幼稚園児が少年野球チームに入団した日
次男は幼稚園の年長さんの秋から小学校を卒業するまでの6年と少しの間、少年野球チームに入っていた。
本人はもっと早く入団したかったのだが、何分幼稚園児はいろいろと手がかるため父親がコーチとして入るのであれば早期入団も可能だが、そうでない場合は待ってくれと言われて、年長さんの秋まで待った。
入団を待っている間、家族4人でよく公園へ行き、野球のまねごとをしていた。野球経験のない父親とスポーツはスキーくらいしかできない母親が、体力が有り余っている子供たちの相手をする。
キャッチボールを初めて10分もたつと親は飽きてくる。何とかやめるための理由を探し始める。だが、次男は一向にやめようとしない。
じゃあ気分を変えて、バッターになったらどう?と言うと嬉々としてバットをもってくる。最初は調子よく打っているが、打った球を取りに行くメンバーが疲れだし、球を投げるピッチャーも疲れはじめコントロールが乱れる。
すると、思うように打てなくなった次男が怒り出す。バットを地面に打ち付け「球が悪い、球が!」と打てない悔しさをぶつけてくる。
そうしていつも、公園遊びは終了となり、早く入団させてくれ~と親は心の中で叫んでいた。
🥎🥎🥎
待ちに待った入団の日。次男が入団を許されたのは、小学1年生のお兄さんたちのチームだ。
1年生だけれども、みんなとてもうまい。毎週末、朝8時から夕方4時、5時まで練習しているらしい。練習内容も本格的でびっくりした。
次男は少し遅い時間から合流したため、ウオーミングアップはすでに終わっていて、練習メニューが始まっているところだった。
塁間で走者が挟まれたときの、走者の走り方と守備側の球の投げるタイミングとアウトの取り方の練習。
ちょっ、
え?
1年生だよね?
すごっ。
「じゃ、Yくん(次男)もこれかぶって走ってみようか」
監督さんがヘルメットを持って、ニコニコと近づいてきた。
説明を受けて、走者の順番待ちの列に並ぶ次男。
やってることの意味は分かるのだろうか。
やがて次男の順番が来た。1塁からリードを取っていた次男が2塁へ向かって走ると同時にピッチャーが1塁に球を投げる。ファーストが球を取り次男を追いかけつつセカンドへ球を投げる。すると、アウトを取られまいと次男は踵を返して1塁へ戻る。
うわ。ちゃんと理解して練習してる。
一つ目のメニューが終わると、トスバッティングが始まった。
親とやるボール遊びとは違いコントロールのいい球を投げてもらってうれしそうだ。
午前のメニューが終わるとみんなでお弁当を食べる。食べ終わって5分とたたないうちに、野球ができるうれしさを爆発させた次男は監督に向かって
「キャッチボールしよう」(タメ語!)
監督さんは、「食べ終わってすぐだからちょっと待って」と言いつつも
目を細めて、お弁当箱をバッグにしまうとすぐに立ち上がってキャッチボールをしてくださる。
次男は、午後の練習も疲れを見せず終始楽しそうに野球をしていた。周りのお兄さんたちに「Yくん、うまいねー。」と褒められご満悦の様子だった。
この日から、次男にとって週末が待ち遠しくて仕方がない日々が始まった。
小学校へ入学するまでの数か月、幼稚園児がこなす運動量とは思えない
メニューを週末ごとにしていた。
小学校入学式の日、彼の顔は日焼けで黒光り。体も引き締まり変な目立ち方をしていた。ランドセルよりもユニフォーム姿のほうがしっくりくる次男であった。
おわり
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