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医療情報の正確性は大切だが、治療過程の率直な体験談も必要だ

すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、僕は心臓に対する手術でカテーテルアブレーションというものを行いました。
ざっくりとした説明をすると、血管から管のようなものを入れて心臓まで入れていき、心臓の中を焼いたり冷凍したりして、問題となっている組織を壊死させる、というものです。

僕の場合は特に症状が強く出て、さらに手術後は手術前よりもひどい症状が出るなど、かなり苦しんだ記憶があります。

今日ようやく少し体調も整ってきて、気力的にも書ける気がしたので、これを書いておきたいと思います。

藁にもすがる気持ちで見ていたのは医療現場や医療メーカーなどから発信された情報

少し前にこんなことがありました。

確かに、こういった騒動があり、Googleも

それから約1年後の2017年12月6日、Googleは医療や健康に関わるネットの情報の評価方法を改善したことを発表しました。これにより不正確な医療情報に改善の兆しが見え始めます。それでも、完璧な対策には至っておらず、いまだに医学的根拠の無い情報が、検索結果に表示されている事例を確認することができます。

といった対策をしたことにより、ググってもおかしな情報が出にくい状況になってきたと思います。

結果的に自分の病気のことを調べようと思えば、病院のサイトや専門団体、治療器具メーカーなど、医療を実際に行っている当事者たちのサイトが上位に表示されています。

例えば治療したうちのひとつ、心房細動。

最も上位に表示されている、「不整脈ドットコム」なんかは個人サイトのようなネーミングですが、治療器具メーカーの患者向けの解説サイトになっています。

実際に症状がひどくなり患者当事者として病的にググりはじめるようになります。

心臓に対する症状が強く出ると「これ、死ぬんじゃないか」など、とても強い恐怖に襲われます。そして病院に行って治療を受けていても投薬でますますひどくなったり、強烈な副作用が出たりして、本当にこの治療で合っているのか強い不安に襲われます。

結果として、当然のように参考書籍を買ったり、図書館でも調べたり、重点的に最新の情報を得ようとネット上をさまよい、同じような人はいないか、誤診では無いだろうか、他に良い治療方法が無いのだろうかというのを真剣にスミからスミまでサイトを読み込みました。
発作が起きて布団の上で寝込んでいる(休んでいる)状態で起きている時間の大半をこういった形で過ごしていました。ずっとiPhoneを片手にしていたのです。

同じサイトを何度も繰り返し読んだりなどムダなことも多々あったかもしれないのですが、死に直面すると正に“藁にもすがる”思いで常に一字一句見つめながら探していました。

もしWELQ問題が発覚する前にこのような状態だったら、原因は幽霊だと思って除霊に行ったかもしれません(苦笑)。
実際、追い詰められて、とにかく厄払いに行こうと思って、本当に行ったぐらいですから(後厄でもなんでもないのに行ったので、自分でも精神的に相当思い詰めていたと当時を振り返ります)。

こんな状況で情報を求める患者である当事者になった僕はあるひとつのことに気づきました。

それは患者の立場での情報発信が検索結果上位に表示されず、検索結果を何ページも遷移してようやく何件か見つかったことです。

患者の率直な体験談を探すのが思った以上に大変だ

実際、患者の絶対数から情報発信に長けている人の割合なんてごくわずかで、ましてや病気やネガティブなことを実名で情報発信する人はほとんどいないのではないか、というのは想像しがたくありません。

病院の口コミサイトなどもあるのですが、僕はどこかの企業がやっている病院などのクチコミサイトは操作されている可能性も否定できないので、これもすべてを鵜呑みにすることなくスルーすることも多いです。

等身大に自分の言葉で何一つ操作されることなく、率直に患者としての気持ちや体験談が書かれているのは個人ブログであると思い、読んでいて信頼出来そうなブログを幾つか購読しました。
(もちろん、このnoteにも同じ治療の体験談がありましたので参考にしました。)

気がつけば何人かはTwitterでも情報発信をし、たまたま同じタイミングで手術した方も見つけたのでフォローをしました。手術の同期、という言い方はおかしいかもしれませんが、同期の方がいまどんな状態なのかを知ることによって、自分が悪いのか良いのか、何に困るのか、ということをリアルタイムに知るきっかけにもなりました。

患者サイドの情報発信に助けられる

当然治療方針や病気の内容は、個々によってまったく違うと言っても過言ではないので、他の患者とまったく同じように受け止められないことは事実です。

ただ、患者の立場の体験談を読めば、これから手術を通してどういったことが起きるのか、日常生活がどのようにかわるのかが具体的にわかり、心の準備も含めて特に精神的に助けられました。
何を食べたらいいのか、退院してからもどんな治療が続くのか、症状はどう変化していくのか、など具体的な日常生活含めた描写を自分に照らし合わせて、自分自身がどういう覚悟をもってどういう姿勢で過ごしていけば良いのかを考える機会にもなりました。

そうです。具体的な生活や仕事でどのように付き合っていくか、というのは病院サイドの情報発信にはありません。あっても、簡単な言葉だけで、実際の生活レベルにブレークダウンした説明はありません。

なので、複数の同じような病気の治療体験者のブログを読みこみ、自分だったらどうなるのだろうか、ということを整理して確認していきました。

病院でまったく聞かされていない症状が出てもそれが何かは患者の体験談で知ることができた

実は手術の後遺症で視界にキラキラとした(デジタルなRGBのような色合い)プリズムのようなものが出現するという現象が出て、これも恐怖に陥れられる状況であったのですが、実はおなじ手術した方にも同様の症状が出てたことがブログに書かれていて、それで「閃輝暗点」というものがある、ということを知りました。

最終的に主治医に聞けばそういうのが出る人もいる、というのがわかるのですが、これはあまり医療現場サイドの情報には載っておらず、患者の体験談のほうが生々しい体験の描写があるので、それに気づけました。

このように患者サイドの情報発信に助けられることも多かった一方、誤ったことを書いてしまうリスクやその責任を考えて腰が重くなりそうなので、そう言い切ることも強くできないのですが、

もし、出来るのであれば、このあと同じような体験をする方のために、匿名でもいいので、率直な治療過程の体験談を残して欲しい。

ということを言いたいのです。

残した文章がだれかの役に立つ日もくるし、それによって精神的にも助けられて、人生絶望の中の人を救うかもしれません。






読んでくださり、ありがとうございます。