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まくとぅそーけーなんくるないさー

沖縄でキャリア支援のプラットフォームを構築しようと奮闘するにっしーさんのお手伝いをしている、と以前の記事に書いた。

にっしーさんは、決してよいとはいえない沖縄の労働環境の改善を目指し、持ち前の情熱と無敵の若い行動力で一歩ずつ先へ進む。
いや、それだけではない。
キャリア支援の枠組みを飛び出して沖縄の活性化までも視野に入れ、不動産、教育など多岐にわたるでっかい夢を見る。

キャリア支援に地域活性化だなんて、まるで自分の輪郭を見るかのにっしーさんに共感しないはずがない。
一も二もなく協力を申し出たのは先月のことだった。

そんなにっしーさんが昨日、出張で大阪にやってきた。
大阪! 神戸から30分で行ける大阪だ。
にっしーさんとはZoomやSlackでやり取りしているが、これはもしかして直接会って話せる?

息せき切って確認したら、朝から夜まで同行者との予定がびっしり。
うーん…でもこのチャンスを諦めきれない。
5分だけでも、立ち話だけでも、挨拶だけでもとお願いしてみたら、にっしーさんもこのタイミングで大阪出張が入った奇跡を活かしたいと予定を調整してくれた。

新大阪のビル街に佇む居酒屋で、初めましてではない初めまして。
乾杯もそこそこに、話はもちろん仕事のこと。
これからどうしていくのか、今そのために何をするのか。
どうやって社会に共感を生み、支援の輪を広げていくか。
活動を持続させるためには資金のことも考えなくてはならない。

…気づけば2時間半が経っていた。
尽きぬ話に後ろ髪引かれながら、そろそろ終電が気になる。
「ごめん、終電が…」
「一度でいいから、終電あるから帰ります!って言ってみたいんですよね。沖縄、電車ないから」
にっしーさんが屈託なく笑う。
「電車ないから、結局朝まで飲んじゃうんですよ」
終電を気にせず飲めるほうがよっぽど羨ましいぞ。

にっしーさんの言葉で心に留めなければと思ったひとことがある。
沖縄が他県に比べて最低賃金や年収が低い問題について話していたときだ。「まくとぅそーけーなんくるないさー、って知ってます?」
いや、知らない。
なんくるないさー、は知ってるけど。

「なんくるないさー(なんとかなるさ)」はのんびりした沖縄を象徴する、楽観的な言葉として有名だ。
でもにっしーさんは言う。
小さなことにこだわらないことは大事だけど、その言葉だけが一人歩きし、逆に沖縄の人が変化を見て見ぬふりをするようになったのではないかと。

実は「なんくるないさー」は本来、その前句として「まくとぅそーけー」がつくのだという。
「まくとぅそーけー」すなわち「誠をすれば」。
つまり、何でもかんでも「なんとかなる」のではなく、「誠の道を歩む努力を怠らなければ」なんとかなる、ということなのだ。
沖縄のにっしーさんでさえ、最近までこの前句を知らなかったという。

「まくとぅそーけーなんくるないさー」
沖縄に限らず、すべての人にとって大きな重みのある言葉だ。

沖縄の現状を話すなかでこの言葉を出したにっしーさんに「誠」を見た。
僕はその誠をなんとか形にしたい。
なんくるない、かな?

(2023/10/31記)

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