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僕にだけ届かない声~APD疑いが生きる世界~

頭の中で駆け巡る音から、必死に声を探る


“僕には、声が届かない”


ノイズが鳴り響くだけ

探しても探しても
声のカケラすら見つからない

どうか、
僕に声を聞かせてください


さて、皆さんAPDという症状をご存じでしょうか?

一言で言うと、
“聞こえているのに聞こえない症状”です。

今日は4月4日、APD啓発デーということで、APDについて当事者目線で書いてみます。(正確にはAPD疑い)

APDってなに?って方にもわかるように最初に解説をしています。

ぜひ、ご覧ください。

APDとは

APDとは、聴覚情報処理障害のことです。難しい言葉が並んでてよくわかんないですね。「聴覚」の「情報処理」の「障害」という単語がヒントです。
推測すると「音の....処理が....苦手?」と考えられますね。
概ねそんな感じです。


皆さんは。小学校で聴力検査をしたことありますか?
おそらくあると思います。

実は、APDって聴覚は正常な人が多いのです。

「え?音の処理が苦手なのに?」
と思われるかもしれません。
ややこしいですが、音を聞くのと、様々な音を声として識別するのは、一部違うメカニズムが働いています。

APDでは、音が何か、どこから聞こえているかがわからなくなるため、”聞こえている”のに”聞き取れない”症状が出現します。

この症状が出現する場面は「聞き取りにくい環境下」になります。以下に具体的な場面を示します。

  • 騒がしい場所で会話しているとき

  • マスクをしていて口元が見えないとき

  • 複数人が同時に喋っているとき

  • 早口や小さい声を聞き取ろうとするとき

どうですか?
みなさんは当てはまりますか?

これ、僕は全部当てはまりました。

昔から、聞き返したり聞き間違いがよくあり、口頭で言われたことを覚えておくことが苦手で、色んな人に迷惑をかけて生きてきました。当時はAPDを知らなかったので単純に頭が悪いんだと思っていました。

ところで、APDの症状をもつ子どもって世界に何人いると思いますか?

って聞かれても難しいですよね。

ちなみに、世界の難病患者数は3.5億人といわれています。
多い?少ない?どのように感じるかは人それぞれです。

では、APDの症状を持つ子供は世界に何人いるのか、答えは世界中の子供のうち0.194%の割合です。

どうですか?めちゃくちゃ少ない感じがしますよね。

APDは診断基準が確率されていないこともあり、もしかしたらもっと多くの人が困っているかもしれません。
このように、人数が少ないこともあり、APDは世間ではあまり認知されていません。

ぜひ、この機会にAPDについて知って頂けたら喜びの舞を踊ります。


ノイズで埋め尽くされる脳

僕は医療系大学出身です。
医療系大学には、実習がつき物です。
そんな実習での体験をお話します。

まず、3年生の評価実習。
名づけるなら
”小鳥のさえずり実習”です。

なぜかって?

バイザーの先生の喋り方が、早口で声が小さかったから。

小鳥のさえずりみたいで聞きとれないから何回も聞き返すんですけど、何回も繰り返していると。段々聞きとれない自分がいやになってきます。

僕の根っこはネガティブなので自分が悪いと感じてしまうんです。優しいバイザーの先生でよかったけど、怖い先生だったらと思うとゾッとする。

次に、4年生の総合実習。
名づけるなら”蛇ににらまれたカエル実習”かな?

