安彦⦅編訳⦆、岩波書店、1999-2002)
『Plotinus Complete Works In Chronological Order, Grouped in Four Periods.』(Kenneth Sylvan Guthrie⦅著⦆、CreateSpace Independent Publishing Platform、2017)
『キケロー選集』〈全16巻〉(岡 道男、片山 英男、久保 正彰、中務 哲郎⦅編集⦆、岩波書店、1999-2002)
『古代ホメロス論集』(プルタルコス、ヘラクレイトス⦅著⦆、京都大学学術出版会、2013)
『英雄伝』〈全6巻〉(プルタルコス⦅著⦆、京都大学学術出版会、2007-2021)
『モラリア』〈全14巻〉(プルタルコス⦅著⦆、[多数]⦅訳⦆、京都大学学術出版会、1997-2018)

『子産文獻集成』〈全10巻〉(劉 志偉⦅主編⦆、宋 國棟、張 相逢⦅副主編⦆、國家圖書館出版社、2020)

3 結語

 今から運動を行って、その後に、就寝するまで研究活動を行います。

ありがとうございます。心より感謝を申し上げます。