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母曰く、

1995年、阪神淡路大震災がリアルタイムで
起きたときの話。
言わずもがな、今日の災害対策に国家レベルで
大きく影響を及ぼすほどの、多方面にわたり
甚大な被害を出した大地震だったことは
周知の事実である。

・震災の記憶がない

さて、俺はといえば災害当時のことは丸々
覚えていない。本当に一切記憶がない。
4歳だったもんな。しかも寝てる時間帯。
震源地に近い大阪に住んでるとはいえだ。
母とTVを見てると、地震に関するトピックが
流れたときにしばしばこの話を聞かされる。

・家にあるでかい棚

ウチの家には仏壇…とはまたちょっと違うけど、
木と竹で出来た、一段が大きい階段状のような棚に
小さめの仏像とか仏花?とかを置いてまつる、
なんかそういう2m位の三段の棚があるんだけど、
そこで毎朝起きたら手を合わせて、クソ眠いのに
色々唱えさせられたりする。

・震災の瞬間

母曰く。

当時その棚のわきに5人家族揃って川の字で
寝てたらしい。家族だねぇ。

1995年1月17日、その瞬間が来た。
これまでに体験したことのないような激しい揺れ、
倒れる、落ちる大きな家具や家電。
大きな音を立てて割れるガラス…。
自分の身を自分で守れない俺達幼いきょうだい
3人にのしかかって覆い被さり必死に
母は守ってくれたそうだ。

一方、父は倒れんとする棚を、
力士が如くその手でがっしりと支えて、

「南無妙法蓮華経ォ!!南無妙法蓮華経ォ!!南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経ォ南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経!!南無妙法蓮華経ォォ!!!!!!」


と揺れがおさまるまで大声を張り上げて
何かを祈っていたらしい。

何だお前。


うん…まぁ家族全員無事だったし、
今も健在だけどさぁ…ねぇ?

災害の一番ヤバい時に家族放ったらかして
そっち取るかね?

父の中では完全に、

家族より宗教が大事じゃんね。


よく離婚騒動までいかなかったもんだね。

せめてさ、違う行動を取るならガスの元栓閉めたり
玄関ドア開けたり色々あるじゃん。
そういう時にこそ、まだ幼い子どもを持つ
男親って試される気がする。

それをさ、信仰してるものを奉ってる棚を
守る方が必死て何なんだ。
倒れて諸々壊れたらまた買えばええやん。
災害時に本当に取るべき行動を取らなかったのが
原因で最悪の場合、家族の誰かが犠牲になってたら
どうすんだアンタは。
まぁ仮の話だから実際責めないですけどね。

もうすぐ3月11日です。
母と顔を合わせたらまた聞かされるかなぁこの話。

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