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自力で土中の水を探し求め、吸収するはずだ

今日は朝から気分がすぐれている。
…などと書くと闘病中の人みたいに聞こえないでもないが、そうではなく本当に気分がよいのだ。

目覚めも5:30、数日ぶりにまともな時間だった。
最近、0:30とか2:30とかに朝だと思って飛び起きて着替え、エアコンを消し窓を開け、家族の顰蹙を買ったりしていたから。
なんでいつもX時30分に目覚めるのかは知らないけれど。

昨日は20時に大阪で仕事の打ち合わせがあった。
夕飯を早めに作って済ませ、家族の分は冷蔵庫にしまって出かける。
映画でよく見る、夜の仕事で家族を支える母ちゃんのシーンみたいだ。

飲みでもないのにそんな時間に出歩くなんて久々だ。
家路を急ぐ人々に逆らって街の中心部に分け入っていく快感、スリル。
まるでジャングルクルーズだ。
――右をご覧ください! 疲れたサラリーマンが酒場に消えていきます!
あ、家路でなく酒場だったのか。
道理で皆、口元がにやついていると思った。

指定されたビルに着いてみると、入口はすっかり暗く閉ざされ、非常用の鉄扉だけがポツンとある。
1階にはコンビニがあります、と聞いてきたがそれもない。
もうこの鉄扉を突破するしかないのか?
時間が少しあったので街区をぐるっと回ってみると、反対側にコンビニと明るいウェルカムな入口があった。
えぇいままよと裏の鉄扉を開け、警報が鳴り響くさまを想像して軽く身震いした。

人けのないオフィスで打ち合わせ。
こういうところでは本音がストレートに出せてよい。
自分に不利になることもあけすけに話しながら、利害の駆け引きから遠く離れたところに自分がいることに安堵する。
もうそんなビジネスというものにほとほと飽きがきているのだ。

打ち合わせではとくに何が決まったわけでもない。
盆明けにもう一度話しましょうと。
それでも気分はすこぶる爽快。

このところ、仕事で、というより自分のキャリアを歩んでいくうえで、種まきをしてきたものが少しずつ芽を出しているような実感がある。
まだまだほんの少し、黒土の中に小さな緑の点を認めた程度だけど。

でもな、ここで嬉しくなって水をたっぷりやりすぎて根腐れを起こしたのが去年のベランダ菜園。
もうそんな愚は犯すまい。
まだ今は小さくしか見えない緑の点が真に力を持っているなら、自力で土中の水を探し求め、吸収するはずだ。

(2023/8/10記)

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