K-INDIE Say Sue Me
前回、台湾の「透明雜誌」を紹介したnoteはこちらから。
今回、第2弾のnoteで紹介するバンドは韓国・釜山出身の「Say Sue Me」(読み:セイスーミー)です。個人的に激推ししているドリームポップ/シューゲイザー/インディーポップ・ロック(言い方が様々過ぎる...)なバンドです。
K-POPという言葉があるのにK-ROCK,K-INDIEという言葉は未だにマイナーな言葉です。K-ROCKやK-INDIEという言葉も普通に伝わるようなバンドシーンが来てほしいですが、韓国のバンドシーンの規模がポップスより小さいという問題点などがあるため、音楽好きの皆さんがもっとK-ROCK/INDIEを聴いて、アジアのバンドシーンが盛り上がれば嬉しいです。
ということで今回は彼らの曲と共に、K-INDIEを代表するSay Sue Meの魅力を書きます。
1.Say Sue Meとは
1-1.まずはSay Sue Meの基本情報です。
2012年に結成した韓国・釜山の4人組インディ・ロック・バンド Say Sue Me。
メンバーは
の3人です。
彼らの楽曲の特徴的な部分は落ち着いた気怠げな女性ボーカル。そしてギターを歪ませたシューゲイズサウンド(歪みやノイズが強く浮遊感のある音)は、休日に何もやる気が起きない時、ベッドの上で寝転がりながら聴きたくなります。きっとこのまま昼寝したらいい夢が見れそうな、等身大なのに無理をしていない、彼らの素が出ているような楽曲が多いです。
彼らは日本でも精力的に活動しており、2019年1月には東京・渋谷WWWで日本のシューゲイザー/インディーポップバンドのLuby Sparksと対バン、4月には東京・TSUTAYA O-nestで来日公演も行っています。
billboard JAPANの記事によると、韓国・日本のみならず活動場所は全国的です。
あのスーパーオーガニズムの韓国公演でオープニングアクトも務めており、韓国のバンドシーンではとても有名なバンドです。
また、スピンコースターの記事によると、ボーカルのスミさんは中学生の頃よりRadioheadを聴き始め、Yo La TengoやPavementのようなUSインディに大きな影響を受けているようです。
(Pavement-Shady Lane)
(Yo La Tengo-Tom Courtenay)
Say Sue Meの楽曲は英詞のものが多く、上記のようなUSインディのバンドに影響を受けたものと思っていたのですが、ボーカルのスミさん曰く韓国語で歌詞を書くのが難しくて英詞にしているそうです。
1-2. Say Sue Meが今までに発表した作品
Say Sue Meは今までに多くの作品をリリースしています。
以下がその一覧です。
・Big Summer Night (2015)
・Semin EP (2017)←おすすめ
・Good For Some Reason (2017)
・Say Sue Me/Otoboke Beaver split 7" (2017)
・it's just a short walk! (2018)
・Just Joking Around/B-Lover Single (2018)
・Christmas, It's Not a Biggie (2018)
・'George & Janice' / 'Don't follow our van ' Single (2019)
・At The End Of The Road (2019)
・Your Book / Good People (2019)←おすすめ
・We've Sobered Up (2014)
・Say Sue Me (2017)
・Where We Were Together (2018)←おすすめ
他にもリマスター版など何枚かの作品を出しています。
2.Say Sue Meのここが良い!
魅力ポイントと楽曲
Say Sue Meの魅力ポイント3つを、彼らの3rdアルバム「Where We Were Together」(2018)内の楽曲を用いて紹介していきます。
(Say Sue Me-Let It Begin)
彼らの魅力その1「クドくないサーフロックサウンド」
日本のバンドで例えるならDYGLやnever young beachっぽい、波打ち際で聴きたくなるサーフロックサウンド。アルバム1曲目に入っているLet It Beginがそのサーフロックのザクザク感を体現しています。Let It BeginはAメロがはじまるとより気怠げ(いい意味で)になり、ゆったりしたメロウな雰囲気を味わえます。
never young beachのMotelや雨が降ればで使われているギターと似た音の雰囲気も感じ、全然違う気もしてくるような、クドくない不思議サウンドです。
(never young beach-Motel)
(Say Sue Me-But I Like You)
Say Sue Meの魅力その2「歌詞の世界観を上手く音楽に乗せる力」。
アルバム2曲目に収録されているBut I Like You。
この曲の歌詞には ”世の中には私の嫌いなもので溢れているが私はあなたが好き ”というメッセージが込められていると私は解釈しました。
シンプルなパターンのドラム・いい意味で抑揚の無い囁くようなボーカル・ドリーミーなギターが合わさり 、 ”But I like you”という正直で素直なメッセージをとても上手く表していると思いました。
ギターソロでは気持ちのいい高音のメロディが入ってきて、夢で心地よく浮遊していてその夢から覚めたくないような情景を思い浮かべることができます。
(Say Sue Me-Old Town)
Say Sue Meの魅力その3「優しさの中にある力強さ」。
アルバム3曲目のOld Townは、イントロやアウトロのメロディなど、ところどころにシューゲイズ要素がたっぷり詰まった曲です。少しハイテンポな曲にも関わらず凄く落ち着く曲です。ヴォーカルの低めな声とギターのドリーミィさが混ざることで心地よいサウンドになっているような気がします。
そしてこの心地よい優しさ、柔らかさの中に力強さを感じるところがSay Sue Meの大好きポイントです。気怠いのに芯があり、自分の意思は曲げずしっかりしているような感じ。しかしそれを前面にアピールするのではなく曲に落とし込んで柔らかく、優しく表現しています。
だからクドくなく、自然と聴きたくなるような曲になっているんですね。
3.まとめ
嬉しいときに聴きたい曲や悲しいときに聴きたい曲など、その時の自分の感情のシーンに合わせて聴く曲を選ぶ方も多いと思いますが、Say Sue Meは嬉しいときも悲しいときでも耳に馴染む、シーンを選ばないような曲を作っているバンドです。
何か言葉をかけて励ましてくれるわけではなく、ただそばにいて寄り添ってくれるようなSay Sue Meの曲、そして今回紹介した楽曲が入っているアルバム、「Where We Were Together」をぜひ聴いてみてください。
また、Say Sue Meのおすすめ曲をセレクトしたプレイリストをSpotify・Apple Musicで作ってみました。
散歩している時、電車に乗っている時など、ふとした時にぜひ聴いてみてください。いつ聴いてもいいなあ...ってなります。
時代の流行りに左右されず、サーフロック、シューゲイザー、ドリームポップなど多くのジャンルを取り入れ自分たちの音楽スタイルを貫くK-INDIEバンド。これからのSay Sue Meにも注目していきたいです。
おわり^^
References
「Say Sue Me :Music.」『bandcamp』saysueme.bandcamp.com/
「韓国・釡山のインディ・バンド、Say Sue Meが4月に単独来日へ.」『billboard JAPAN』2019年1月25日
「INTERVIEW Say Sue Me.」『Spincoaster』2019年5月15日
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