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No5. 冬薔薇からのメッセージ(白木蓮の心花物語)


朝7時。


閉じたカーテンの外から響いてくる雨の音。


天気予報が当たったのね。
今年の大晦日は雨模様。

ガラス窓を開けベランダに出ると、思いの外冷たい空気が身を縮ませます。

小雨を降らすマーブル模様の雲。

その空を見上げるように開いているのは、紅色の薔薇「マリア カラス」


「マリア おはよ。今朝も別嬪さんね」


先ずは朝のご挨拶。

三年前の秋、コロナ禍での気晴らしにと始めた薔薇栽培。


薔薇は手のかかる植物と聞いてはいましたが、その通りで。
ビギナーの私は手入れを怠り失敗ばかり。


最初に買った苗の中で育ったのは、「マリア カラス」だけになってしまいました。

(ディーバに捧げられた薔薇マリア カラス。 
詳しくは、2023.2.11の記事、「私のマリア カラス」に書いていますので読んで頂けますと嬉しいです。
2024年は、アンジェリーナ ジョリーがマリアカラスを演じた映画が公開されるとか)

マリアは凄く丈夫な品種のようです。
他の薔薇達が病気になっても、素知らぬ顔で淡々とマイペース。

そして、咲く度に違う表情を見せ、同じ薔薇かと見間違う程。

自然の力は本当に奥深いと実感させられます。


春のマリアはうっとりするほど麗しく。


でも流石に、この夏の酷暑は堪えたようで。

私自身が夏バテで気もそぞろになり、その間に虫にやられてしまったのですが。


これで、とうとうマリアも駄目かと思いきや、秋には復活。

しっとりと優雅な姿で登場。

「マリア お見事」


そして迎えたこの冬。

冷たい空気を味方につけて、もう幾日も凛とした姿のまま。



20年近く前の寒い冬でした。


凍りそうに張り詰めた空気の中に、毅然と咲く薔薇を見つけ、立ち止まり、時を忘れ見つめ続けた事があります。

その頃、40代前半だった私は、心が推しつぶされそうな悩みを抱え彷徨う日々。

そんな中で出会った冬薔薇
一輪。


厳しい寒さの中でも、己を見失わず静かに凛と咲く姿は、


「自分を正せ」
と、

迷子の私に、自然が解いてくれているようでした。


それから、冬薔薇は私の憧れの花になりました。


本来、冬薔薇と言う種類は無く、強い薔薇だけが冬に咲くのだそうです。

春のよな華やかさも、
秋のよな雅さも無く、
静かに開く冬薔薇。


加齢が重なり行く60代。


冬薔薇のよに咲きたいものです。



















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