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収穫多い、京の旅

一昨日、上洛。
昨年10月の大学時代のサークル同窓会以来だ。

一人暮らしの娘がPCの不調を見てほしいというので。
PCに詳しい人と認識してくれているようだ。

娘の下宿を訪ねるのは2年ぶりくらい。
生活のすべてが詰め込まれた狭い空間はいかにも大学生らしい。

さっそくPCの様子を窺うがどこも異常はない。
まぁそのうち分かるだろう。
そういって、晩メシに出かけた。

大文字山を遠くに望みながら、夕京を歩く。

古民家居酒屋〈棒野〉へ。

よく来るん?と訊いたら、いや昨日友達がインスタにあげてて、という。
店の探し方が僕とは違って、やはり今どきだ。

©棒野公式

庭を眺めながら串とビール。
八丁味噌仕立ての、どて煮串揚げがたまらなくうまい。

串揚げ・串焼きのセットに追加で何串か、さらに一品ものとたらふく食べ飲みし2人で3000円台とはさすが学生街だ。

食べ終わってもまだ明るく、賀茂川に映る夕焼けがきれいだったので真剣に撮影していたら、その無防備な姿を娘に撮られていた。

部屋に戻り、引き続きPCに異常が出ないか観察するため映画1本たっぷり2時間観たが、とくに問題は生じず、映画に泣いた。
東京にいる息子ともオンラインで繋いで少し話をしてみたが、それでもPCに異常は生じない。

一夜明けると、空は薄曇り。
娘はさっそく「ヘイ、シリ! 今日の上京区の天気は?」と聞いている。
またもや今どきが満ちあふれている。

午前中は、娘と就活談義。
そろそろ就活が本格化する娘は、これからいっぱい悩むのだろう。
身内にはキャリアコンサルタントの技はうまく使えない。
自分に合った道が見つかることをただ祈っている。

昼どうするん?と聞いたら、ハンバーグの店とハンバーガーの店のどっちがいい?となんとも紛らわしい2択を迫られた。
最近本気のハンバーガーを食べてないから、後者を選択。

卓上のハインツが、アメリカンなバーガーを期待させる。

柔らかな光を落とすイカ形ランプ。

来た! ベーコンバーガー! ポテト! サラダ!
ジューシーなパテ、肉厚のベーコン、ボリューミーなバンズ。
とびきり極上のハンバーガーだった。

と、外はポツポツ小雨。
傘持たずに出てきてもたやん…今日の天気、雨?
朝シリに聞いてなかった?と考えを巡らすと、その光景がよみがえる――

「ヘイ、シリ! 今日の上京区の天気は?」
「アメリカ合衆国ニューヨークの天気は…」シリがどうかした。
ん? 上京区…カミギョーク…ニューヨーク? 娘の滑舌よ!
もう一度訊き直すかと思ったら娘は「はい、ありがとう」
えー! 訊き直さんのかい!
おかげでカミギョークの天気は分からず、そして雨に降られている。

娘と別れ、新京極の老舗〈ロンドンヤ〉の名物ロンドン焼を土産に。
カッチャンカッチャンと音を立てながら自動で焼きあげる実演製造マシーンには、よく子供や外国人が人だかり。
学生時代から興味を持ちつつ、30年の時を経て初めて買ってみた。

直径5cmほど、ミニサイズのカステラ饅頭。

ハイカラなイメージでデザインされたのだろう「ロンドンヤ」の焼き印は、今となってはかわいい。

割ってみると中は優しい白あん。
こしあん、つぶあんも選べるものだと思い、10個!と勢いよく頼んだが、何も訊かれず10個包んでくれ、白あんばかり10個になった。
あとで調べると、白あん一択らしい。

結局PCは謎のままだが、京の娘、東京の息子の息災に安心。
就活にこれから挑む娘がんばれ、1年早く就活を終えた息子おつかれ。

そして何より。
串揚げを頬ばり、顎が外れそうなバーガーにがっついた僕は、どうやらもうふつうのものを(やや難はあるが)ふつうに食べられるようになった。

収穫多い、京の旅。

(2023/6/7記)

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