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リアルタイム会議 メタバースの勃興 (その4) ~デジタル・ヒューマンの作り方 パート1~

4月末に全世界をズームで結んで行われた「リアルタイム会議 2021年春」。今年はメタバースに使われる技術を広く紹介することが主な目的でした。今回のnoteでは、デジタル・ヒューマンを実現する技術についてのダイジェストです。

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今回取り上げるのは、Andrea Weidlichさんの講演 "From Alita To Gemini Man A Journey Of How to Make A Digi A Human" です。

世界屈指のビジュアル・エフェクツ会社 Weta Digital (ウェタ・デジタル)のSenior Researcher Renderingの肩書を持つ研究者のAndreaさん、題材はリアルなウィル・スミスで話題になった映画「ジェミニマン」と、日本の漫画「銃夢」が原作の「アリータ: バトルエンジェル」です。

映画のキャラクターとしてのデジタル・ヒューマン

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ウェタ・デジタルでは、人間にそっくりなキャラクターを作成するにあたって、以下の項目を4つを大切にしています。
・アートとしての自由な表現 (Artistic Freedom)
・ディスク容量(Storage)
・計算にかかる時間(Performance)
・柔軟性(Flexibility)

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「アリータ」は、実際に演技をしている女優の上にCGを重ねる手法で、大きく印象的な眼や、体の一部となっている武器をシームレスに身体と統合することで、ユニークなキャラクターを表現しています。

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例えば、水に濡れた肌の表現はCGでは実現が難しいものの一つなのですが、肌の構造を研究して、できるだけ現実に近い皮膚の表現に挑戦しています。

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「ジェミニマン」ではリアルなウィル・スミスの顔を作成するために、同じように肌の構造を階層化して、さらに光の当たり方を研究して実現にこぎつけたそうです。

アバターとしてのデジタル・ヒューマン

映画でデジタルのキャラクターを制作する試みは90年代から行われていますが、比較的最近のデジタル・ヒューマンの用途として、バーチャル空間におけるアバターが挙げられます。以下は、Soul MachinesのCEO,Mark Sagarさんの講演です。

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例えば、コスメティクスを販売するSK-IIはアバターの「ユミ」を作成。カスタマーのスキンケアに関する相談を受け付けます。このようなアバターは「エージェント」と呼ばれ、人工知能技術の活用により今後ますます増えると考えられます。

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一方、実在の人物そっくりのアバターを制作し、様々なデジタル・コンテンツに活用することも珍しくありません。将来のメタバースでは、「架空の有名人」に遭遇することは、ごく普通の光景になりそうです。(つづく)


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