【詩】死ね

 1
汗水たらして働いたかいがあって立派な棺桶を買えたらしく
隣人が
良い気分で死んでいる
私のような良い隣人に恵まれたことを
感謝しても良いでしょう、と
胡散臭い口を広げて
吐き出した日々を思い出す
まるで「生前」であるかのような「思い出」であるかのような
遺書のような詩情を漂わせている隣人の棺桶に
蹂躙されてきた何者かの覗き趣味を正当化してくれそうな
花のような穴を
あげるかのように
空けよう


 2
三人で憂さ晴らしすれば少しも怖くないのだと気づいている密猟者を
このときに限って引き止めることになった赤が
信号機で
いばる
俺へと
いばる
ここぞとばかりに
いばる
憂さ晴らしするかのように
威張る
大口をあけて威張っている
犯罪者集団を少しばかり足止めしたことがあるのだと
死ぬまでで一番うれしい思い出を
まさに今作っているのだと
喜びながら威張っている
信号機相手に思い出作りを手伝ったのだとも気づかずに
密猟者がうさを晴らして去っていくのだと薄々気づいて
罪悪感に溺れてふまれる横断歩道は赤信号を
憎む

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