とにかく恐怖でおびえていました。

バイザーの先生は厳しいわけじゃないよ?
でも、怖くて怖くてカチカチになっていた。患者さんやスタッフから僕に向けられるあらゆる目線が、僕を否定しているように感じました。

そんな状態で、患者さんと会話、バイザーとの会話、まともに出来るはずもなく...。

何も頭に入ってこなくて、覚えられない、うまく会話できない自分を責めてばかり。
毎日、泣きながら帰る日々でした。
もうあの頃には戻りたくありません...。

この時ぐらいから薄々、あれ?自分なんかおかしいかもと感じるようになりました。
(後に、精神疾患になる。)


僕にだけ届かない声

なんとか大学を卒業し、病院に就職しました。この時はAPDなんて知らなかったから、リハビリテーション室が広い大きな病院に就職したため、実習の時の何倍も周りからの視線が気になっていました。

実習の時が、蛇ににらまれたカエルだから、今回は、クマに狙われている鮭で🧸🐟

就職して思ったのが、想像以上に責任がのしかかる仕事だと。もちろん、医療系だし就職する前から覚悟はしていたけど想像以上だった。色々な意味で衝撃を受けた。
あと、コミュニケーションの重要性を感じた、ほんと命に関わるから些細なことも報告。

週1グラで、カンファレンス、ミーティング、などがありました。周りの雑音もある場所でしていたため、集中するのが大変で仕方なかったです。
あと、皆さん早口で何言ってるか分からんかったです、、、。
(早口な医療従事者さん多くない?)

僕には声が届いていません、
だれか僕に声を聞かせてください

って脳みそが助けを求めていました。笑

文字に想いを乗せる

昔から、僕は話すより、書く・読む方が好きな人間でした(これがAPDの影響かはわからない)。イラストなんかも大好きでよくお絵描きしてた。

大学の休み時間は図書館に行き、自宅でも本を買っては読んでの繰り返し。
おかげで、自宅には200冊以上本がある。
断捨離しなければ、、、。

そんな本好きの僕がWebライターを始めました。

僕はこの仕事を始めてまだ少ししか経っていませんが、ライターの仕事が好きです。
なぜなら、文字に想いを乗せることができるから。会話で表現することが苦手な僕は文字で伝えることが好きです。
(ちなみに顔文字にもハマってる(*•̀ㅂ•́)و✧)

文章を読むと感動するし、面白いと思うし、行動するきっかけになる、もちろんコミュニケーションツールにもなる。
文字の可能性は無限大だと思っています。

APD疑いの僕にとって、文字を用いることにより快適でなコミュニケーションが可能になります。

そんな、文字に想いを乗せるライターの仕事が大好きです。

いつか、うさぎさんが書いた文章が読みたい!って思って貰えたら嬉しいなあ。


APDの世界を循環させる

ノイズだらけで頭の中が渋滞しているAPD。

渋滞は混乱するし、イライラもする、不安にもなる、良いことはないです。
渋滞を解消するために、無駄な障害物をなくし、スムーズに情報が通過できるように交通整理が必要(内部環境の整備)。

しかし、今のところ直接的に渋滞を改善する方法はおそらくないです。

渋滞を解消するためには、代わりに外部環境を整備する必要がある。

  • 聞き取りやすい静かな環境

  • 複数人での会話は順番に喋ってもらう

  • 大きくはっきり喋ってもらう

ただ、実際には環境を思い通りに変えることは一人の力では難しい。みんなの協力が必要。

もしAPDが世間に広まったなら、多くの人が協力してくれるかもしれない。

それはAPDの人にとって生きやすい世界になるはず。

そう願って、この記事を書きました。


おわり

4月4日、本日は”APD啓発デー”ということでこの記事を執筆してみました。
少しでもAPDを知っている人が増えたらうれしいです。
お読みいただきありがとうございました。

参考
Nagao K, Riegner T, Padilla J, et al: Prevalence of Auditory Processing Disorder in School-Aged Children in the Mid-Atlantic Region;J Am Acd Audiol 27:691-700 2016
国際連合広報センター
Rare Disease Day
- 世界希少・難治性疾患の日 -

(画像内のAPDマークはコチラからダウンロードしました。)

うさぎブログ(画像をクリック↓)
医療系の情報を中心に記事を書いていく予定です。良かったら見てね🐰

https://usagi-web.com/


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