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初めの挫折、人前に出たいのに喋れない。

高校時代。オープンキャンパスに行きながら、声優養成所に通っていました。このときが1番忙しかったですね。平日は月・水でアルバイト、木・金で養成所。土日はオープンキャンパス巡り。

このときのスケジュール感があるので、予定が重なろうがなんだろうが「あの時に比べりゃ」という気持ちになれ、頑張れるんです。やりたいお仕事とはいえ、頑張らなくちゃいけませんからね。

でも、頑張れる理由はこの一つだけじゃありません。楽しい中にも、こんな事を言われてしまったことがありまして。初めての挫折です。

この挫折があったからこそ“あれが乗り越えられたんだから大丈夫”と思える。

・前回「父親の一言で‥」

【声優だけが仕事じゃないから】

ナレーションレッスンを受けていた時のことです。(この先生は本当に怖かった‥。)同じ時期に習い始めた生徒はいっぱいいたのに、僕だけずっと基礎練習をやらされていたんです。発声、滑舌だけ。みんながやっているような台本、ナレーション原稿を読ませてもらえませんでした。理由は

「声が出てないから。あと、滑ってるところがあるから」(滑る=“さ”が“しゃ”と聞こえてしまったりなど)

そんなに滑舌悪い?そんなに聞き取りづらい?自分で言うのもなんですが、そこまでではないと思ったんです。

やっぱりダメですね、育ってないときほど過大評価をしてしまうんです。

専門学校に入ったあと、この頃の音声を聞き返す機会があったんですが、何を言っているかわからないまでは言わなくとも、言葉一つ一つが不明瞭でした。

「これでやれた気になってたのか‥」

でも当時はわからなかったんです。自分だけ基礎をやらされている理由が。

「ダメ。もう一回。はい、そう。‥ダメ、もう一回‥。そうだね。はい。どうぞ」

読んでは止められ、読んでは止められ‥。永遠、この繰り返し。初めて“向いてないかも?”も感じましたね。向いているかどうか?というよりも、嫌になっちゃった。みんなはできているのに僕だけできていない。大袈裟に言うなら落ちこぼれ感。

でもどこか「僕はできる!」なんて、根拠のない自信があったんです。お仕事をしている姿を妄想して「こんな役をやって、あんな舞台に立って‥」なんて。ちなみにこの頃妄想していたお仕事は、今だにできていません。

何度言われてもできない。呆れられたのか先生に「まっ、仕事は声優だけじゃないからね」と言われました。

‥。勘の悪い僕でも、この意味はわかりました。

「諦めろってことか‥?」

くそ。なんなんだよ。みんなはみんなで「私たちもまだできてないから」なんて同情してきてさ。いいじゃんお前らは。台本読めてじゃねーかよ。こっちはずっと基礎をやらされてさ。私たちもできてない?じゃあなんで僕だけ基礎だけなんだよ。みんなできでないなら、みんなも基礎練習のはずだろ。

わかっているけど、できない事。それを指摘されると、どんどん不機嫌になっていくんです。よくないですね。できないのは自分のせいなのに。やりたいけどできないもどかしさは、どこにもやり場のない怒りに変わっていきました。

ただ、そんなかでもチャンスはあったんです。“オーディション”。ここだ!これに受かれば見返すことができるぞ!!!

結果は、もちろんダメでした。原因は自分でもわかります。緊張しすぎて、ちゃんと自己PRできなかったからです。

「あ、だからか‥だから基礎が大事なんだ」

言葉ではなく、感覚的に体で感じること。体で感じられても、すぐに修正できるわけではありません。わかっていても、名乗った次の言葉が詰まる。

「有野優樹と言います。えっと‥」

ありの‥くらいから頭の中では「また下手くそになる。どうしよう。上手くできるかな、喋れるかな。この人にも声優以外の仕事があるとか言われるのかな」と、ものすごい勢いでネガティブが駆け抜けていきました。でも、この体験があったからこそ今、喋れるようになっています。

高校2年生の夏。遅すぎるスタートでした。


【人見知りが治った‥?】

こんな事を書いてあると「目指すのは辛そう」「努力したって報われないんじゃないか」とネガティブなお仕事の印象がついてしまいそうなので、そうじゃないよ!大変だけどこんないいこともあったよ!というのも書いていきますね。

「人見知り」が治った。

小学生の頃から、凄まじいくらいの人見知りでした。初めましての人を相手にすると(大人相手だと特に)話せなくて。ですが、お芝居をしたりダメ出しをもらったりしている中で、半強制的にコミュニケーションが生まれ(やらなくちゃいけないので)話せるようになっていったんです。

むしろ、これだけ話さなきゃいけない状況に居続けていたらいやでも治ります。相手が誰であってもある程度は喋れるようになりました。多少強引な療法ですが、人見知りを治したいと思っている方は、演劇を始めてみるのもありだと思うんです。

本格的に役者を目指すとまでは言わなくとも、小さな劇団や、単発で行われているワークショップに行ってみたり。

人見知りの原因は、緊張してしまっているから。緊張の原因は、上手くやろうとしすぎてしまっているから。別に緊張することが悪いんじゃないんですよ。緊張を理由に改善しようとしないことがよくないんです。なんでもそうですけど、改善しなくていい理由を見つけようと思えば、どんどん出てきてしまいますからね。

レッスンを通して、だんだんと人前で喋れるようになってきました。今でもまだまだ緊張します。緊張する場所へ行き続けることが慣れる手段だと思っているので、色々なところへ行って“緊張”に負けないように、人前に出続けていきます。


次回「言葉がつまってしまう、喋る怖さを体感した学生時代」


・noteを通して書籍出版を目指します!タイトルは「僕には喋りの仕事しかない~いじめから脱却できたのは“喋りのおかげ”だった」です!


ナレーター
有野優樹(ありのひろき)

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