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いやはや、意識とはおそろしいもので

そろそろ髪を切らなければ。

僕はだいたい2か月に一度、サロンで髪を切ってもらう。
三宮の雑居ビルにある小さなサロンだ。
常に人目にさらされ、かつ安定収入のあったサラリーマン時代は1か月半に一度切ってもらっていたが、今はちょっと節約。
年間8回が6回に減る計算だ。

僕の髪はフニャフニャの猫っ毛だ。
髪を切った直後こそ、自在にスタイリングできてよいが、伸びてくると何をやっても湿気に弱く、気づいたら重力に引っ張られてぺちゃんこ。
だから、切り立てとしばらく経ってからとではセットの方法が変わる。
簡単に言えば、ドライヤーで風を当てる向きが反対になるのだ。

なんかうまくセットできなくなってきたな、崩れやすいなと思ったら、翌日からドライヤーの向きを変える。
だいたい髪を切って1か月は後ろから風を、そのあと1か月は前から風を。

数日前、あれ? 全然うまくセットできない!と思う日があった。
でも翌日、ドライヤーの風向きは変えなかった。
なぜって、髪を切ってもらったばかりだったから。
おかしいな。
サロンへ行ったばかりなのに、なんで後ろから風を当ててうまくいかない?
もしかして髪質変わった?
翌日も、そのまた翌日も、あれ?を繰り返した。

まぁまぁ人気のサロンだから、かなり早めだけど次の予約を入れておこうと予約サイトを開いて驚いた。
前回切ってもらってからすでに2か月が経っていたのだ。
スタイリングがうまくいかなくなるはずだ。
おかしいのは髪ではなく、僕だった。

2か月の時間の経過は、僕の体感では2週間だったのだ。
だからスタイリングがうまくいかなくなっても、2週間しか経っていないのだからとドライヤーの風向きを変えることはしなかった。
思い込みのおそろしさよ。

そして何より、2か月を2週間と思って過ごした浦島太郎の僕。
そういえばサロンの予約ページで真実を知ったとき、白い煙がシュポッと立ちこめた気もする。
いやいや。
カレンダー見ずに2か月突っ走るってどんだけ。
いちおう忙しかったからということにしておくけれど。

2か月と知ったら急に髪がモサモサになった気がする。
すぐにでも切ってもらわないとキーーッ!となりそうな。
いやはや、意識とはおそろしいもので。

(2024/4/15記)

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